横浜市西区に母の実家、祖父母宅がありました。
夏休みには、泊まりがけで遊びに行きました。

玄関には釣り忍、
窓には簾、
縁側にはよしず、
すっかり夏支度をした家が迎えてくれます。

金魚売りが来て、赤と黒の出目金を買ってもらったことがあります。

ある時は、リヤカーのいたるところに風鈴をつるした風鈴屋さんが来たこともあります。

夕方になり祖母が玄関前に打ち水をすると不思議と気持ちいい風が家の中を通って行きました。

そして、浴衣にたすき掛けをした祖母が台所に立つ頃、パナマ帽をかぶり、麻の開襟シャツを着た祖父が帰宅しました。

関東大震災、戦争を生き抜いた祖父母の静かな暮らしがそこにありました。

 

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