「居場所が欲しいとき」 | ◆根本裕幸

◆根本裕幸

恋愛や結婚、性などのパートナーシップ・家族に関する問題からビジネス、対人関係、健康・病気・死など幅広いジャンルを扱う。感情・感覚をフルに使った“目からウロコ”な心理分析や、じんわりと心に響くハートフルな癒しには定評がある。

*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

「どこにも居場所がないとき」の続編です。


居場所はあなたの心の中にある、と以前書かせていただきました。
好きなもの、好きな場所、心が喜び、楽しめる場所が、あなたの居場所になります。
それはあなたにとっては故郷のようなもので、そこに帰ればホッとして、安心し、そして、安らかな気分に満たされます。
でも、それは誰かから与えられるもの、と私達は誤解しているのかもしれません。パートナーや仕事、友人関係、趣味・・・。確かにこれらの要素は私達の心を満たし、成長させ、そして、時に居場所を提供してくれるものでありますが、でも、それがいつまでも続くという保証はどこにもないということを忘れてはいけません。ここが居場所だと思った瞬間に、私達は怠惰になり、甘え、そして、せっかく得た素晴らしい場所を自ら壊してしまう事があります。「何とかなる」とか「今さえ良ければ」と意識的、無意識的に現実から目をそらしてしまうこともあります。実は私達の心の中には、破壊願望という欲求が脈々と流れています。それが自分に向ければ、自己破壊的な態度となり、他者に向かえば暴力的な行動となります。実際にそうして表に出なくても、心の中で他者や自分を批判し、攻撃することは、ごくごく日常的な出来事だと思うのです。その思い(それは心の痛みが原因なのです)が、せっかく得た居場所を壊してしまうことがとてもよくあるのです。だから、居場所は受け取るだけでなく、常に磨き続けることが大切だと思うのです。その存在に感謝し、受け取る以上に与える意識が大切なのです。バーやカフェでは、そこを居場所としている常連客には暗黙のマナーがあります。混んできたら率先して席を譲り、スタッフの手が足りなければオーダーを取ったり、片づけをしたり、自ら進んで、その店の成長や発展に尽力するんです。もちろん、時にはそのマスターに店のためを思って苦言を呈することも必要です。すなわち、一方的にそのサービスを享受するだけではないのです。せっかく見つけた居場所をより良いものにするために、自分の力を与えていくのです。そうして、お互いに磨きあい、成長していくことで、より思い入れが強くなり、そして、より安心できる居場所になるのです。居場所が欲しいと思うのは、あなた自身がまた成長し、大人としてより成熟するための欲求のことも指すのかもしれません。それは自分が主体となって探し、見つけ、関わり、与え、磨き、感謝し、共に成長していく場所なのです。だからこそ、あなたが主体的に関わりたいと思えるもの・・・すなわち、好きなもの、楽しいと感じられるもの、ワクワクするもの、でなければ意味がないのです。今日は会社でも家でもパートナーでも、あなたの居場所となるものに感謝の思いを改めて持ってみませんか?謙虚な気持ちで、その存在に感謝をささげたとき、心の奥から新たな愛情が沸き起こり、心が温かくなり、更にそれを大切にしたいと感じられることでしょう。
心の処方箋