自宅内の空気質悪化と家族の体調に表れた変化

同居家族までもが毎日原因不明の咳をし、子供は喉の痛みを訴え鼻血を繰り返すように

自分の症状が悪化していったのと同じ頃、家族らにも謎の体調不良が出るようになっていました。おそらく宅内に常時流入する揮発性有機化合物(VOC)や抗菌剤の量が急増したことと連動していたのだと思われます。

 

咳喘息体質の夫は風邪をひいていないにもかからわず毎日咳をするようになり、咳ばかりしているのに発熱なども無く風邪でもウイルス感染でもないということが続きました。

 

換気は活性炭フィルター越しに常時給気、家の清掃はまめに行っておりエアコンの清掃も防カビ剤無しで定期的にしてもらうなど、はっきりと原因として感じられる咳の原因が宅内に見当たらず「なぜ毎日咳をするのだろう?」と不思議には思っていました。

 

元々気管支炎になりやすかった子供については

  • 風邪やウイルス感染の後に気管支炎が非常に長く続く
  • 当方が本格的に重症化する前の半年ぐらい、毎日「喉が痛い」「部屋でマスクを外すと喉がヒリヒリする」と言い出すように
  • 「鼻がすごくつまる」と訴えるようになり、頻繁に鼻血を出し、しかも量が多い
  • 電車に乗って人混みが多い街に出かけると、かなりの確率で鼻血を出す
  • 小児科などに通院して薬は処方してもらっていたものの、咳や喉の痛みがおさまらなかった

といった体調に陥るなど、はっきりした原因は不明ながら鼻・喉がらみのトラブルが続いていました。

 

外で移香してくる抗菌消臭系の臭気は毎日髪・服・下着から全身に浸透、浴室乾燥機で香料抜きをしても翌日また移香して帰宅するという曝露量の多さで心配になるレベルでいわゆるシックスクールの影響もあったのかもしれませんが、それとは別に自宅にいる時に何かが悪さをして喉のヒリヒリ感とアレルギー性の咳が出ているようにも見受けられました。

 

自分も自身の体調について「化学物質過敏症が進行しているのでは」という疑念を持ちつつも、家族全員に共通して呼吸器関連の不調が多かったことから「近所の林や畑から何か飛んできているのだろうか」「何かのアレルギーなのではないか」「また喘息になった」「疲れがたまって自律神経失調症になっているのかもしれない」という見方をしてしまっていました。

重症化を受け色々な対策を講じたところ家族の咳や喉の痛みが突然解消

家族全員に出ていた咳・鼻水などのトラブルですが、自分が重症化し家のあちこちを点検しすきま風が思った以上に多かったことを知り

  • 抗菌剤入り無香料合成洗濯洗剤をやめ、液体石鹸、炭酸塩主体洗浄剤、アトピー患者向け無香料合成洗剤などに変更
  • 抗菌剤入り除菌シート・洗剤の使用を停止
  • 窓サッシのすきまをパテで埋め外からの外気を遮断
  • エアコンホースのパテの大量補充
  • キッチン換気扇を使わない時はクッションでおさえてふさぐ
  • 空気清浄機を複数設置する
  • 浴室乾燥機をフル稼働させ外からもらってくる移香を最大限除去

といった対策を進めたところすぐにピタリと止まり、現在では家族全員家にいても咳は出ず、鼻血の回数も大幅に減りました。

 

いわゆる香害対策を実施してからすぐに効果が出たとこから、アレルギーだと思っていた症状は屋外から流入する洗剤・柔軟剤の成分や、部屋干しで宅内に長時間拡散していた合成界面活性剤や抗菌剤が原因だったのでは…と推測しています。

 

各種対策の前と後との比較から、周辺住戸が排出する洗剤・柔軟剤・香りつけビース類の成分と家族全員の体調改善との間に何らかの因果関係はあったものと思います。

 

ただ、香害や化学物質過敏症については目に見える形で汚染状況を確認できず、また専用機材が高価なことから信頼性の高い業務用機器のデータとして記録した上で発作原因を明示することが難しいことから、ある程度の解決に至るまでかなりの遠回りとなってしまいました。

家族の理解と協力

当初は信じてもらえず、自身の不勉強や対策不足からただただ病状が進行していく日々

それまでは自己診断で「自分は化学物質過敏症だろう」と考え家族にも伝えていたのですが、各種検査も受けた上で診断書が出たことでようやくその発言に信憑性が出たらしく、それまであまり得られなかった協力をしてくれるように。

 

化学物質過敏症を発症したと思われる十数年前は「毎日ふらふらで苦しい」「視力障害が出る」「この家から逃げ出さないと元気になれない気がする」と伝えてもほぼ無反応で、ようやく聞けたコメントも「どんなに口で辛いと言っても、証拠が無いから誰も信じないよ」というもので、引っ越し希望にも反対されたことから発症と同時にかなり重い症状が出るまでに一気に進行してしまいました。

 

この時ネットでもっと必死になってそよ風クリニックや北里大学の化学物質過敏症外来に助けを求め診断書などを出していただいていたら、家族の理解をもう少し得られたり、自分の不勉強から来るその後の過敏症進行を遅らせることができていたかもしれません。

 

発症の翌年に引っ越し一時的に症状が軽快したこと、自律神経失調症がおさまったことで体が一時的に楽になったことも「ひとまず無香料や天然香料である精油入りの洗剤を使っていれば大丈夫」という誤解・過信などを生む原因になり、転居後喘息が重症化してもトリガーが何だったのか考えることもせず、化学物質過敏症と本格的に向き合うことを怠ってしまった気がします。

重症化を機にとうとう家族が心配してくれるように

発症から約12年経って重症化した際、喘息中発作・大発作、手・脚・頭のふるえ/けいれん、嘔吐、歩行障害など目に見えて激しい症状が出てしまいました。

 

「口で言うだけでは本当に病気だとは信じられない」と言っていた家族も相当びっくりした様子で、「病院に行って検査を受けたほうがいい」「山とかに避難しないと良くならないのか」などと声をかけたりしてくれました。特に日野厚生クリニックで正式な診断が下されてからは、化学物質過敏症を発症したという事実を受け入れる気になってくれたようです。

 

香料入りで発作が出てしまっていた家族用のシャンプーを無香料タイプに変えたり、シェーバー洗浄剤使用とオート洗浄から無香料石けんとベビーオイルを使っての手洗いに変更したりしてくれたことで、宅内で起こる過敏症発作を減らしていくことができました。

 

夫については、元々義母が40~50年前から石鹸洗濯や有機食材に関心があり香害・抗菌剤問題にも理解のある方で、無添加料理とパックスナチュロンで育ったことも大きく影響していたようです。

 

石鹸使用や無香料製品に対する抵抗感が薄く自分の意思で石鹸シャンプーを使い続けていた人だったので「香りのある柔軟剤を使いたい」「石鹸なんか嫌だ」と言われることもなく、発作が出にくい洗剤探しをこちら側の体調に合わせ好きなようにできたのは幸いでした。

 

とはいえ同居家族たちから全面的な協力を得られているというわけではなく、家族が持ち帰り移香取りをしないまま部屋に持ち帰る日用品・書籍・プリント類、隠れて購入したり発作を起こすとは予想せず買ってきた食品・小物を通じて曝露することも多く、自宅療養生活が続いているわりには発作の内容がだんだんと神経系異常に遷移してきている自覚もあり、大きな病気になった時のことや老後の心配など、不安もまだまだ大きいです。

実家も義実家も洗濯は元々無香料派という幸運

偶然ですが、自分は実家も義実家も以前から無香料洗剤使用・柔軟剤は不使用というスタンスで、洗濯については実家はハッピーエレファント粉末、義実家は石鹸を使用。

  • 実家:
    ・母親:洗濯洗剤・食器用洗剤は無香料
    ・きょうだい:全て無香料(合成洗剤)
  • 義実家:
    ・義母:長年石鹸洗剤(無香料)・石鹸シャンプー・石鹸歯磨きを使用
    ・義きょうだい:微香合成洗剤(柔軟剤使用かは不明)

以前はマスク無しで会食でき、化学物質過敏症が進行してからも重症化するまでは簡単な不織布タイプの活性炭マスクの装着だけで済んでいました。

 

