私が行政書士として開業する際に、離婚と
並んで基幹業務の一つに選んだのが
遺言作成でした。
そしてその事を決めたのは、タイトルの言葉が
切欠でした。
とある方が亡くなりました。
比較的遺産が多かったその方は、遺言により
財産の分与方法の希望を残していました。
けれど、家業を残す為に長子に多くの財産を
残す内容だったその遺言によって、兄弟間で
諍いが起こりました。
その事を一番悲しんでいたのは、当時夫を
亡くしたばかりな上に自分の子ども達が
遺産を巡っていがみ合う場面を見る事になった
遺言者の妻で、相続人たちの母でした。。
相続が始まる前は仲良くしていたのに、
被相続人が家族の為にと一生懸命に築いた財産が
結果、諍いのもとになってしまったのです。
とても悲しいこの状況を打破したのは、
被相続人が病床でこっそりしたためていた
手紙でした。
「遺言」という形式さえ満たしていない
その手紙には、家族に対する想いが溢れん
ばかりに書かれていたそうです。
その手紙が見つかって以降、相続人たちは
「遺言者(父)の意思を尊重しよう」
と、再び心が一つになったんです。
その時私は心の底から思いました。
「お金だけあっても、そこに気持ちが通わないと
ダメなんだ」と。
遺言書に自分の気持ちを書いても良い事を知らない
人が多い事もその後知りました。
自分の思いや人生を整理し、大切な人にちゃんと
大切だと伝える。
その事に関しては、心理士である自分が力に
なれるのではないか。
さらに行政書士の資格があれば、その意思を
確実に実現する事が出来るのではないだろうか。
人生にたった一度だけ許された、まさに命がけの
「死」という出来事。
遺言者の意思だけではなく「気持ち」「想い」を
伝えられる遺言を作る。
私が実務につくに当たって絶対に実現したい事の
一つです。