【ご一読ください】
この記事は、私自身の体験や調べた情報に基づいた個人の見解です。私は医師・薬剤師ではありません。
症状の判断や減薬・断薬については、決して自己判断で行わず、必ず信頼できる専門医にご相談ください。この記事によって生じた体調変化やトラブルについて、筆者は一切の責任を負いかねます。
化学物質過敏症患者でこの薬を服用している方、または、服用した事がある方は少なからずいるのではないかと思います。
その方々が抗不安薬の依存と耐性により、服用以前には無かった症状を発症して、その症状までも化学物質過敏症の症状と勘違いして悪化させてしまうケースが有ります。
そうならない為に、もしも抗不安薬を服用しているのであれば一読して下さい。興味のない方は読み飛ばして下さい。
私は仕事でインクを扱うのが辛くて眠れなくなってしまい、そのことを近所の内科で相談したところ、抗不安薬を処方されました。この薬は強い薬なので通常毎食後の服用を夕食後だけの処方でした。よく眠れる様になったのを覚えています。でも、医師が薬の説明をするときに雰囲気というか顔つきでこの薬はあまり服用を続けない方が良いみたいだったので辛い時だけ約3ヶ月服用していました。それでも歩いているとフワフワして自分がそこに居ない様な不思議な感覚が有ったことを覚えています。
これらの薬が一方的にイケナイという訳ではありません。適切な処方により、良好な生活を送れるようになった人もたくさんいるでしょう。でもその服用方法を間違えてしまうと辛い苦しみが待っています。
化学物質過敏症患者が陥りやすい「ベンゾの罠」
化学物質過敏症患者がベンゾジアゼピンの影響を化学物質による反応と誤解しやすい理由は、主に以下の3点に集約されます。
1. 離脱症状(離脱反応)の多様性
ベンゾを減薬・断薬したとき、あるいは薬の血中濃度が下がったときに起こる「離脱症状」は、化学物質過敏症の症状と酷似しています。
重なる症状: 頭痛、めまい、動悸、筋肉の強張、感覚過敏(光・音・臭いへの過敏化)、不安感、思考力の低下(ブレインフォグ)。
誤解のメカニズム: 「薬が切れて症状が出ている」のではなく、「何かの化学物質に曝露したから体調が悪化した」と思い込んでしまうケースが多く見られます。
2. 「常用量離脱」の存在
同じ量を飲み続けていても、体が薬に慣れて(耐性がついて)効果が薄れ、脳が「薬が足りない」と判断して離脱症状が出ることがあります。
リスク: 曝露を避けて生活しているのに体調が悪い場合、この「常用量離脱」が原因の可能性がありますが、化学物質過敏症患者は「どこかに見えない汚染源があるのでは?」と疑心暗鬼になり、生活環境を過度に制限してしまう恐れがあります。
3. 脳の過敏性の増幅
ベンゾは中枢神経を抑制しますが、長期使用や不安定な服用は、逆に神経系を不安定にし、外部刺激(化学物質、音、光など)に対してさらに過敏にさせてしまう皮肉な結果を招くことがあります。
それは化学物質過敏症ですか?
以前〇〇支援センターの会報で私の記事を読んだという方から施術を受けたいという電話がありました。娘さんが化学物質過敏症を発症したお母さんからでした。娘さんは7年前にシックハウスが原因で化学物質過敏症になり、近頃調子が悪く体が熱くてたまらない、食事も僅かしか食べられないという話でした。
よく話を聞くと、7年前からデパスという抗不安薬を服用していましたが、5か月前からレキソタンという薬にして、このレキソタンに“暴露”したのが原因と思われているようです。 化学物質過敏症なので、この薬は化学物質だからと言う理由で突然服用を止めてしまったそうです。精神的に不安定になり自分の頭を叩いたり大きな声を上げたり暴力的になる時もあるみたいです。
デパスとレキソタンはベンゾジアゼピン系薬剤で(いわゆる抗不安薬や睡眠薬)多種の成分、薬剤名が有ります。下記補足をご参照下さい。
化学物質過敏症でこのような症状はあまり聞いたことがなかったので、化学物質過敏症専門のお医者さんに診断してもらったのか尋ねたのですが、 娘さんは外出できないので、お母さんが電話で病状を伝えたところ、化学物質過敏症の可能性があるという診断だったそうです。
(病気の診断が出来るのは医師だけなので、私がこの診断についてどうのこうの言える立場ではありませんが、薬の服用を正しく伝えなかったのか、良く聞かなかったのか、どちらかが勘違いしているのではないかと思います。両方の視点を持つ医師に出会うことの難しさを痛感します)
服用している薬について尋ねたところ、内科のお医者さんでもらっているのでそんなに強い薬ではないというお話でした。
不安定な状態でしたので、ご本人が施術を受けたくないと思っている場合は無理ですとお伝えしたのですが、当日朝に連絡したところ、やはりこの方はかなり嫌がっている様です。大きな声が電話口から聞こえてきます。私が訪問する事で悪化したのでは意味がないので結局キャンセルとなりました。
デパスとレキソタンはベンゾジアゼピン系抗不安薬で、内科で処方されたからと言って決して安全な薬ではなく、長期間の服用や摂取量によっては依存性が出る可能性の有る薬のようです。また、急に止めると離脱症状と言って様々な辛い症状が出てくる事もあります。身体が熱いというのも離脱症状かも知れません。
日本では法的強制力が無い
