昭和47年のカシオミニの発売から激安の電卓戦争が始まり、個人に電卓が行き渡るきっかけになった。今回紹介するのは、その翌年に発売された、カシオパーソナルミニである。価格は当時4800円。まずは、全体像をご覧頂こう。




  単三乾電池2本で駆動する、蛍光管式6桁電卓である。もちろん現行の電卓には6桁は存在しない。コストダウンのためにあえて2桁減らしたようだ。日本放送協会出版 電子立国日本の自叙伝(平成3年)によれば、通常のお金の計算に6桁を超えることは少ないからという記述がある。



 もちろん普段のお買い物に6桁を超えるお金の計算はしない。ちょっとした加減算なら6桁でも十分だ。ネットオークションでカシオミニが出品されるが、この写真の計算機は、初代モデルではないのでご注意願いたい。



 製造後35年経つが今でも現役稼働する。前の所有者が大切に使ったか、それほど使っていないかのどちらかだ。この電卓、不思議な動作をする方法を発見した。



 0でわり算すると、当然エラーになる。(0での除算はできない)現行のほとんどの電卓は、
 E    0.
 との表示を行う。エラーを意味するEが点灯し、数字しか表示する手段が内のでとりあえず0を表示させているだけだけだ。決して答えは0でない。





  カシオパーソナルミニでは、オール0を表示する。これは初代モデルでも同じである。昭和50年頃までのカシオ製の電卓、7セグメント(日の字表示)は、0の表示が小さな○のように表示させていた。故障ではない。



 この電卓は、6桁入力12桁表示である。(乗算演算時)加算で7桁、乗算で7桁以上の答えになったとき、画面切り替えボタンで、表示を切り替えることで12桁表示を達成している。





C(訂正キー)の下が画面切り替えキーである。0で除算したとき000000とエラーを出し、そのキーを押すと、





  このように1からカウントアップする。なぜこのような機能があるのか不明である。
 試しに1÷0で行うと、100000から1ずつカウントアップを始める。9なら900000からである。
割る数   起点数字
0      000000
1      100000
2      200000
9      900000
10     100000
11     110000
20     200000
30     300000
35     350000
50     500000
100    100000
123    123000
1000   100000
1234   123400
10000  100000
12345  123450
123456 123456
999999 999999

 

999999÷0をすると、エラー画面が000001になる。これは、裏画面で999999から1ずつカウントアップしているので、エラーを出した瞬間に100万になったからである。推測の範囲内だが、このカウントアップ電源さえ消えなければ、999,999,999,999までカウントアップするようだ、その先はどうなるか分からない。
 何の為の機能かは全くもって不明である。動作確認モードなのか、それとも単純なバグなのか。とにかく裏モードがある電卓ははじめてである。