自宅内の空気質悪化と家族の体調に表れた変化
同居家族までもが毎日原因不明の咳をし、子供は喉の痛みを訴え鼻血を繰り返すように
自分の症状が悪化していったのと同じ頃、家族らにも謎の体調不良が出るようになっていました。おそらく宅内に常時流入する揮発性有機化合物(VOC)や抗菌剤の量が急増したことと連動していたのだと思われます。
咳喘息体質の夫は風邪をひいていないにもかからわず毎日咳をするようになり、咳ばかりしているのに発熱なども無く風邪でもウイルス感染でもないということが続きました。
換気は活性炭フィルター越しに常時給気、家の清掃はまめに行っておりエアコンの清掃も防カビ剤無しで定期的にしてもらうなど、はっきりと原因として感じられる咳の原因が宅内に見当たらず「なぜ毎日咳をするのだろう?」と不思議には思っていました。
元々気管支炎になりやすかった子供については
- 風邪やウイルス感染の後に気管支炎が非常に長く続く
- 当方が本格的に重症化する前の半年ぐらい、毎日「喉が痛い」「部屋でマスクを外すと喉がヒリヒリする」と言い出すように
- 「鼻がすごくつまる」と訴えるようになり、頻繁に鼻血を出し、しかも量が多い
- 電車に乗って人混みが多い街に出かけると、かなりの確率で鼻血を出す
- 小児科などに通院して薬は処方してもらっていたものの、咳や喉の痛みがおさまらなかった
といった体調に陥るなど、はっきりした原因は不明ながら鼻・喉がらみのトラブルが続いていました。
外で移香してくる抗菌消臭系の臭気は毎日髪・服・下着から全身に浸透、浴室乾燥機で香料抜きをしても翌日また移香して帰宅するという曝露量の多さで心配になるレベルでいわゆるシックスクールの影響もあったのかもしれませんが、それとは別に自宅にいる時に何かが悪さをして喉のヒリヒリ感とアレルギー性の咳が出ているようにも見受けられました。
自分も自身の体調について「化学物質過敏症が進行しているのでは」という疑念を持ちつつも、家族全員に共通して呼吸器関連の不調が多かったことから「近所の林や畑から何か飛んできているのだろうか」「何かのアレルギーなのではないか」「また喘息になった」「疲れがたまって自律神経失調症になっているのかもしれない」という見方をしてしまっていました。
重症化を受け色々な対策を講じたところ家族の咳や喉の痛みが突然解消
家族全員に出ていた咳・鼻水などのトラブルですが、自分が重症化し家のあちこちを点検しすきま風が思った以上に多かったことを知り
- 抗菌剤入り無香料合成洗濯洗剤をやめ、液体石鹸、炭酸塩主体洗浄剤、アトピー患者向け無香料合成洗剤などに変更
- 抗菌剤入り除菌シート・洗剤の使用を停止
- 窓サッシのすきまをパテで埋め外からの外気を遮断
- エアコンホースのパテの大量補充
- キッチン換気扇を使わない時はクッションでおさえてふさぐ
- 空気清浄機を複数設置する
- 浴室乾燥機をフル稼働させ外からもらってくる移香を最大限除去
といった対策を進めたところすぐにピタリと止まり、現在では家族全員家にいても咳は出ず、鼻血の回数も大幅に減りました。
いわゆる香害対策を実施してからすぐに効果が出たとこから、アレルギーだと思っていた症状は屋外から流入する洗剤・柔軟剤の成分や、部屋干しで宅内に長時間拡散していた合成界面活性剤や抗菌剤が原因だったのでは…と推測しています。
各種対策の前と後との比較から、周辺住戸が排出する洗剤・柔軟剤・香りつけビース類の成分と家族全員の体調改善との間に何らかの因果関係はあったものと思います。
ただ、香害や化学物質過敏症については目に見える形で汚染状況を確認できず、また専用機材が高価なことから信頼性の高い業務用機器のデータとして記録した上で発作原因を明示することが難しいことから、ある程度の解決に至るまでかなりの遠回りとなってしまいました。
家族の理解と協力
当初は信じてもらえず、自身の不勉強や対策不足からただただ病状が進行していく日々
それまでは自己診断で「自分は化学物質過敏症だろう」と考え家族にも伝えていたのですが、各種検査も受けた上で診断書が出たことでようやくその発言に信憑性が出たらしく、それまであまり得られなかった協力をしてくれるように。