家に訪問したり実家や義実家から物をもらうことに関して化学物質過敏症発作を心配する必要がほぼ無いなど、重症化してしまったものの家族・親族の理解という点ではかなりの幸運に恵まれていると感謝の気持ちを新たにした次第です。

 

ネット記事・投稿や実際にお話させていただいた先輩患者さんによると、家族の理解を得られず自宅で休まらず悪化していく方、香りつき洗剤・柔軟剤を使いたがる家族との同居や親戚付き合いを通じ曝露を繰り返してしまう方が多いとのことで、化学物質過敏症というのは寛解を目指し本人がどんなに頑張ってもどうにもならない部分というのが色々と重なり周囲の環境に大きく左右される病気なのだと痛感しています。

 

集合住宅における住戸位置と化学物質過敏症

自宅がマンション上階にあることが外出を困難に

ネットなどでは化学物質過敏症患者さん同士の情報交換においておすすめ情報として「マンションであれば最上階がいい」「角部屋がいい」といった話もしばしば見かけます。しかしながら自分は、そうした一見体に良さそう・環境が良さそうな立地を選んだがために病状が進行し、ひどい重症化にまで至りました。

 

化学物質過敏症の発症を自覚している状態でそうした物件に住む件については

  • 規模が中程度~大規模、24時間換気がある、浴室乾燥機があるといった条件が揃うほど、365日24時間大量の香料・抗菌剤が共用部に常に供給され、自宅にいても隣接する住戸から常時吸い込むので、曝露の総量が大きくなりやすい。
  • マンションは24時間換気の有無にかかわらず洗面所・浴室からの排気が廊下側に出されるため、エレベーターから遠い角部屋に住むとエレベーターのところに行くまでに通過する各住戸とエレベーター前の住戸のところで曝露が起きる。
  • 香料などの揮発性物質は上に向かって上昇するので、上の階の住戸になるほど上昇してくる香料・抗菌剤の総量が大きくなりやすい。
  • 上の階になるほどエレベーターで住人や配送業者と乗り合わせる時間数が長くなり、同乗による曝露リスクや他の人の残り香による発作発生に怯えることになる。
  • エレベーターに乗ることを回避したくても、上の階だと気軽に往復できず、階段がある共用部にも各階の住戸から排出された香料・抗菌剤が常に滞留しているので、エレベーター同様曝露リスクがある。

といった問題点があり、ネットで言われているほど化学物質過敏症患者の体には良くなかったです。

 

集合住宅に住んで散歩のための外出も続けるのなら

  • 築年数が古かったりで24時間換気が無い
  • 戸数が少ない
  • 洗面所・浴室からの排気口がそばに無い階段経由で屋外に出られる
  • エレベーターを一切使わずに階段だけでも済ませられる1~3階あたりの、階段そばの端寄りの住戸
のほうがおそらくずっと良いのでは、という気がします。
 
実際に自分はそうした条件の小規模マンションから先述のような築浅中規模マンションの上階に引っ越してしまい大失敗しました。
 
重症化して香料やエタノールなど様々な物質で発作を起こす体質は寛解しても完全には消えないため、一生付き合っていかなければいけない病気を背負うことになってしまった形です。病気になっても入院生活に不安がつきまとい、歯科治療も中断したまま受けられず、老後に介護施設に入ることも在宅介護を受けることもおそらく難しく…
 
悔やんでも悔やみきれない、人生最大級の失敗だったと言っても過言ではありません。

治療と体力向上・免疫力アップのため散歩に行くよう指示されても曝露リスクが高く足が遠のく

通院している日野厚生クリニックからは散歩・運動・日光浴などを行うよう指示されているのですが、住戸数も多い24時間換気のマンションでは屋外に出るまでの距離が長いため外出に当たってはもれなく曝露が起こり、自宅玄関ドアを開けると宅内にぶわっと香料や抗菌剤といった揮発成分が流れ込み、バルコニーには常に香料・抗菌剤が漂っていることからベランダに出ることも難しく、ただただ自宅の室内にいるしかありませんでした。

 

我が家はマンションエントランスからの距離が全物件の中でおそらく最も遠く、抗菌消臭洗剤・柔軟剤の臭気が24時間排出され滞留している共用部廊下やエレベーター内を経由してエントランスにたどり着くまでに数分かかります。

 

嗅覚過敏が進んでから気付いたのですが、移香能力が強く抗菌剤の配合量も増加した洗剤・柔軟剤が普及したことから、共用廊下を行き来して散歩から返ってくると少量とはいえ服や髪に抗菌洗剤特有のツーンとした薬剤臭が移香しているのが感じられるようになり、短時間でも出かけると帰宅後に服を脱いで洗濯しシャワーも浴びなければいけないという面倒臭さとマスクを外して脱衣・入浴する際の曝露により軽度でも発作を起こすのが辛いという気持ちなどから外出の意欲がどんどん低下。運動不足をどう解消するかが課題の一つとなっています。

戸建ての持ち家と違い、マンションは分譲でも勝手な改造ができない

集合住宅で重症化し色々な対策・DIYを行おうとしてネックになったのが、「マンションは窓サッシなどが共有部扱いで、すきま風対策として気密ゴム部品を無届けで交換したり、引き違い窓を開き窓に変更したりができない」という点でした。

 

化学物質過敏症や香害について調べていくうちに「引き違い窓はすきま風が出やすく、リフォームで外開き窓などに置き換えると改善する」ということがわかったのですが、マンションではそれが許されないため、すきまパテで窓サッシの各辺を埋めて外気を遮断する方法を取らざるを得ませんでした。

 

引違い窓でのすきま風トラブルはかなりの悩みの種で、将来持ち家に引っ越すことができたらその時は全部外開き窓にしたいと思った次第です。

24時間換気が停止できないタイプだと外気の流入を止められない

今のマンションに入居して知ったのですが、24時間換気の操作パネルは容易に長時間停止できないようになっていたり、完全停止ができないしくみになったりしているようです。特に不便だと思ったのが、完全停止できず弱風でも常に換気が行われ、外気を引き込んで臭いからといって一時的に風量をゼロにして対処することができない場合がある点でした。

 

自分は活性炭フィルターを給気口に取り付ける前、停止ができない24時間換気のために宅内に臭気を引き込む状況がノンストップで続くシステムに難儀し、一時的にめまいやふらつきが悪化したことがありました。

 

換気や宅内の空気をきれいに保ち二酸化炭素濃度を上げないという意味では全ての給気口を全開にしておくことが望ましいとはいえ、空気浄化対策が十分でない状況では病状を進行させてしまうため、色々と対策グッズを買い込んだり日曜大工(DIY)経験があって自力で色々と設置・改造できなかったりする方にとってはデメリットとなるように感じました。

 

次に転居する時はこの点についてもしっかり確認しなければ、と思っています。

マンション側への相談と管理会社の対応

管理会社は香害や化学物質過敏症の存在を否定

相談は2024年春と2025年春の2回で、初回は主に臭気が誘発した咳と喘息の問題、2回目は重症化の報告や戸別注意喚起の可否と売却時に関連した懸念事項の相談を行いました。

  • 1回目の問い合わせ内容
    ・隣接住戸の洗濯物の香りが食事のにおいがわからないぐらいに強すぎ困っている
    ・喘息発作やアレルギー性の咳を数ヶ月にわたって日夜繰り返し、疲労骨折が起きてしまった
    ・窓を閉めたりしているにもかかわらず臭気がどんどん入ってきてしまうので、何か対策は無いか?自分で色々と工夫したが、十分な解決に至らなかった。
  • 2回目の問い合わせ内容
    ・重篤なアレルギー症状が出て、化学物質過敏症と言われるような病気の重症化が起こってしまった
    ・隣接住戸から排出される臭気が数年前に比べるとかなり強くなっており、戸別に管理会社からの注意喚起を行っていただいたり、当方がお願いを伝えさせていただいたりということは可能か?
    ・転出する場合、売却後に類似した問題が発生するのを懸念している

