口先ではなく、背中で伝える。 | コミュニケーションの学校 回覧板(錦糸町&両国&浦和)

口先ではなく、背中で伝える。

先日、ずっとフリーターだった後輩と会いました。

本人はべつにフリーターをやりたいわけではなく、
デザイナーというものになりたいらしい。
しかし、就職活動してもなかなか決まらない。

まぁ、よくある話です。

「どうしてデザイナーになりたいと思ったの?」
「どんな作品が好きなの?」

そんな質問をしても、どうも腑に落ちる返答じゃない。

「ポスターを作ってみたかったから」とか、
「日本の広告はイマイチですよね」とか、

おまえ、仕事なめてるだろ、という感じでした。

そこで、

「もし憧れの人がいるなら、その人の本を読んだり、
できれば会ってきたらいいよ、そうしたら何か感じるものも
あるはずだから」とアドバイスしておきました。

そして、2週間後。

なんと、彼は本当に憧れのデザイナーに会って来ました。
その行動力だけでも拍手喝采、彼の可能性を感じたのですが、
今回は、そのお話ではありません。

「何かいいお話は聞けた」自分は尋ねました。

すると、後輩は目をキラキラさせて、こんなお話をしました。

その有名なデザイナーさんは、クライアントから「前と同じような感じで
頼むよ」と仕事の依頼が来たら、「いや、それはできません。なぜなら、
前よりも良いものを作ってお出ししますから」と応えているらしい。

後輩は、「本当のプロって、そこまで自分を追い込んで、真摯にシビアに
仕事に向き合って、クリエイティブを追求しているんですね!やっぱり
すごくかっこいいと思いました!自分もそんなデザイナーになりたいと
強く思いました!」と熱く語っていました。

その後、後輩は電通図書館に通っていろいろな作品を研究したり、
マーケティングの本を読み漁ったり、自主制作で作品を制作したり、
ものすごく生き生きとしています、当然、まもなく就職先も決まりました。

自分も30歳を超え、もういい大人です。
そして、思いました。

いま、このような若者に、「かっこいい」と思ってもらえるような
仕事をしている大人はどれほどいるのでしょうか。

「若者が就職できないのはやる気がないからだ」
「若者が就職できないのは甘えているからだ」
「若者が就職できないのは行動力がないからだ」
「若者が就職できないのはゆとり教育のせいだ」
「若者が就職できないのは大手ばかり受けているからだ」

「いまの若者はホント大変でかわいそうだね~」

うるせーよ。

あんたらが若者に説教する前に、自らの社会人としての姿を振り返ってほしい。
誇りをもって仕事ができていますか?自分自身との戦いから逃げていませんか?
何より、周囲に、若者に、夢を与えられるほど頑張っていますか?

人事さんも経営者さんも、あなた達に若者を選ぶ資格が本当にありますか?
就職サポートしている人も、
口だけで、脅して、凹ませて、それを教育だとか、指導だとか、おかしくない?

「やりたいことを見つけないとダメだ」
「夢を持たないとダメだ」

はぁ。

仕事へ取り組む姿で、生き様で、
大人たちがまず、それを示していかなきゃならんのではないか、と。
愚痴いって、いろんなことに諦めて、言い訳ばかりにアタマ使って。
そんな姿を見て、子供たちは果たして夢を持てますかね。

あー、ホント、がんばろう、いい大人になろう。
ちゃんと、かっこいい大人になろう。
自分も、あなたも。