先月号まで3回連続で「CSはESを超えられない」をテーマとし、前月号ではホワイト企業について取り上げたが、今回は、埼玉県春日部市に本社を構え、高級米菓(せんべい・あられ)、高級洋菓子(パスタスナック・米粉バームクーヘンなど)の製造・販売を生業とする三州製菓株式会社(代表取締役社長・斉之平伸一氏)を紹介する。

受賞を重ねて
同社は2013年に経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」、2014年に「APEC女性活躍推進企業50選」(日本から5社)に選定され、同省監修の書籍「ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社」においても25社の一つに選ばれている。同社は折り紙付きのホワイト企業であるが、それだけに止まらない。経済産業省の「IT経営応援隊 IT経営百選 最優秀賞」、「がんばる中小企業300社」、埼玉県の「食の安心大賞」、「渋沢栄一賞」などさまざまな分野で20を超える受賞歴を有する。

理念と実践
同社は「生活に心の豊かさを添える菓子を作る」ことを事業理念に掲げ、高品質で美味しい、安全・安心な高級品を消費者に満足いただける価格で提供することを目指している。 
すべての業界に共通することであるが、市場環境は厳しく、商品がコモディティ化すれば価格競争に巻き込まれる。同社は限られた市場(ニッチ市場)に特色のある技術を生かしたオリジナル機械で高品質な独自商品を直販店、専門店、OEMなど独特の販路で製造販売する戦略を採用している。

女性活躍推進
 菓子の主なお客様は女性である。女性に好まれ、選ばれる商品を開発するため、同社の商品企画に携わる社員はすべて女性である。子育てしながら商品企画を担当する女性社員から、新感覚の「揚げパスタ」など売り上げをけん引するヒット商品が生まれ、女性の活躍が成果を上げている。早い段階から男女共同参画を強力に進め、商品企画だけでなく製造、営業、人事、経理など他部門でも女性が活躍し、女性の管理職比率は既に20%を超えているが、2018年25%、20年35%を新たな目標としている。(2016年2月現在 従業員246名 うち女性182名 )
 
 同社は女性が働きやすい職場を実現するために、きめ細かな制度や仕組みを積み重ねてきた。その一端を紹介すると一人三役制度、一日一善活動、短時間社員制度、一人一研究制度、有給休暇の取得奨励、パート社員の正社員登用制度、会議での男性発言禁止タイムの導入など多彩である。同社が理念と戦略を実践するために力を注いできたユニークな取り組みを次号で紹介する。


三州製菓(株)本社・埼玉第二工場 1階にファクトリーショップ・自然食カフェ・イベントスペースなどを備えた複合施設である

代表取締役社長 斉之平伸一氏

1階店舗

売り上げの約1割を占める 揚げパスタ

同社社長 斉之平伸一氏の著書紹介

3倍「仕事脳」がアップする 『ダブル手帳術』

『脳力経営』 新しい経営品質改革論