1回目、2回目の回答は化学物質過敏症、香害、香りで誘発される喘息などの発作などについてその実在や因果関係を完全否定する方針でした。

  • 思い込みに過ぎず、強い香りで病気にまでなるということ自体管理会社として認めない。
  • 夫や子供までもが咳をしたり臭くて気持ちが悪いと言ったりしているというのは作り話なのではないか。
  • マンションなので色々な香料が流れ込んできて当たり前なので、極めて強いにおいで窓が開けられないと感じても、フラフラになったり喘息発作を繰り返したりしても、自分の勝手でそうなっただけ。香りとはどうせ無関係に決まっている。
  • 充満する臭気で食事・健康・睡眠に影響が出たと言っているが、マンションでは色々な家の洗剤・柔軟剤が香って当たり前。自分だって毎日他の家のにおいを吸ってマンションで暮らしている。弱い臭気も強い臭気も全て我慢して暮らしていくのが集合住宅のルール。
  • 共用部での喫煙と違い規約で禁止されていないので、香りつき洗剤・柔軟剤を使っている家はどんなにたくさん使っても許されるべきだし、そもそも誰にも迷惑をかけていない。苦情や病気になったと言い出す側が間違っている。
  • 「売却時の内覧でマイナスになるのではないか」「資産価値減少になってしまうのではないか」という心配はするほうがおかしい。
  • 香りで病気になるというのは思い込みに過ぎないので、売却後同じように強いにおいに困る人だとか体調不良になるといった買い手とかが現れるわけがない。売却時も含め香害に関する具体的対応は管理会社として一切行わない。中古マンションとして売り出せばすぐに買い手は現れる。対策も何もしなくてもいい値段で簡単に売れる。お宅はあれこれ心配しないでさっさとマンションを売って出ていけばいい。

といったもので、結局何の進展も変化も無いままとなりました。

管理会社の対応について

管理会社側には香害について全面的に認めてもらいたいといった期待はせず、せめて窓サッシに関連したアフターサービスなの案内ぐらいはしてもらえればと思っていたのですが、香害問題の否定や当方の体質の身勝手さ・思い込み・ノイローゼという方向へ持っていこうとするばかりで、マンションの構造や排気経路・排気口の位置に関してはマンション販売時に配布していたプランブックの各住戸設計図に反するような発言もありました。

 

化学物質過敏症に直接関係が無い部分でも整合性が見られない回答があり、香害などこの世には無いという論調に終止していたことから、「ちゃんと対応してくれない」という不満よりも「過去に香害や化学物質過敏症がらみで揉めた経験でもお持ちなのだろうか?」「公害問題は一律で却下するという支社や担当者氏の方針なのだろうか?」と当惑する気持ちの方が大きかったです。

 

化学物質過敏症はまだ十分に解明されていない部分も多く、世間で認知されているシックハウス症候群に似ているにもかかわらずその存在自体が否定され、発症を主張する人は「精神病」「神経質」「ノイローゼ」「陰謀論者」と呼ばれ、専門外来で手に入れた診断書も「怪しい似非科学・似非医学により不適切に出された診断」などと言われることも少なくありません。

 

喘息・アレルギー持ちの過敏体質者が他のお宅に無香料製品の使用を強制するといった無茶はおかしいということは理解していますが、化学物質過敏症が実在しない架空の存在で香害が健康被害につながった事例がこの世に一件も無いという主張には首を傾げざるを得ませんでした。

 

発症者が全てをあきらめ這這の体で売却・転出し、買い取った関連会社が何も無かったように環境に恵まれた優良物件として売り出す、といった流れになってきてしまったことで、集合住宅住まいだった化学物質過敏症患者さんたちがネットで報告されたりしている「全く取り合ってもらえなかった」「神経質で頭がおかしい人扱いされた」「泣き寝入りだった」といった体験談に思いを馳せたりもしました。

香害問題と専門外来主治医の意見書

本件ついては日野厚生クリニックの院長先生が疑問を呈し、香害による健康被害や化学物質過敏症の実在を否定する発言に関しては認識を改めてもらうようにとの意見書を作成することも提案してくださいました。

 

管理会社の回答にショックを受けるとともに交渉を続けることに意義を見出だせず自己努力による対処という方向性にシフトしたこともあり今のところ意見書作成を申請するには至っていませんが、多くの患者さんたちを見てきた立場の先生からそういうふうに言っていただけて心強かったです。

 

なお、

  • 外部の建築士を入れて窓サッシなどに経年劣化や歪みによるすきまの拡大が認められても、管理会社が補修・対処を拒絶する
  • 専門業者に総揮発性有機化合物(TVOC)濃度を測定してもらい住戸で基準値超えの空気質汚染が起こっていることが確認できても、喘息悪化や化学物質過敏症などとの因果関係を否定し、窓サッシの部品交換なども認めない
  • 売却後同様の喘息・アレルギー疾患事例が発生し責任を問われる可能性について、一切責任を負わず関知しないという方針を取り続ける

といったことになり管理会社とのやり取りを弁護士を立てての調停という形にする場合には、弁護士さんと院長先生との間で司法面談を行い、事実関係の確認や意見書の使用意図についてしっかり聞き取りをしてから意見書を書かれるとのこと。

 

日野厚生クリニックによると、患者側の主張だけで作れるようなものではないので、弁護士が日野厚生クリニックを訪問→司法面談→意見書を作成→管理会社との調停に使用、という流れになるとのことでした。患者の言うがままに書類を発行することで起こるトラブルを防ぐよう、しっかりルールが設けられている模様です。

色々と模索したものの寛解からは程遠い日々が続く…

結局、窓を閉めていてもどんどん外気が入ってきてしまう引き違い窓の劣化したゴムパーツの交換を行うといった補修を受けたりすることもできず、「時間がかかるから解決にならない」「管理組合に相談するなどおかしい」「管理組合に言ってもどうにもならない」「管理会社は本件に関して管理組合には取り次ぎはしない」と管理組合への事例報告・相談も止められたりで、自分自身で何もかも対処しなければならず、共用部に当たる窓サッシなどを損壊しない範囲内での改造を模索しつつ試行錯誤しているうちに病状が進行し、重症化そして社会復帰のめどが立たない療養生活の長期化という取り返しのつかないことになってしまいました。

売却・転居を目指し香害・シックハウス問題に詳しい専門家に相談

日野厚生クリニックへの通院が始まってしばらくは頼れる人も無く、ただただ自宅療養するだけの日々でした。

 

事態の打開を目指し実家が色々と周囲に相談してくれていたようで、そこから先輩患者さんへの相談、シックハウス症候群問題に関心のある建築士さんとのやり取りが開始。香害やシックハウス問題を扱った経験のある弁護士の先生に相談させていただく機会を得ることができました。

 

元々マンションを訴えたいとか猛臭を発していた隣接住戸に健康被害の責任を直接負わせたいとか思っていたわけではなく、化学物質過敏症界隈の色々な事例からもそういったことは逆効果になりかねないと承知していたので

  • 全てを否認して対応を拒否している管理会社とどうやり取りするのが良いか
  • こうした問題住戸の資産価値や売却、売却後の責任問題の実情はどうなっているのか
  • 化学物質過敏症患者が発生した住戸をとシックハウス症候群の事例にならって売却するとしたら、どんな対策ができ得るか

を主な問題点として相談を行いました。

 

弁護士の先生からは

  • 化学物質過敏症は屋外から流入する洗剤・柔軟剤の成分だけでなく様々な原因が重なって発症すること、因果関係を科学的に証明することは難しいことから、裁判で何かを勝ち取るとか責任を負わせるとかが希望だとなると勝ち目が無い。
  • 管理会社というのは住民が思っているほどの権限は無い。できる対応には限りがあり、住民が直接やり取りすることを禁じる規約が無ければ、他住戸や管理組合長と直接やり取りしても構わない。
  • 他住戸とやり取りする時は、「この洗剤を使ってください」「無香料に変えてください」「柔軟剤は使わないでください」と相手の洗濯スタイルを大きく変えさせる実現・継続が難しい強制に近いお願いをしたり、長いプリントやチラシを渡したりすると引かれることが多くこじれてしまうので、普通の洗剤・柔軟剤ユーザーが耳を傾け受け入れやすい伝え方やお願い内容を考えるのが良い。
  • プリント類を渡す時は読む気が無くならないよう簡潔に枚数を抑える。
  • 化学物質過敏症が実在しないという管理会社側については、各種検査の上で診断書を出してもらえる日野厚生クリニックの診断書が効力を示すことが多いので、コピーを提出すると対応が変わるかもしれない。
  • 健康被害が出たという事実がありながら黙って売却し同様の香害・喘息被害・化学物質過敏症被害などが発生した場合、責任問題になることもあり得る。
  • できるならば総揮発性有機化合物(TVOC)濃度を測定する専門業者を入れ、データ・証明書の形で記録を取ってから売却を進めるのが望ましい。シックハウス症候群など屋内の空気質にかかわる基準値を超えていた場合管理会社に通達すれば良いし、基準値を上回っていなければ普通に売却しても大丈夫では。

