5:学校保健における「香害」対策についてのアンケート調査 報告 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・⑧学校や部活等における香害の問題について、保護者、児童、教職員へのアンケ
ートや聞き取り調査を行っていますか。あるいは予定がありますか。
ある ない
すべての学校でやっていない 13 自治体
小学校(予定) 1 校 小学校 42 校
中学校(予定) 3 校 中学校 30 校
小・中・私立中併せ 8 校
学校数計 4 校 学校数計 80 校
無回答 1 自治体
⇒行っている場合 調査でわかった主な内容を教えてください
 なし 
その他(自由記述欄)
(主な意見)
教室の換気は香料臭対策以外の目的でも季節を問わず実施されている/

これまで香料による健康被害の相談や使用自粛の要望はなく、今のところ特別な対応はしていない。/
学校生活や地域・保護者からの相談等はないが、今後の研究課題になると考えている/
学校公開の際、受付付近や昇降口、保健室前廊下に掲示を行い、保護者や地域の方に周知
することにした/

児童・保護者からの香害に関する健康相談がない中で、学校による啓発の必要性は低い/

化学物質過敏症の保護者がおり、状態が良くない場合は、個人面談を屋外で実施することも検討した。実際は、症状が落ち着いており、教室で行うことができた/

洗濯がされていない服を着続けている、入浴をしないでいるという家庭が一定数ある/

現在着香製品の使用について自粛を呼びかけていない。

認識不足であったと感じた。

確かに、柔・軟仕上げ剤など香りのきついものもあり、児童の健康について考えていく必要がありそうだ//

外国の方が増えてきて、外国の方で国によっては香水が常識の場合もあり、文化の違いも配慮しなければいけないので難しい問題/

本校には「学校に持ち込むものは、無臭のもの。」という生活のルール・マナーがある/

保健だよりで化学物質過敏症(特に香り)について周知したので保護者の反応をみてみたい。/香害についての申し出も特になかったので対応していなかったが、保護者が申し出しやすいように知らせる方法を検討する。
(※全記述は資料 6)
自由記述には様々な視点からの意見があり、学校現場の声として貴重な情報となった。
「香害についての報告や要望がない」とするものも複数あったが、今後は要望があれば対応していくという記述も複数得られており、現状を知らせるという調査の意図の成果はあった。

なかには「初めて香害ということを知った」「認識不足だった」「知ることができてよかった」という記述もあり、知ることで前向きに考えようとする姿勢もうかがえた。
「家庭で使うものには配慮しにくい」という記述もあり、化学物質過敏症の現状と対策についての理解を繰り返し求めていく必要がある。

子どもたちだけでなく、保護者自身(特に保護者会やPTA活動で学校に来る機会の多い母親)に化学物質過敏症があり香りについて配慮してほしいという要望があったり、生徒の香りに教員が気になる、逆に教員の香りに生徒が気になるという記述も見受けられ、学校関係者すべてに啓発と理解を広めていくことが、具体策を進めていくために必要である。
また、「におい」ということで「洗濯をしていない」「入浴していない」ことによる異臭の記述があった。これは香害とは全く別の家庭環境による課題である。

福祉的な視点での子どもへのアプローチが必要である。
さらに、外国をルーツとする子どもたちが文化として香水を使用するケースがありデリケートな問題、とする記述もあった。人権や多文化共生の視点でていねいに対応する必要がある。
「香害」は香りの好き嫌いやマナー、ルール、生活指導や風紀上の問題ではなく、あくまでも香料やマイクロカプセルの成分による化学物質過敏症としての問題と捉えていくことが重要である。制汗剤や香りのあるものについてのルールについての記載は自由記述欄以外にも複数あったが、校則などで単なる「決まり」として子どもたちに押し付けることにも問題がある。

香りに過敏になることで「無臭」にこだわり消臭剤の使用の拡大やいじめにつながっては本末転倒である。
そのためにも表示義務がないまま消費者が使用している現状と化学物質への感受性には大きな個人差があるという事実をしっかりと伝えていくことが必要である。