神話に関するメモ的な話
万物と時空が生まれるずっと前、存在していたのは「始まりも終わりもない純粋の光」であった。「原初」「原父」「深淵」と呼ばれたその光から、まず最初の「アイオーン(永遠の神的存在)」が流出する。最初のアイオーンは、「叡智」あるいは「真理」と呼ばれた。最初のアイオーンから、さらにさまざまなアイオーンが流出。その中にアントロポス(人間の原型)もいた。
こうして光の世界は数々のアイオーンで満ち満ちていく。ある時「ソフィア(知恵)」のアイオーンが過失を犯した。それは愛欲にまつわるものだったとか。過失は光の世界に破綻を生んだ。破綻から不完全な暗闇が生まれた。暗闇から醜悪な獣の姿の息子が生まれた。その名を「ヤルダバオート」(ヤハウェ)という。
光の世界に住めないヤルダバオートは、自身の君臨する世界を自身で創造した。星々の世界である宇宙と地上世界、つまり「全ての物質世界」である。次に、ヤルダバオートは、アイオーンに模して天使たちを、アントロポスを模して魂の人間「アダム」を創った。そのため彼は「デミウルゴス(造物主)」や「パテール(父)」と呼ばれるようになった。
物質世界を創造し、その主となったヤルダバオートは「私こそ神だ、私のほかに何者も存在しない」と驕り宣言した。しかしそれは真実ではなかった。アイオーンから見れば彼はあまりに卑小で不完全な存在にすぎない。彼は「私は光の神を妬む神だ」とも語った(『イザヤ書』)。
初めアダムは出来損ないの人形だったが、光の世界のアイオーンが造物主の気付かないうちに「霊」を吹き込み、アダムは完全な魂になった。アダムが自分より優れた存在となったことに気付いたヤルダバオートは物質世界の底まで連行し「肉体」をまとわせ「楽園」に閉じ込めた。さらに肉体を男女の二つに分割し、生殖行為を教え、数を増やすことで霊を分割しその力を弱めるようにした。しかし、光の世界は楽園に眷属の蛇を送り、人間にヤルダバオートが禁じていた「知恵の実」を食べさせることで、人間に叡智を与えた――
最近、神話にはまっております。笑。エジプト、シュメール、ペルシア、ギリシア、ローマ、ケルト、ゲルマン、インド、中国、マヤ、インカ、アステカ、アフリカ、そして日本。いろいろ触れてみて、やはり人類史最古の文献を残すシュメール文明や同じくヒエログリフを残すエジプト文明の神話は紀元前5000年~3000年という時代にあって宇宙創生に精緻な物語が綴られていてとても興味深いのですが、今回紹介するのはヘレニズム時代のものです。アレクサンダー大王によって東方文明と西方文明が統一した時代、神話もまた東西融合から新たな神話体系を生みました。その一つは「グノーシス主義」といい、反宇宙論、善悪の転覆・・・物語として非常に面白い。たまには神話もいいですね。息抜きにいかがでしょう。ちなみにケルトは妖精さんがかわいいです。笑。
こうして光の世界は数々のアイオーンで満ち満ちていく。ある時「ソフィア(知恵)」のアイオーンが過失を犯した。それは愛欲にまつわるものだったとか。過失は光の世界に破綻を生んだ。破綻から不完全な暗闇が生まれた。暗闇から醜悪な獣の姿の息子が生まれた。その名を「ヤルダバオート」(ヤハウェ)という。
光の世界に住めないヤルダバオートは、自身の君臨する世界を自身で創造した。星々の世界である宇宙と地上世界、つまり「全ての物質世界」である。次に、ヤルダバオートは、アイオーンに模して天使たちを、アントロポスを模して魂の人間「アダム」を創った。そのため彼は「デミウルゴス(造物主)」や「パテール(父)」と呼ばれるようになった。
物質世界を創造し、その主となったヤルダバオートは「私こそ神だ、私のほかに何者も存在しない」と驕り宣言した。しかしそれは真実ではなかった。アイオーンから見れば彼はあまりに卑小で不完全な存在にすぎない。彼は「私は光の神を妬む神だ」とも語った(『イザヤ書』)。
初めアダムは出来損ないの人形だったが、光の世界のアイオーンが造物主の気付かないうちに「霊」を吹き込み、アダムは完全な魂になった。アダムが自分より優れた存在となったことに気付いたヤルダバオートは物質世界の底まで連行し「肉体」をまとわせ「楽園」に閉じ込めた。さらに肉体を男女の二つに分割し、生殖行為を教え、数を増やすことで霊を分割しその力を弱めるようにした。しかし、光の世界は楽園に眷属の蛇を送り、人間にヤルダバオートが禁じていた「知恵の実」を食べさせることで、人間に叡智を与えた――
最近、神話にはまっております。笑。エジプト、シュメール、ペルシア、ギリシア、ローマ、ケルト、ゲルマン、インド、中国、マヤ、インカ、アステカ、アフリカ、そして日本。いろいろ触れてみて、やはり人類史最古の文献を残すシュメール文明や同じくヒエログリフを残すエジプト文明の神話は紀元前5000年~3000年という時代にあって宇宙創生に精緻な物語が綴られていてとても興味深いのですが、今回紹介するのはヘレニズム時代のものです。アレクサンダー大王によって東方文明と西方文明が統一した時代、神話もまた東西融合から新たな神話体系を生みました。その一つは「グノーシス主義」といい、反宇宙論、善悪の転覆・・・物語として非常に面白い。たまには神話もいいですね。息抜きにいかがでしょう。ちなみにケルトは妖精さんがかわいいです。笑。