との回答をいただき、マンションとの抗争や他住戸への要求といった形ではなく、適切な手順を経ての売却と転居として、化学物質過敏症患者側の無理・無茶を押し通そうとして軋轢を生むような言動を避けながら準備をしていこうという話になりました。

 

なお築年数の割には劣化が早い窓サッシの気密パーツについては、カスタマーサポートの◯年保証に含まれている場合は、化学物質過敏症や香害問題とは切り分けて通常の手順で申し込むのが良いだろう、とのことでした。

重症患者には耐えることが難しい集合住宅生活

集合住宅でそれなりに元気に暮らせると漠然と思い込んでいた自分の甘さを痛感

自分自身も24時間換気の築浅マンションにおける香りの問題がここまでひどいとは知らず、認識不足だったと思います。

 

購入当初は入居者が少なく窓も自由に開けられ、入居した頃もまだそれほどでもなかったのですが、完売になった時点で大きく状況が変化。ほんの数年のうちにツーンとした刺激臭のある成分を含んだ抗菌消臭洗剤・ハイター・柔軟剤・香りつけビーズが急速に普及し目・鼻・喉の痛みが出たり咳・鼻水・鼻血が止まらない不眠続きの生活になるとまでは想像しておらず、活性炭フィルターをも貫通して侵入してくる成分にこれほどまでに悩まされるとは予想できていませんでした。

 

化学物質過敏症になったと自覚していて強い香りで発作が誘発される病気である喘息の持病まで持っている人間が集合住宅で元気に過ごせると考えること自体が甘かった、化学物質過敏症患者はマンション・アパート住まいにそもそも向いていなかった、と認識を新たにし、今後の生活について色々と思案しているところです。

寛解を目指して…

今は自宅にこもっている限り大きな発作も少なくある程度の療養ができているとはいえ、未処理の外気の空気質の悪さはかなりのスピードで進行しており、老後まで長く住める場所ではないことを実感。化学物質過敏症も嗅覚過敏も重症化した自分はもはや集合住宅には住めない体質に変わってしまったことから、近い内に転出して集合住宅が少なく戸建てが密集していないエリアを探して住むことになりそうです。

 

近隣に化学物質過敏症患者向けの無添加住宅賃貸などは無いこと、新築・中古・賃貸ともに転居が難しいほどに重症化したことから、実質的には売地を探して化学物質過敏症対応住宅を建てるしか選択肢が無い状況です。

 

とはいえネットで色々な方の体験談を読んだり実際に先輩患者さんから話をうかがったりすると、戸建ては戸建てで住む場所や立地によっては香害被害がひどく隣人関係の悪化なども含め集合住宅とはまた違った問題がある様子。不動産相場の高騰で多くの人によってマイホームが縁遠くなってきている昨今ですが、次に転居する機会に恵まれた時には、何度も下見を重ね慎重に行動したいと思っています。

 

重症化した翌日、予約不要の化学物質過敏症問診を受ける

まず最初に日野厚生クリニックに問い合わせたのですが、専門外来だと2ヶ月待ちになるとのことだったので、「このままでは自分の体がもたない。一刻でも早く受診したい。ひとまずどこかのクリニックを探そう。」と検索。

 

検査もせず書籍やネット記事だけを頼りに自身の判断で色々と方針や対策を決めて静養するだけで寛解するとはとても思えない体調になってしまったことから、化学物質過敏症に関する問診も行っているという近場の内科に慌てて問い合わせ、厳重なマスク装着の上電車になんとか乗りたどり着くことができました。

 

血液検査などはせず心療内科・精神科的な観点から聞き取りを行うというタイプの診察だったこと、重症化直後で化学物質過敏症の問診票に含まれる多くの項目に関して未確認だったため要件が揃わず、この時点では化学物質過敏症とは確定せず「化学物質過敏症の疑い」もしくは苦手意識や思い込みから来る精神的なもので、「自分は化学物質過敏症になったと考えているものの、実際には心理的要因で強い発作が出ているかもしれない」という診断となりました。

 

診察の際ドクターが「血液検査を行っている化学物質過敏症外来に行けば、もっと詳しく調べられる。本当に重症な人だと、そういう検査でデータとして表れてくる。」「toraさんは化学物質過敏症の問診の点数が足りないので、残念だけど化学物質過敏症という診断書は出せない」ということを話されたのですが、思い込みやノイローゼでは片付けられないぐらいに激しい症状で神経系の誤作動だと感じるような反応が出てしまっていたことから、意識改革や気持ちのありようの改善でどうにかなるレベルではないような気もして、専門外来の助けを借りないともはやどうにもならないと痛感。

日野厚生クリニックの化学物質過敏症専門外来へ

問診だけの簡単な診察では足りないと痛感、日野厚生クリニックに電話をかける

本格的な重症化の翌日「やはり遠くても、2ヶ月待ちであっても、予約を取って化学物質過敏症専門外来に行かなければいけない」という気になり、その日に日野厚生クリニックに電話をして予約を入れました。

初診を待つ間にも化学物質過敏症と思われる重い発作はいっこうにおさまらず、日用品・文房具・食品などから揮発する成分や香料、柑橘類や一部野菜のにおいでも発作を起こすなど、悪化した症状はどんどん進行。仕事には行けなくなり、子供の学校行事には一切参加できなくなり、途中だった歯科の治療も受けられなくなり、通販や宅配サービスに頼って自宅療養する長い日々がこうして幕を開けました。

電車やモノレールに乗れないので、自転車をひたすらこいで何時間もかけ往復

電話予約から約2ヶ月後、日野厚生クリニックの初診の日を迎えました。

 

体調はいっこうに良くならず、防護マスクをしていてもわずかに吸い込んだ臭気・成分で喘息大発作やけいれんを起こすおそれがあるなど電車・バス・タクシーに乗ることすら難しかったため、長距離走行できるよう電動自転車のバッテリーを買い足し、予備の1個は自転車かごに入れ、長い時間をかけて日野まで行きました。

 

その時は嗅覚過敏もひどかったためカップ型活性炭防臭マスク(ハイラック)を装着していても院内のにおいや他の方の香りなどが感じられ受付前の椅子にいることができず、待合室外に置かれた椅子に座って順番待ちをしました。

 

道中化学物質過敏症発作が起きると思考能力が落ちてしまい発話もままならなくなるおそれがあったので、発症までの経緯を詳しくまとめたA4用紙数枚(必要であれば先生に手渡す目的もあり作成)、ネットで入手した化学物質過敏症診断用の問診票に記入したものを持参。日野厚生クリニックで渡された問診票はそれらを見ながら記入しました。

翌月の電話再診と診断結果

血圧計測、採血、問診を受け、翌月に結果の通知がありました。診断結果は

  • 化学物質過敏症
  • 嗅覚過敏
  • 平衡障害
  • 活性型ビタミンD欠乏

でした。

 

治療と主治医である坂部貢先生からの指示は

  • ビタミンDの積極的な摂取
  • 亜鉛不足にも気を付ける
  • 散歩など運動を心がける

などでした。

 

ビタミンD欠乏に関しては、免疫機能を低下させたりアレルギー反応が強く出やすくなったりするほか、骨粗鬆症になるリスクを高めるとか。

 

喘息・アレルギー体質で母や母方親族に骨粗鬆症患者が非常に多い自分は、もしかするとこれまでにも遺伝的なビタミンD欠乏体質が色々な体調不良の形で出ていたのかもしれません。化学物質過敏症重症化を機に、骨粗鬆症にかかるリスクが高いかもしれない体質である可能性を自覚できたことはある意味不幸中の幸いでした。

電話再診とビタミン剤の調達

日野厚生クリニックは初診の検査・採血・問診の時は対面でしたが、その後はずっと電話再診なので、診断が下った時も処方箋を出せない電話再診だったことからビタミン・ミネラル剤やビタミンDの錠剤は自分で調達しました。