化学物質過敏症を発症したと思われる十数年前は「毎日ふらふらで苦しい」「視力障害が出る」「この家から逃げ出さないと元気になれない気がする」と伝えてもほぼ無反応で、ようやく聞けたコメントも「どんなに口で辛いと言っても、証拠が無いから誰も信じないよ」というもので、引っ越し希望にも反対されたことから発症と同時にかなり重い症状が出るまでに一気に進行してしまいました。
この時ネットでもっと必死になってそよ風クリニックや北里大学の化学物質過敏症外来に助けを求め診断書などを出していただいていたら、家族の理解をもう少し得られたり、自分の不勉強から来るその後の過敏症進行を遅らせることができていたかもしれません。
発症の翌年に引っ越し一時的に症状が軽快したこと、自律神経失調症がおさまったことで体が一時的に楽になったことも「ひとまず無香料や天然香料である精油入りの洗剤を使っていれば大丈夫」という誤解・過信などを生む原因になり、転居後喘息が重症化してもトリガーが何だったのか考えることもせず、化学物質過敏症と本格的に向き合うことを怠ってしまった気がします。
重症化を機にとうとう家族が心配してくれるように
発症から約12年経って重症化した際、喘息中発作・大発作、手・脚・頭のふるえ/けいれん、嘔吐、歩行障害など目に見えて激しい症状が出てしまいました。
「口で言うだけでは本当に病気だとは信じられない」と言っていた家族も相当びっくりした様子で、「病院に行って検査を受けたほうがいい」「山とかに避難しないと良くならないのか」などと声をかけたりしてくれました。特に日野厚生クリニックで正式な診断が下されてからは、化学物質過敏症を発症したという事実を受け入れる気になってくれたようです。
香料入りで発作が出てしまっていた家族用のシャンプーを無香料タイプに変えたり、シェーバー洗浄剤使用とオート洗浄から無香料石けんとベビーオイルを使っての手洗いに変更したりしてくれたことで、宅内で起こる過敏症発作を減らしていくことができました。
夫については、元々義母が40~50年前から石鹸洗濯や有機食材に関心があり香害・抗菌剤問題にも理解のある方で、無添加料理とパックスナチュロンで育ったことも大きく影響していたようです。
石鹸使用や無香料製品に対する抵抗感が薄く自分の意思で石鹸シャンプーを使い続けていた人だったので「香りのある柔軟剤を使いたい」「石鹸なんか嫌だ」と言われることもなく、発作が出にくい洗剤探しをこちら側の体調に合わせ好きなようにできたのは幸いでした。
とはいえ同居家族たちから全面的な協力を得られているというわけではなく、家族が持ち帰り移香取りをしないまま部屋に持ち帰る日用品・書籍・プリント類、隠れて購入したり発作を起こすとは予想せず買ってきた食品・小物を通じて曝露することも多く、自宅療養生活が続いているわりには発作の内容がだんだんと神経系異常に遷移してきている自覚もあり、大きな病気になった時のことや老後の心配など、不安もまだまだ大きいです。
実家も義実家も洗濯は元々無香料派という幸運
偶然ですが、自分は実家も義実家も以前から無香料洗剤使用・柔軟剤は不使用というスタンスで、洗濯については実家はハッピーエレファント粉末、義実家は石鹸を使用。
- 実家:
・母親:洗濯洗剤・食器用洗剤は無香料
・きょうだい:全て無香料(合成洗剤) - 義実家:
・義母:長年石鹸洗剤(無香料)・石鹸シャンプー・石鹸歯磨きを使用
・義きょうだい:微香合成洗剤(柔軟剤使用かは不明)
以前はマスク無しで会食でき、化学物質過敏症が進行してからも重症化するまでは簡単な不織布タイプの活性炭マスクの装着だけで済んでいました。
家に訪問したり実家や義実家から物をもらうことに関して化学物質過敏症発作を心配する必要がほぼ無いなど、重症化してしまったものの家族・親族の理解という点ではかなりの幸運に恵まれていると感謝の気持ちを新たにした次第です。
ネット記事・投稿や実際にお話させていただいた先輩患者さんによると、家族の理解を得られず自宅で休まらず悪化していく方、香りつき洗剤・柔軟剤を使いたがる家族との同居や親戚付き合いを通じ曝露を繰り返してしまう方が多いとのことで、化学物質過敏症というのは寛解を目指し本人がどんなに頑張ってもどうにもならない部分というのが色々と重なり周囲の環境に大きく左右される病気なのだと痛感しています。
