来る4月1日に省エネ法が改正されます。
そこで、今回の改正の概要やポイントについて書き記したいと思います。
改正の目的
地球温暖化防止に関する京都議定書の発効、昨今の世界的なエネルギー需給の逼迫化等、最近のエネルギーを巡る諸情勢を踏まえ、各分野におけるエネルギー使用の合理化を一層進めるため、輸送に係る省エネルギー推進のための措置を創設するとともに、工場・事業場及び住宅・建築物分野における対策を強化する等の措置を講じる。
今回の改正では、エネルギー消費量が大幅に増加している業務・家庭部門における省エネ対策を強化することが必要との判断から、オフィス・コンビニ等や住宅・建築物に係る省エネ対策を強化することを大きな目的としています。
そのため今回の改正では、省エネを推進する対象が大幅に広がります。これまでは工場や大きな敷地を持つ建物を対象としていたのですが、サーバ室やオフィスを含めた小規模な事業所でも、省エネ推進が求められることになります。
大きな改正ポイントとして、熱と電気の区分を廃止し、熱と電気を合算した使用量が一定以上の工場をエネルギー管理指定工場として指定されるようになったこと、さらに指定工場の、裾切り値の事実上の引き下げが行われたことです。このため、省エネ対策の義務を負う対象となる工場、事業場が大幅に拡大することになります。
概要
対策1.
業務部門等に係る省エネルギー対策の強化
事業者単位の規制体系の導入
<現行>
一定規模以上の大規模な工場に対し、工場単位のエネルギー管理義務
<改正後>
①事業者単位(企業単位)のエネルギー管理義務を導入。
②フランチャイズチェーンについても、一事業者として捉え、事業者単位の規制と同様の規制を導入。
これらにより製造業を中心とした工場だけでなく、オフィスやコンビニ等の業務部門における省エネルギー対策を強化。
省エネ促進のための自主管理標準の作成や計測記録、
保守点検記録などの作成、運用が義務付けられます。
その他の措置
<改正後>
各企業の省エネルギーの取り組みについては以下の状況を勘案して総合的に評価することを規定。
・業種毎の省エネルギーの状況
・複数の事業者が共同して省エネルギーを行う取り組み
対策2.
住宅・建築物に係る省エネルギー対策の強化
<現行>
大規模な住宅・建築物(2,000㎡以上)の建築をしようとする者等に対し、省エネルギーの取り組みに関する届出を提出する義務等
<改正後>
①大規模な住宅・建築物に係る担保措置の強化(指示、公表に加えて命令を導入)。
②一定の中小規模の住宅・建築物も届出義務等の対象に追加。
③住宅を建築し販売する事業者に対し、住宅の省エネ性能向上を促す措置を導入(多数の住宅を建築・販売する者には、勧告、命令等による担保)。
④住宅・建築物の省エネルギー性能の表示等を推進。
これらにより家庭・業務部門における省エネルギー対策を強化。
大規模な建築物が断熱や空調設備の効率的な利用などの省エネ対策を行っていない時は改善を命令できるようにし、従わない場合は罰金(100万円)が科せられることとなります。
改正は2段階
改正省エネ法は、4月1日から2段階の施行となります。
住宅・建築物に係る措置の強化については来年4月1日からの施行です。
事業者単位の規制への変更やコンビニなどのフランチャイズ事業に対する新しい規制の導入は、平成22年4月1日からの施行となりますので、それに備えて平成21年度から事業者全体のデータの集計・把握が必要になります。
省エネと業務の両立は大変なことが多々あると思いますが、省エネへの取り組みが経費削減や企業のイメージアップにつながるというメリットも小さくありません。
当然、企業は、省エネへの取り組み方について問われる機会が増加すること必至です。
規制の有無に関わらず、常に企業努力をしていく姿勢が求められるのではないでしょうか。