 

化学物質過敏症対策でマスク、空気清浄機、すきまパテ、窓サッシすきまテープ…と出費がかさむ中ビタミン剤にも保険がきかないとなると金銭的な負担を感じましたが、ネットでも紹介されている「化学物質過敏症の療養に必要なものは確定申告での医療費控除が受けられる」について後日問い合わせたところ、提出が必要になった時点で日野厚生クリニックに申し出て品目を書き添えた診断書を作っていただくことが可能だとのことでした。

治療の成果、汚染された外気を宅内に引き込まないための各種対策の効果

今回自分は自律神経失調症の悪化と化学物質過敏症の進行が重なる形で重症化し、遺伝と思われるビタミンD欠乏症により発作がより重たくなるという問題も抱えていました。

 

日野厚生クリニックは対処療法が中心ということでビタミンD欠乏や亜鉛不足に気を付けるよう指導され、体質改善などを心がけた生活を送るよう勧められました。

 

また原因物質をなるべく避けるように、具合が悪くなる場合は洗剤を使用する際もこまめにマスクをつけるよう注意を受け

  • 「どうして窓を閉めているのに家の中まで洗剤・柔軟剤臭がこんなに充満するんだろう?」と思いながら我慢するのはやめ、外気流入経路を徹底的にふさいで活性炭フィルターの設置状況も改善する
  • 窓の開閉はあきらめ、すきまはパテで埋めてしまい未処理・未浄化で宅内に侵入する外気を完全シャットアウト
  • エアコンホース穴の中に詰められていた資材を撤去し代わりにパテで穴埋めし外気流入を極力遮断
  • 空気清浄機を増やして宅内で24時間処理を行い、少しでもきれいな空気を吸って生活する

といった対処を行ったところ、化学物質過敏症対策関連のDIY技能が上がるにつれ体調も楽になっていきました。

 

特にすきまパテによるすきま埋めと給気口に設置していた活性炭シートの設置状況改善の効果が非常に大きく、窓やエアコン配管の付近に近寄るとめまいや平衡感覚以上でふらふらになり呼吸困難を起こすといったことがほぼ無くなりました。

 

喘息や気管支炎のような症状が続いていた家族全員の咳が以来ぴたりと止まり、自分も目・鼻・喉の謎の痛みや不眠が急におさまり、悪夢を見ることや寝ている間のこむら返りも減って睡眠の質が上がったことで体もだいぶ休まるようになりました。

自宅療養中に新たに表れた症状

日野厚生クリニックでの電話再診を続けながらその都度の体調・症状に合わせたアドバイスを受けるようになってから約8ヶ月。

 

嗅覚過敏も含む自律神経失調症的な部分はだいぶ良くなってきたとはいえ、重症化前後には無かった症状も途中で表れました。

使える洗剤を求めあれこれ試すと、短期間で過敏症反応や肌荒れが起こるようになり使えなくなる

最初は合成洗剤で過敏症発作

そもそも2025年初めに化学物質過敏症が重症化したきっかけの一つが、「化学物質過敏症が進行していたところに洗濯洗剤のファブラッシュのリニューアルと濃縮洗剤化が重なり、合成洗剤や有機溶剤で発作をおこしやすくなった状態で代替となる無香料液体合成洗剤を次々に試し、鼻で直接においをかいだりしてしまった」ことでした。

体に良いと言われる石鹸も短期間で反応が出てしまい100%石鹸ライフを断念

そうした無防備な曝露によりほとんどの無香料合成洗剤の原料臭・成分に反応してめまいや目・鼻の痛みが出てしまったこと、一般的には「化学物質過敏症になったら石鹸にすると体調が良くなる」「化学物質過敏症の人でも石鹸なら使える」として知られていることから、台所洗剤や洗濯洗剤を純石鹸に変更。

 

液体石鹸よりも粉石鹸が洗浄力も強く石鹸かすが出にくいと知って粉石鹸を買い込んだり、ベストな選択を求めていくつもの製品を試しました。

 

当時は嗅覚過敏がひどく粉石鹸はどれもにおいが強く気持ち悪くなってしまったこと、粉石鹸と一部の液体石鹸は目・鼻の痛みも出たことから石鹸生活自体は最初からパーフェクトだったわけではなかったのですが、シャボン玉石けんの液体石鹸であれば苦しくなりにくいことがわかり、石鹸+クエン酸リンスによる洗濯を続けることができました。

 

当初は詰まっていた鼻の通りが良くなり体も楽になるなど良い傾向が見られ「さすが石鹸」「タオルもふわふわになった」と感動したのですが、次第に

  • クエン酸のにおいで血圧が急上昇したり、めまいが起こったりする
  • 石鹸洗濯をした服を着ると汗をかいた時に湿疹が広がってしまう
  • 石鹸洗濯した服から立ち上る特有の残り香で息苦しさや気持ちの悪さが出る
  • 石鹸洗濯をしてしばらく経った寝具を使うと、石鹸特有の残り香が酸化したような臭気とその成分に包まれ、化学物質過敏症のような症状が出て目・鼻のビリビリ感まで起こり寝るどころはなくなってしまった

といった悪影響が出てきてしまい、石鹸洗濯生活は比較的短期間であきらめざるを得ませんでした。

アルカリ洗浄剤を試すも1ヶ月ほどで発作が起きるように

そして次に試したのが浄(JOE)、セスキ炭酸ソーダなどのアルカリ洗浄剤でした。こちらは石鹸よりも無症状で使えた期間が短く、1ヶ月ほどでめまいや血圧急上昇を繰り返すようになり、お湯洗濯中の洗濯機前で体が崩れ落ちるような体調不良まで起こってしまい断念。

 

石鹸洗濯でリンスとして多用していたクエン酸でもめまいや血圧急上昇を起こしてしまい、洗濯以外に風呂掃除や蛇口の掃除に使うことも控えざるを得ませんでした。

 

石鹸やナチュラルクリーニング定番の洗浄剤で次々に過敏反応を起こし、次第に使える洗剤が減っていき、敢えて合成洗剤に戻りアトピー患者さん向けの低刺激洗剤スピカココの粉末洗濯洗剤に落ち着きました。

一度だめになった洗剤や洗浄剤は体調が落ち着いてきても使えず…

自宅療養が続き体調が落ち着いた時に「もしかしたらまた洗浄力がもう少し強めの合成界面活性剤が使えるかも?」「炭酸塩系のアルカリウォッシュLとかはどうだろう?」と試しに数日使ってみたのですが、

  • お湯洗濯中に洗濯機に近づいたり設置場所の洗面所に入ったりするとめまいがする
  • 最終すすぎで水が透明になるまでにしても、脱水して部屋干しを始めると目・鼻の痛みやめまいが出ることがあった
  • 部屋干しを数日続けたら鼻詰まりが復活、鼻血の回数が増えだした
  • 脱水後の洗濯物を素手で触ったり洗ったタオルで手を拭いたりしたせいか、急に手のひらがガサガサ・ボロボロになり、手の甲があかぎれのようになる
  • 自宅療養を始めてからずっと出ていなかったこむら返り(足がつる)が復活してしまった
  • 治ったはずの異臭症(常に焦げ臭く感じる)が再発してしまった
  • しばらく落ち着いていたはずの高血圧発作が出てしまった

など、化学物質過敏症の寛解を目指し少しずつ前進していたはずの大量がかなり巻き戻されてしまいました。

過敏状態の体と炭酸塩等アルカリ性化合物・酸素系漂白剤・酵素入り洗濯洗剤で起きた手荒れ

酵素入り洗濯洗剤での手荒れ
拡大注意:炭酸塩・酸素系漂白剤・酵素入り洗濯洗剤での手荒れ

 

特に気になったのが、療養中に避けていた合成界面活性剤ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルエーテル主体で、炭酸塩・過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)などのアルカリ性無機化合物や酵素が入ったタイプの洗濯洗剤に切り替えてみてからたった数日で進んだ手荒れでした。

 

めまいや目・鼻の傷みは重症化直後からあったので新たな変化というわけではありませんでしたが、昔から肌刺激のことを考え酵素入り洗濯洗剤は使わないようにしており、浄(JOE)のリピートをしなかった一因でもありました。

 

