今まで化学物質過敏症専門の化学物質過敏症になった整体師として施術をして来ました。その時々に改善に向かう方法と言うか心構えの様なことを少しずつお伝えして来ましたが、当初はっきりと考えかまとまっておらず、上手く伝わらなかったり、その時は理解したように見えても、次にお会いすると、「☓☓は危険」「〇〇は食べてはいけない」と言われたと直ぐに元に戻ってしまう事が殆どでした。

なかなか上手く伝わらず言葉だけて伝えるのは無理だったのかも知れません。そこで、お伝えしたかった事をここにまとめました。この手記をまとめているうちに、化学物質過敏症患者にとって、第一に必要なのは整体などで身体を整える事よりも、化学物質過敏症に対する正しい理解ではないかと思うようになり、整体はお休みする事にしました。

 

目指しているものは何なのか?

 この手記で書かれている事は、すべての化学物質過敏症患者に当てはまるかどうかは分かりません。経験上ご自分の考えと違う事が書かれていると内容をよく読まずに色々クレームをいう方も居ますが、まず初めにご自分のフィルターを取り外して読んでみてください。

今まで様々な対策を試しても改善しないという事はその対処法が間違っているからです。長年行ってきたその間違った対処法を捨てるのは容易な事ではありません。苦労して探し出してお金を掛けたその対処方法は効果が大してなくても良い評価を与えたくなるものです。そして、なかなか捨てられません。しかし、この手記を読むことによって理解して方向修正ができる様になれば大成功です。

 

自分の事

 化学物質過敏症の専門医を受診して医師に言われたとおりの改善方法を守り、そして本やインターネット、他の患者や医師、CS支援センターの話を真剣に聞いて対処方法を実行しました。しかし、それでは全く改善せず、試行錯誤を繰り返しながら10年ほどが経ちました。この10年間の失敗を繰り返しながらたどり着いた私なりの結論をお伝えします。これは化学物質過敏症の治し方ではなく、「生活の軌道修正」のようなものかもしれませんが、色々やっているのに改善しない人には必ず何か得るものがあるはずです。

私が初めて化学物質過敏症と診断されたのは、アレルギーや喘息を専門としているクリニックでした。化学物質過敏症の治療はできないので専門医に診てもらうように言われました。2ヶ月待って専門医を受診すると、瞳孔反射やふらつきの検査を受け、「典型的な化学物質過敏症です」と言われたのを覚えています。オーガニック野菜、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛などを摂り、原因物質を吸い込んでしまう可能性のあるので、仕事を休むように言われ、その通りにしましたが一向に良くなりませんでした。食べ物やビタミンCで改善するのか、咳や喉枯れが出るのにそちらの検査はしないで良いのか、少し疑問に思いつつ、でも有名な先生の仰る事なのだから大丈夫だろうと信じて養生しましたが良くなりません。

 
   

 

 仕事で扱う溶剤やインクで体調が悪くなっていたため、休んで食べ物を変えるだけで良くなるのか疑問に思い、もう少し治療をしてくれそうな病院を探しました。しかし、「他の病院で化学物質過敏症と診断された人は診察しない」と言われたり、「そんな病気は認められていない」と言われたりして散々打ちのめされました。ようやく治してもらえそうな漢方医を見つけ、酷い下痢をする大量の漢方薬を投薬され、(それは解毒の薬だったそうです)治らないと言うと、「顔を見てアトピーは良くなりましたよね」と、私は最初からアトピーではありませんでした。そんな事をしているうちに仕事ができなくなり、もがき苦しみながら、結局仕事を辞めることになりました。

化学物質過敏症と診断されてから、その改善方法に何か違和感を感じていました。インターネットや医師の様々な意見にも惑わされました。それらの根拠は非常に曖昧で、迷信のような対処法ばかりでした。上記の漢方医も、化学物質過敏症を決めつけて私の症状をきちんと診ていませんでした(漢方で「証を立てる」ということができていない)。

 仕事を辞めて家に居るのも居たたまれなく、整体や医学全般、心理療法等教えてもらえる学校に後先考えず通えるかも全く自信が無い状態で入学しました。

ほとんどの講師が化学物質過敏症なんて知らない、でも各先生方に聞きつつ、失敗を繰り返しながらたどり着いた、克服するための手引き書です。化学物質過敏症に関する情報は本やネットにも沢山載っています。でも化学物質過敏症を発症してから何故そうなったかということを患者の立場から追及した人はあまりないのではないでしょうか。

 化学物質過敏症は特別な病気だと思っていましたが、徐々にあの時、あの状態ならあの様な症状が出てもしょうがなかったのかなと思うようになって来ました。この様な考えは化学物質過敏症関連の情報だけでは出て来なかったと思います。

 ほとんどの患者も医師も、化学物質が体に溜まってその量が限界になったら発症すると思い込んでいたり、ただひたすら化学物質を排除して安全な食材や居住地を探せば治ると信じ込んでいます。もしこの対処法が正しければ、すべてとは言わないまでも、かなりの人々が治るはずです。それなのに、多くの人が化学物質過敏症を発症したと自覚すると、さらに症状を悪化させてしまったり、化学物質とは何ら関係のない電磁波過敏症まで発症してしまいます。真剣に化学物質を排除しようとする人ほど、この傾向は強くないでしょうか?

 このように書くと、必ず感情的になって反論してくる人がいます。「私は〇〇先生の言う通り△△と〇〇、✕✕を改善して良くなったんだ!」でも殆どの人は良くなっているようには見えません。その人は衣食住に大きな制約を掛けています。常にマスクをして、全身オーガニックコットンの服装、外出する時にはその上に宇宙服の様なコート。食物は何処そこで買った物。飲み物はこれでなければいけない等々。それで本人が満足していればそれでも良いです。その人がどう考えようが何を信じようが自由ですし、それで満足して問題無く生活できるのならその考え方を尊重します。

 但し、他の人を巻き込むのはやめてください。他の化学物質過敏症患者に「〇〇は毒ですよ」「その症状は〇〇という化学物質が原因です」などと言って巻き込む人はいませんか?その一言で症状を悪化させたり、隠された本来の疾病の治療ができなくなったり、生活に行き詰まってしまう人がいます。私は何度もこういう事を言われた事があります。そして、困ったことに色々言う人たち(化学物質過敏症ではない人も含めて)は、全ての人たちが貴方を騙そうとして言っている訳ではありません。殆どは貴方を本当に治そうとして親切?で言ってくれている人達です。

 読み続けて頂ければ分かると思いますが、これらのああしろ、こうしろという項目が正解なのか不正解なのか分かりません。でも他人が言うそれら全てを守れば健康になれると信じて余計に悪化させしまう人がとても多いのではないでしょうか?

 それは貴方が目指している生活ですか?

私は違います。化学物質過敏症以前の制限の少ない、ストレスの少ない生活を目標としました。