海外ではできるだけ服用を短期間にとどめるよう推奨・規制されている国もあり、一部の国では1-2週までに規制されているとのことですが、日本では厚生労働省による診療報酬上のルール(規制)で、法的強制力はありません。多剤処方や長期処方で、診療報酬の減額がある程度です。あとは医師の判断です。
イギリス (NHS) 原則 2〜4週間以内(それ以上の継続は強く推奨されない)
フランス 不眠症に対しては 4週間以内、不安症に対しては 12週間以内
カナダ・デンマーク 不眠に対しては 1〜2週間以内、不安には 4週間以内
アメリカ (FDA) 2020年に全てのベンゾに「依存・乱用・離脱反応」の黒枠警告(医師や患者に強烈に注意を促すために設置される「最も厳格な警告」)を義務化
この方の例では長期服用した後(2か所の病院から薬を同時に貰っていたとか)、薬を替えて合わなかったのか症状が悪化して、医師に相談もなくいきなり薬を止めてしまいました。 薬の化学物質に暴露したと判断したからだそうです。早めに精神科の専門医を受診するようにアドバイスしましたが、全て化学物質過敏症からくる症状と思い込んでいるようでした。
インターネットが使えないみたいでしたので、全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会からダウンロードした資料をお送りしました。この資料を読んで今服用している薬の副作用の可能性がある事を理解して頂きました。これから信頼出来る専門医を探す事になります。
もし今ベンゾジアゼピン系の薬を服用している方がいましたら、ご自分が服用している薬の量と期間が適正であるか良く調べて下さい。1ヶ所の病院で出せる薬の量には上限があるので、薬が足りなくなって複数の病院から貰う人もいるそうです。その様な事は絶対に止めて下さい。そして自分の判断でいきなり薬を止めないで下さい。以前よりひどい離脱症状が出現する可能性があるそうです。必ず専門医と相談して下さい。
こんな話しを聞いた事もあります。薬を禁止されている化学物質過敏症の療養所に行ったら、身体中が熱くなり、裸で過ごしたという事です。ご本人は身体から化学物質が出ていったのだと話していましたが、離脱反応ではなかったのでしょうか?
ベンゾジアゼピンの減薬に理解のある、あるいは依存症に詳しい専門医を受診して下さい。
全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会ホームページ等も参考されると良いと思います。
化学物質過敏症の症状に薬の離脱症状まで加わるのはさぞかし辛いでしょう。化学物質過敏症の苦しみも、薬の離脱症状の苦しみも、どちらも本人にしか分からない壮絶なものです。この記事が、今一人で悩んでいる方の『なぜ体調が良くならないのか?』という疑問を解く一つのヒントになれば幸いです。
補足
英国のベンゾジアゼピン系薬物離脱専門クリニックが作成した「アシュトンマニュアル」が公開されています。「薬害オンブズパースン会議」「全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会」のホームページからダウンロードできます。参考になさってください。
成分名 主な適応(分類) 代表的な商品名(先発・ジェネリック混在)
成分名と商品名
成分名 アルプラゾラム 抗不安薬
商品名 ソラナックス、コンスタン、カームダン、メデポリン
成分名 ブロマゼパム 抗不安薬
商品名 セニラン、レキソタン
成分名 ブロチゾラム 睡眠薬
商品名 レンドルミン、グッドミン、ロンフルマン、アムネゾン
成分名 クロルジアゼポキシド 抗不安薬
商品名 コントール、バランス、コンスーン
成分名 クロナゼパム 抗不安薬, 抗てんかん薬
商品名 リボトリール、ランドセン
成分名 クロラゼプ酸 抗不安薬, 抗てんかん薬
商品名 メンドン
成分名 クロチアゼパム 抗不安薬
商品名 リーゼ、イソクリン
成分名 クロキサゾラム 抗不安薬, 抗てんかん薬
商品名 セパゾン
成分名 ジアゼパム 睡眠薬,抗不安薬, 抗てんかん薬, 筋弛緩剤
商品名 セルシン、ホリゾン、ジアパックス、セエルカム、セレナミン
成分名 エスタゾラム 睡眠薬
商品名 ユーロジン
成分名 エチゾラム 抗不安薬, 睡眠薬
商品名 デパス、エチカーム、エチゾラン、デゾラム、ノンネルブ、デムナット、モーズン、パルギン
成分名 ロフラゼプ酸エチル 抗不安薬
商品名 メイラックス、ロンラックス
成分名 フルニトラゼパム 睡眠薬
商品名 ロヒプノール、サイレース、ビビットエース
成分名 フルラゼパム 睡眠薬
商品名 ダルメート、ベノジール
成分名 フルトプラゼパム 抗不安薬(非常に長く効く)
商品名 レスタス
成分名 ロラゼパム 抗不安薬, 抗てんかん薬
商品名 ワイパックス、ユーパン
成分名 ロルメタゼパム 睡眠薬
商品名 ロラメット、エバミール
成分名 メダゼパム 抗不安薬
商品名 レスミット
成分名 ミダゾラム 睡眠薬, 抗てんかん薬(※主に注射剤として使用)
商品名 ドルミカム
成分名 ニトラゼパム 睡眠薬, 抗てんかん薬
商品名 ベンザリン、ネルボン
成分名 プラゼパム 抗不安薬
商品名 セダプラン
成分名 クアゼパム 睡眠薬
商品名 ドラール
成分名 トリアゾラム 睡眠薬
商品名 ハルシオン、アスコマーナ、ミンザイン
以上