今回は「少し丈夫になってきたから他の無香料洗濯洗剤もいけるのでは?」と期待して業務用ヤシノミ粉末、ジョリーブココ、ORBISスーパークリーンなどを買い込んでせっせと洗濯。保護のために手動投入の時は手袋をはめ、投入時や洗濯機に近寄る時はマスクも装着していたのですが、脱水後部屋干しする時は素手で触っていたのが良くなかったようです。

 

特に手のひらや指先はそれらで洗濯したタオルに繰り返し触れる箇所ということもあって、ほんの数日で脱脂や変性が起き、手のひらや指の腹はシワシワのボロボロになり、手の甲の一部はあかぎれのようになってしまいました。

 

洗濯洗剤の漂白剤や酵素については、その化学的な性質から敏感肌や生地に負担をかけるということが知られていてネットの一般向け洗濯洗剤情報ブログなどでも紹介されています。アトピー治療に関しても酵素入り洗濯洗剤は肌荒れやかゆみの原因になるといった話がよく出てきますが、化学物質過敏症が重症化した自分にとっても刺激が強かったようです。

 

酵素などは衣類に残留しやすく肌荒れを起こしやすいアルカリ洗浄剤もそこに加わると肌刺激が増してしまうとか。流水すすぎを5~7回繰り返して洗濯槽の水が透明になってから脱水しても手荒れが止まらなかったので、最終すすぎ終了後の水が透明でも取り切れない残留成分がそれなりにあったのだろうと思われます。洗濯洗剤というのはどんなにすすいでも衣類に残留するそうで、それを自ら体感した出来事ともなりました。

 

一度過敏症反応が起きるようになったものをまた使えるのではないかと期待して手を出してしまいましたが、手がこれだけ荒れるとなると体の他の部位の肌や目・呼吸器の粘膜にも良くなさそうだったので、無配合タイプと比べての洗浄力や皮脂臭の取れ具合に感心しつつも、改めて使用を自粛することとなりました。

異臭症

重症化して半年が過ぎた頃、急に「なんだか部屋が焦げ臭い」「キッチンで何か焦がしてしまったのだろうか?」「給気口の活性炭フィルター外が足りなくて野焼きの煙が入ってきているのだろうか?」と気になるようになりました。

 

しかしそれらしき原因は見当たらず、次第に焦げ臭さだけでなく焚き火の煙に当たった時のように目の痛みまで出始める始末でした。

 

ネットで調べてみると異臭症の典型的な症状だそうで、1ヶ月ほどで落ち着いてきました。日野厚生クリニックの坂部先生に報告したところ、亜鉛不足になると発症してしまう人が少なくないそうで、ビタミンD欠乏以外にも引き続き亜鉛不足にも注意するようにとの指導を受けました。

 

なおこの異臭症は上でも書きましたが、自分の不注意から再発させてしまい、化学物質過敏症が重症化してから2度もかかってしまいました。

スイッチ現象

合成洗剤→石鹸→アルカリ洗浄剤と試したもので次々に化学物質過敏症反応が出てしまったり異臭症などの新たな症状が起こったりする件ですが、電話再診で相談したところ「化学物質過敏症患者さんに多く、不調に陥っていた自律神経が適応しようと働くことで起きるスイッチ現象」だと教えていただきました。

 

化学物質過敏症重症化に際し重度の自律神経失調症状態になっているので、短期間で洗剤や洗浄剤で過敏症反応が始まったり、異臭症や高血圧などその時その時で化学物質過敏症の発作の内容が遷移していくということのようです。

 

当初は「自宅療養していると次第に症状が軽くなり寛解に向かっていく」と単純なことを考えていたのですが、すっかりおかしくなった自律神経が正常化を試みる過程で色々な異常やら誤作動が起きるというのは考慮に入れておらず、気を抜くとぶり返してしまうこともあったりと、なかなか気を抜けずにいます。

 

発症時から苦手で最終的に使用不可にまで悪化したもの、重症化してから新規に発作が起きたりで避けているもの

共通点としては「揮発性有機化合物」「人工香料使用」「エタノール等の有機溶剤含有」「揮発性有機化合物を放出する可塑剤や粘着剤が含まれるもの」で、揮発性有機化合物(VOC)を何らかの形で放出しているものがだめになってしまいました。

 

それ以外にも反応する物質があるため、おそらく多種類化学物質過敏症(Multiple chemical sensitivity、MCS)になっているのだと思われます。

人工香料や精油などを配合した洗剤・シャンプー・芳香剤・日用品・文具等

  • 精油入りの石鹸シャンプーであるパックスナチュロン、精油入りの海外製オーガニックシャンプーなどでも発作▶石鹸ではかゆみと湿疹が出るようになったため、スピカココの無香料合成シャンプーやiHerbで買える海外オーガニックシャンプー等に切り替え
  • ふるえ/けいれんも含めかなり重い発作が出るので、外から持ち帰ったものに関しては念入りに移香取りしてから各部屋に戻すか、玄関の移香取り作業スペースにあるポリ袋内に保管

無香料合成洗濯洗剤、無香料食器洗剤、無香料掃除洗剤で安定化剤などとしてエタノールや有機溶剤が入っているもの

  • 吸った直後にめまい、ふらつき、平衡障害、歩行障害が出るためどうしても扱う場合は活性炭マスクを装着
  • 重症化を機に溶剤含有量が多い濃縮タイプの使用を中止

エタノールやグリセリンなどのアルコール類が入ったシャンプー・クリーム・化粧水

  • 重症化直後は無香料で無添加などと書かれた化粧水やシャンプー類でも息苦しさが出たり、肌に塗ると強いかゆみが出たりして難儀

エタノール、抗菌剤(例:第四級アンモニウム塩)入りの除菌シート・除菌スプレー

  • 重症化以降、抗菌剤入り掃除シートで拭いたエアコンを稼働させた途端アレルギー症状が起きるなど、過敏症発作に影響していると感じるような出来事を体験
  • 抗菌剤入りのものはおそらく鼻炎・鼻血・咳・喘息などのアレルギー発作の原因になっていたと思われるため、やむを得ず使い切らずに廃棄
  • エタノールとアルカリ電解水だけを使った掃除シートのみ必要に応じてカップ型活性炭マスクを装着の上使用

揮発性物質が多い粘着テープ(低VOC設計の特殊製品を除く)

  • 通常タイプの養生テープや透明ビニールテープでめまい・息苦しさ・平衡障害・歩行障害が出る▶低VOCタイプに切り替え(ただし低VOCタイプでは揮発臭を感じにくいものの、また違ったタイプの素材臭があるため居室内にずっと貼っておくことは不可能)
  • 目張りなどに一時期使っていた養生シートは全て撤去

油性マジックペン

  • 持ち物に名前を書く時は現在でもカップ型活性炭マスクを装着の上作業

塩化ビニル製農業用透明ビニールシート

  • 重症化直後、窓際からの外気流入を遮断しようとして購入したものの素材の臭気・揮発性物質で発作を起こし開封直後に使用を断念
  • 揮発性有機化合物(VOC)を宅内で常時供給する汚染源になってしまうため屋外に撤去したまま臭気抜きを兼ねて干し続けたものの、完全な除去は困難で使う機会が無いまま廃棄

関連URL:

https://jsce-ac.umin.jp/200725/26-1-07-23.pdf

臨床環境医学 第26巻第1号『塩化ビニールと健康障害』

ガソリンスタンド

  • 揮発性有機化合物全般で発作が起きるようになったため防御の力が低い不織布タイプ活性炭マスクだけで近付いたり自分でセルフ給油(運転中過敏症や喘息の発作で意識がもうろうと危険なのでペーパードライバーに転向)したりは困難に、外出時はカップ型活性炭マスクで通行

タバコの煙、野焼きなどの焚き火、バーベキューの煙

  • 重症化の前から目の痛み・涙・喘息発作が出ていたため、現在でも回避を継続
  • 最近はグリルから出る焼き魚の煙でも目の痛み・涙が出るようになったため、フライパン調理に切り替え
  • フライパン調理でも焦がすと目の痛みや息苦しさが出るため、調理中の見張りは必須に

