「家族との絆を深めたいとき」 | ◆根本裕幸

◆根本裕幸

恋愛や結婚、性などのパートナーシップ・家族に関する問題からビジネス、対人関係、健康・病気・死など幅広いジャンルを扱う。感情・感覚をフルに使った“目からウロコ”な心理分析や、じんわりと心に響くハートフルな癒しには定評がある。

*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

家族とは、もっとも身近であるが故に、もっとも感情的な問題を抱えやすい存在でもありますよね。
他の人から言われてもなんとも思わない言葉が、家族からはとても怒りや悲しみをかきたてられることもあるでしょうし、逆に、近い分だけ、「してもらって当然」といった甘えや依存も出て来てしまいます。
特に我々日本人はとかく家族との距離が近い傾向があり、母子癒着などの近すぎる距離がさまざまな問題を引き起こしていたりもします。一方で、その分だけ分離していてバラバラな家族になると、異端のように目立つ傾向にあり、これまた問題を引き起こすことも少なくないようです。(他の家と違ってうちは何でこんなにバラバラなのか?とか)カウンセリングやセラピーは人間関係を扱いますから、こうした家族についてのお話を伺う機会は非常に多いんですね。そして、幼い頃の家族との関係が大人になってからも少なからず影響を及ぼしていることを何度も何度も目の当たりにしてきました。だから、家族との絆を深めるということは、私達にとってとても大切な意識だと思うのです。さて、親子であれ、きょうだいであれ、夫婦であれ、その心理的な距離が縮まれば縮まるほど、私達は「~してくれて当然」「これくらいは許される」といった依存的な要求を突きつけたり、外に出せない鬱憤をぶつけるサンドバックとして扱ってしまうことが少なくありません。特に自分自身を粗末に扱い、ひどく扱ってる方ほど、身近な人への攻撃性も高まってしまうようです。そして、近い距離に付き物なのは「恥ずかしさ」という気持ち。だから、当たり前のことも他人には出来ても、家族にはできないということが増えてきたりします。その典型が「感謝」ということ。他の人、特に仕事中にはたくさん言える「ありがとうございます」の言葉も、家族に対しては全然言えなくなったりします。また、取引先や同僚にはできるちょっとした配慮も、恥ずかしさや甘えの感情から家族には無愛想になってしまうことも少なくないのかもしれません。そういう意味では、家族とは自分自身をさらけ出せる場所でもありますが、近しき者にも礼儀あり、というように、まずは、相手を一人の人間としてみてあげることが大切なのではないでしょうか。感謝の気持ち、そして、できれば愛情まで。恥ずかしさを越えてコミュニケーションができると、血のつながりは確実に絆を深めてくれるはずです。とはいえ、なかなか難しいですよね。ですから、父の日、母の日、誕生日、クリスマス、結婚記念日、どなたかの命日などをきっかけとしてみるといいでしょう。
心の処方箋