今年だけで2回も弁護士の世話になった。

…といっても、被告としてじゃないので、

みなさま、ご心配なきよう。


1回目はチンピラに因縁をつけられ、

2回目は会社のリース機器の件でだまされそうに…。


「自分だけはダマされない!」と

強烈な自負を抱いていただけあって、

こんな状況が立て続けにあると

「年をとったのか…」とヘコんでしまう。


だが、どちらも「悪」に屈して

お金を出すのがイヤだったから

たとえ弁護士費用がかさんでも

最後まで闘うつもりだった。


その気合が通じたのか、

どちらも相手方には1円も払うことなく勝利!

やはり、悪に屈してはいけない。


村木元局長のニュースを見て、

この人は本当によく頑張ったなと思った。

単純な「悪」ではなく、

国家権力というタテマエとしては善であるべきものと

真っ向勝負するのは、

ずいぶん大変なことなんだろうなと思う。

その厳しさは想像を絶する。


…と、前置きが相当長くなったけれど、

最近見た映画「悪人」について。


ざっくりとストーリーを紹介すると、

老祖父母と暮らす孤独な青年・祐一(妻夫木聡)がOLを殺害。

その後出会った孤独な女性・光代(深津絵里)と恋に落ちる。

2人の逃避行、恋の行方は…


てなところだろう。


ある映画評に

「本当の悪人は誰なのか、考えさせられる」

というようなコメントがあったけれども


人は殺しちゃダメだっつーの!


確かに、祐一に同情すべき点は多い。

母親に捨てられ、祖父の介護を手伝いながら

解体屋の仕事をして祖父母の生活を支えている。

仕事して、風呂入って、病院行って、メシ食って寝るだけ。


こんな生活の中で

「本気で誰かに出会いたかった」という

青年の純情を誰が責められようか。


それでも、この映画にのめりこめなかったのは、

映画に登場する重要人物がバカ過ぎて、

「本当に世の中そんな人ばっかりか!?」と

リアリティを感じられなかったから。


殺されたOLは驚くほど性格悪いし、

そのOLが狙ってたボンボンもバカで邪悪だし、

ボンボンの友達も当たり前だが悪党ばっか。


祐一の純粋さを際立たせるために、

わかりやすい「悪」を提示されたような気がして

もっと違う見せ方をしてほしかったと思った。


OLもボンボンも、ある意味、「悪」だが、

だからって殺していいって法はない。

「本当の悪人は誰なのか」って、

そりゃ人殺しちゃった祐一に決まってるでしょうが!


世の中には悪意が渦巻いているし、

いつなんどき、自分や周囲の人が

悪に巻き込まれるかわからない。


それでも、やっぱり

誰もが「悪」であるとは思いたくない。

悪人にも“理由”があるのかもしれないのだ。


今回、その理由が描かれていたのは祐一のみ。

OLやボンボンたちにも、

彼らが曲がって育つ理由があったかもしれない。

それを少し見たかったなぁ。


ちなみに、今回の助演女優賞は

ちょっとしか出てこないけど、余貴美子!

どうしようもない母親を見事に演じきったことで、

祐一の祖母(樹木希林)の悲哀をより増強。

「あの子は私が育てた私の子だよ」という

セリフにグッときちゃった観客は多いだろう。


助演男優賞は、ボンボン役の岡田将生!

この人は本当にバカとか卑怯な役がよく似合う。

「13人の刺客」で残虐非道なバカ殿を稲垣吾郎が演じるが、

(それはそれで似合ってると思うが)

岡田将生バージョンも見てみたい、

と思わせるほど卑怯な悪党が似合う男だ。

二重人格の役とかやったらハマるんじゃないだろうか。


ということで、映画「悪人」は

5つ星評価で☆☆


でも、絶賛している映画評論家は

たくさんいるので、

見てみたい方は気にせず劇場へ。

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