重症化してから使用・摂取に制限が出たものの

以前は平気だったのに、かいだり吸入したりすると即時にめまい、目・鼻の痛みが起きたり、合成洗剤のように連用により鼻詰まり・鼻血・目やになどのアレルギー症状が起こるなどして「使い始めると体調が下り坂になる気がする」と自覚するようなものも増えました。

 

自宅療養を初めてから体調はある程度良くなりましたが、一度発症したアレルギーの類は元に戻らないようで、発作が起きやすい物質は1年近く経ってもほぼ変わっていないです😥

エタノールや有機溶剤の含有が無い液体合成洗剤、粉末合成洗剤

  • 安定化剤やエタノール等の含有有無にかからわず、特に液体タイプ原液の臭気・成分でめまい・目の痛みなどが出やすい
  • 色々な種類の合成界面活性剤について、お湯に投入するとめまい・目の痛み・息苦しさが起きやすくマスクでの防護が必要(マスク、手袋、メガネによる曝露防止は洗剤メーカー各社のデータシートに注意事項として掲載されている内容)
  • 「植物生まれ」「低刺激」と書いてあってもポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの合成界面活性剤に炭酸塩や酵素を加えたタイプでは流水すすぎ4~6回ぐらいをしても少量の残留成分で洗濯時にめまい、部屋干し直後に目・鼻・喉がピリピリする、突然大量の鼻水や連続のくしゃみが出る、指・手のひら・手の甲が数日でボロボロになるなどかなりはっきりとした影響が出る
  • 配合されている合成界面活性剤の有害性表示の強弱に応じて過敏症発作の度合いが変わってくるらしく、合成洗剤を使いたい場合は成分表や安全データシートをよく見て買う必要あり

菓子・ジュース類や文具に含まれる人工香料

  • 重症化直後、青い色の消えいろピットでかなり強い呼吸困難・ふるえの発作(メーカーに問い合わせたところ人工香料入りとのこと)▶以後スティックのりは無香料タイプを探して購入
  • 菓子やジュースは特に紫ぶどう風グレープ香料で発作が重く、重症化以降から現在に至るまで発作が起きやすい▶人工香料入りジュースをやめ、移香取りがしやすい缶入りの100%ストレートジュースをまとめ買い

石鹸(洗濯後の臭気、粉石鹸、一部液体石鹸)

  • 粉石鹸は短期間の使用の後ほとんどで目・鼻の痛み、めまい、血圧急上昇が起きるようになったため使用を中止
  • 液体石鹸はにおいの強いものでめまいや目・鼻の痛みが起きるため、臭気が少ないもののみ使用(主に皿洗い、下着の予洗い用)
  • 石鹸で洗濯すると衣類やリネンから漂う特有の臭気で息苦しさや目・鼻の痛みが出て、汗をかいた部分に湿疹が出るようになり、石鹸洗濯オンリー生活は断念
  • ミヨシの泡ハンドソープや液体カスティールソープは使えているため、手洗いと入浴に関しては現在も使用、ただし洗髪すると頭がかゆくてたまらなくなるため顔・体のみ

ナチュラルクリーニング向け洗浄剤(炭酸塩、セスキ炭酸ソーダ、クエン酸など)

  • 石鹸洗濯でリンスのためクエン酸を多用しているうちに臭気・蒸気を吸うと苦しさを覚えるようになり洗った衣類を部屋干しするとその部屋で具合が悪くなるため、クエン酸入りの洗剤は使用を中止▶自宅療養で多少使えるようになり、蛇口の水アカ取りの時のみマスク着用の上で使用
  • セスキ、アルカリウォッシュL、浄(JOE)などでお湯洗濯すると洗濯機から漏れる臭気・蒸気でめまいや血圧上昇を起こすようになり断念▶合成洗剤のスピカココに切り替え
  • 重曹と過炭酸ナトリウムは苦しくなりにくいので、掃除や除菌に使用

不織布タイプ使い捨て活性炭マスク

  • ツーンとした素材臭で息苦しさやめまいなどの発作を起こし重症化後1年近く使用できず
  • 体調が良くなってきてから短時間であれば装着可能に
  • 活性炭マスクでもカップ型のハイラック550、555については移香が無ければ長時間装着可能

合板製の家具

  • 安いIKEA家具からそれなりの価格で買ったキッチン収納棚、マンションに備え付けの収納まで、扉を空けると中にたまっていた素材臭や接着剤などから揮発したと思われる揮発性有機化合物でウッとなったりめまいが出たりする

印刷物・本

  • インクから出る揮発性有機化合物でめまいや息苦しさが発生
  • 最もひどかった頃は自治体から来る白黒のおしらせプリントを開封したり手に持って読んだりすることもできず

柑橘類の皮

  • 柑橘系の香りでもある揮発性有機化合物であるリモネンが原因
  • 重症化直後は柑橘類入りの段ボール箱に近寄るだけで発作、ビニールで包まないと置いてある部屋に入ることも不可
  • 体調が改善した現在は、指にオイル分や香り成分が残留しないよう、皮をむく際やディスポーザーで破砕する際に手袋とマスクでの防護が必要

料理酒、本みりん

  • 重症化当時は苦しくてふらふらになり使用できず
  • 現在でも体調が悪いとアルコール過敏症が出やすく、必要に応じてマスクを着用

生にんじんのにおい

  • 香り成分(揮発性有機化合物)が合わないらしく、嗅覚過敏・化学物質過敏症重症化時は切るだけでふらふらになり体調不良に
  • 現在は重症化前よりも依然として気になるとはいえ調理が可能に(ただ新にんじんだと苦しくなりやすい)

カフェイン(お茶、チョコレート、コーヒー、配合されている市販風邪薬)

  • 重症化する直前、ミルクティーを飲み動悸・手のけいれん・呼吸困難などが出たため以来緑茶・紅茶を飲んだり練り込まれた食品は避けるように
  • 療養後1年弱経過した時点ではカカオ含有率が低いチョココーティングのスナックを少量食べる程度ならOKだった時があったものの、調子に乗ってしばらく食べていたら一種の曝露として体が認識してしまったのか、ロッテのチョコケーキ1個ですらめまいが出るようになってしまい自粛を継続中

風邪薬、抗生物質、抗ウイルス薬

  • 母親が病気で薬を飲むたびに副作用が通常よりも重く出てぐったりする過敏体質だったことから、遺伝的体質も関係している可能性も
  • 重症化した頃から極めてひどい頭痛や長時間の吐き気・嘔吐が起きるようになり、「病気に感染しないようにしなければ」「入院しても香料と抗菌剤で耐えられるかわからない」という不安から感染自体をしないよう気を付けるように
  • カフェイン入りの市販風邪薬ではカフェイン過敏症によるめまい・嘔吐・動悸・手のけいれんが起きやすいため使用を自粛

都市ガスの付臭剤(ガス漏れを感じるようにわざとつけてある臭いにおい)

  • 重症化から1年が経つ頃に悪化、調理時に着火するとにおいが気になるように▶付臭剤や未燃焼ガスの成分で発作が出にくくなるよう電池をこまめに交換

 

化学物質過敏症の重症化

洗剤リニューアルを機に嗅覚過敏と化学物質過敏が進行、大きく体調を崩すように

2025年は、元旦から激しい咳が止まらない、咳のしすぎで嘔吐する、鼻炎が治らず大量の鼻血を繰り返す、屋外から引き込んだ抗菌消臭洗剤・柔軟剤成分で涙が止まらない、朝起きたら目やにで目がふさがっている、という不安が多いスタートでした。

 

そんな体調に大きな変化が訪れたのは、1月上旬。液体洗濯洗剤ファブラッシュのリニューアル品を購入した直後でした。

 

ファブラッシュのリニューアルは合成界面活性剤や抗菌剤の入れ替えなど非常に大規模な変更で、濃縮化により有機溶剤が新規に配合。元々ローズマリーの精油が含まれており無香料表示とはいえ微香性に近かった洗剤から、より強い芳香が感じられるようになりました。

 

最初はさほど気にならなかった原料臭でしたが、リニューアル品を使えそうかどうか確認するために容器に鼻を寄せてクンクンしたり、お湯洗濯で揮発した臭気を吸い込んだりしているうちに原料臭がどんどん強く感じ取れるようになってきてしまい、リニューアル品を買って半月もしないうちに容器を開けたり原料臭を吸い込んだりすると体がふるえる・めまいがする・平衡感覚が乱れ足がもつれる・嘔吐するといった重い症状が発生。

 

濃縮化したファブラッシュは体調急変後にすぐに使用を中止したのですが、急に嗅覚過敏がひどくなり家の中でも活性炭マスクが必要に。ファブラッシュの代わりになる洗剤を探そうとして嗅覚過敏と過敏症が進行した体で試せば試すほど、色々な無香料洗剤や石鹸などの原料臭・配合成分で化学物質過敏症発作が出るなど、体調を良くしようとしてあれこれトライしたがために余計に過敏症が急速に重くなっていくのを感じました。

 

今思えば控えるべきだった「使える洗剤を探さないと」と嗅いでは確かめるという繰り返しが曝露量を一気に蓄積。長らく続いていた歯科治療も重症化に関係していたのだと思いますが、歯科治療を受けると血圧上昇・動悸・手のふるえなども起こるようになる「これはいよいよやばいことになった…」という不安感が募っていくことに。

 

一方で「ゆっくり静養すれば自律神経失調症もおさまりいつかまた体調がよくなるかもしれない」という楽観視もあり、忙しいし体がだるいからということも相まって、それでも化学物質過敏症外来には行かないままの日々を送っていました。

 

この時点ではまだ化学物質過敏症のひどさはピークに達しておらず、本格的な重症化の一歩手前だったこの頃の発作や健康状態は以下のような状況でした。

  • 濃縮タイプの合成洗濯洗剤のキャップを開けて成分の蒸気や原料臭を摂取したとたんに、ガンッ!と後頭部を殴られたような衝撃
  • 体のふるえ
  • 吐き気、洗剤の成分や臭気を吸入した直後の嘔吐
  • めまい、ふらつき、直立や直線歩行が困難に
  • 全身脱力、手の握力が極端に落ち皿を落として何枚も割ったり包丁を落として手や脚を傷つけてしまったりする
  • 尿漏れ、失禁(おそらくは筋力低下が原因)
  • 不正出血
  • 鼻炎、鼻水、鼻血
  • 激しい咳といったアレルギー症状
  • 体の著しい疲労感
  • 目・鼻・喉の痛み、目やに

階下から流入する臭気が変化・高濃度化、化学物質過敏症が急に重症化

2025年2月、階下から階下住戸がそれまで使用していなかったと思われるタイプの強い洗剤・柔軟剤臭が流入するように。嗅覚過敏が進んだため強くなったと感じただけというよりは、明らかに使用する洗剤の強さが変化したようでした。かつては夜干しをすれば明け方には薄れていた香りでしたが、翌朝まで持続し強く香り続ける残香性の高いタイプに代わり、目・鼻・喉の痛み目やに、咳などが悪化。

 

そしてレノアと思われる濃い香りが窓サッシなどのすきまから流入するようになり家のリビングやリビングに隣接した寝室に充満した日の夜、夜干し開始から翌朝まで

  • 200前後まで血圧が急上昇
  • 非常に高い心拍数
  • 全身の脱力、握力の大幅な低下、筋力低下が原因と思われる失禁
  • 止まらない手のけいれん
  • 呼吸困難
  • 臭気が強い窓際に近寄ったところ、瞬間的に嘔吐
  • 立ち上がってもまっすぐ立っていられない
  • 正常な歩行ができず、足がもつれて転んでしまったり、ひどい場合は脚/足を動かそうと思って意識しても両脚が言うことを聞かずぐにゃぐにゃしてしまい前に踏み出すことができず、脳梗塞直後のリハビリ歩行のような状態に

がノンストップで続くというそれまで経験しなかった重い症状に陥り、アナフィラキシーショックか何かになってしまったのではと思えるような種々の発作に見舞われました。

 

この日を境に、強い洗剤・柔軟剤の原料臭や香料臭への曝露が起きるたびに「これではまるで神経毒を受けたみたいだ」「脳梗塞な何かになってしまったのでは?」と思うような重い発作が起きるようになり、未だに社会復帰できないままでいます。

化学物質過敏症が重症化してからの体調や不便

重症化直後に経験した発作の種類

重症化した当時は自律神経失調状態だったこともあり、ネットで紹介されている「自律神経失調症の症状」リストのほとんどが起こってしまう状態でした。

 

しかしながら、自律神経失調症、化学物質過敏症、嗅覚過敏が同時に悪化していたことから、どこからどこまでが化学物質過敏症なのか判断しづらい状況でした。

 

■薄い濃度の吸入時■

  • 頭を押しつぶすような頭痛、片頭痛
  • 息苦しさ、息が浅くなる
  • 手脚のふるえ、手に力が入らない
  • 動悸
  • 吐き気、めまい
  • 脱力感(体全体から急に力が抜け立ったり動いたりしていられず寝込む)
  • 目の痛み、涙

■中程度の濃度の吸入時■

  • 頭が割れるような強い頭痛
  • 喘息の中発作と同程度の呼吸困難
  • 手脚のふるえ
  • 不整脈、動悸
  • 血圧の急上昇
  • 吐き気
  • 全身脱力感
  • 平衡感覚喪失
  • 直立し続けたり直線歩行などが難しくなり。脳梗塞後のリハビリのような不自然で遅い歩き方しかできなくなる
  • 目・鼻・喉がヒリヒリする
  • 長時間目が痛み涙がにじみ続ける
  • 長時間口内で唾液の排出が止まらなくなる(よだれつわりに類似)
  • 胸部の強い痛み
  • 足がつる(こむら返り)
  • 喘息
  • 横になったまま家事などができない、横になっても眠れないので休まらない

■強濃度の吸入時■

  • 体をかきむしるような苦しさ
  • 手・脚・頭のけいれん/ふるえ
  • 喘息大発作と同程度の激しい咳、重い呼吸困難、気道の中が腫れてゼーゼーヒューヒューとした息になる
  • 不整脈、動悸
  • 血圧の急上昇
  • 突然平衡感覚を失いめまいの時のように直立していられず、体がグラグラ前後左右に揺れてしまう
  • 全身の筋脱力(筋肉から力が抜け言うことをきかなくなる)、立ち上がっていられずその場に崩れ落ちうずくまる
  • 失禁
  • 臭気吸入直後突然の胃痛、下痢
  • 目・鼻・喉の強い痛み、涙が止まらない
  • 強い吐き気、瞬間的な嘔吐
  • 視力の異常(視力低下、黒い幕が降りたように視界がごく短時間ながら塗りつぶされ目の前が見えなくなる、フラッシュを連続でたいたように視界が白くチカチカ点滅する)
  • 思考能力の低下により話しかけられても会話内容をうまく理解できない、言語障害(返事を求められても言葉が出てこない、普段通りの意味が通った会話にならない)
  • 2年前に骨折した肋骨付近がなぜか強く痛んだり、骨折はしなかったはずの他の部位の肋骨付近などが同時に強く痛んだりする

なお自分の場合、ところどころの蕁麻疹や頭のひどいかゆみを除き、全身の湿疹といった皮膚に表れる発作はほぼ無かったです。

重症化を機にできなくなったこと

  • 人混みの中を歩く、人が集まる施設・店舗に入る、買い物に出かける
  • 精油・人工香料混合のフレグランスオイルやミスト噴霧(例:無印良品)コーナーに近寄る、ホームセンターやスーパーの洗剤・柔軟剤コーナーに近寄る
  • 公共の交通機関に乗る、他の人々と共用する乗り物であるタクシーに乗る
  • 子供の学校行事に参加したり、保護者会・個人面談などに行く
  • 仕事場に行く
  • 歯科などの治療を受ける(アルコール消毒・充填剤・麻酔などでアナフィラキシーショックが起きるリスクがあるため)
  • 溶剤・可塑剤を含む文房具・梱包資材・ビニール製品の使用
  • アルコールや除菌剤・抗菌剤を含むクリーニング用品の使用
  • 洗剤・柔軟剤の香料として多用される香り物質リモネンを含む柑橘類(オレンジ、デコポン、みかん他)の皮をむいたり刻んだりする
  • 本棚の近くに長い間いたり、印刷されたチラシ・プリントなどを手元に置いておく(揮発したインクの成分・臭気で発作を起こすため)
  • 建売り住宅やリフォーム済み中古住宅に転居する(シックハウス症候群を起こすリスクが高いため)