「香害110番」から見えてきたもの | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

ニュースレター第111号 2018年6月

「香害110番」から見えてきたもの

日本消費者連盟・洗剤部会 田中輝子
電話相談から見えてきた
「香害」
 日本消費者連盟(以下・日消連)では2017年7、8月に「香害110番」の電話相談を2回開設しました。

当日、2台の電話は鳴りっ放しで、受話器の向こうから漏れる嗚咽が事態の深刻さを表していました。
 「柔軟仕上げ剤のニオイを嗅ぐと脳が掴まれる感じがする」「家族から“あんたがおかしい”と言われて辛い」「コインランドリーの排気口が家の庭に向いていて窓が開けられなくなった」「職場で訴えても理解されず退職に追い込まれた」など、お一人お一人の心の叫びを聞き、何とかせねば大変なことになる、と心から実感しました。
2日間で213件の電話、FAX、メールが届きました。

聞き取り票を元に話を伺った電話での相談65件を集約・分析したところ、以下のような結果になりました。

 性別は圧倒的に女性が多く57名、年代は50代が最も多く22名、次に40代16名、60代12名と続きます。

居住地は22都道府県で、東京都が一番多く17名、次に神奈川県8名で北海道から沖縄まで網羅されました。

反応するものは複数回答がありましたが、圧倒的に多いのは柔軟仕上げ剤の43件、次が合成洗剤15件、芳香剤9件と続きます。

原因も複数回答ありでしたが、隣人が44件で最も多く、職場6件、家族が5件と続きます。

この結果から隣人が使用する柔軟仕上げ剤による被害が一番大きいことが浮き彫りになりました。

石けんで洗濯すれば柔らかに仕上がるので、柔軟仕上げ剤は必要ないものです。
 要望は「一般に知らせて」「メーカーに伝えて」「国・自治体に伝えて」「CM やめて」「販売しないで」の順で、この苦境を人々に知らせて欲しい、という切実な声でした。
 電話、FAX、メール共、化学物質過敏症をうかがわせる方が多いと感じました。

 

子ども達が危ない
 香料は鼻腔を通して直接脳に行くことが分かってきています。

今、一番危惧されるのが子ども達のことです。

教室に充満する柔軟仕上げ剤、制汗剤などの香料で、教室で授業を受けられない子ども達がいます。

校庭の片隅で勉強したり、それすらも叶わない子どももいます。

まだしっかりしていない子どもの脳が、人工香料でダメージを受けることは避けなければなりませんし、教育を受ける権利を奪われないようにしなければなりません。
 

香料や有害化学物質から人々を守るための活動を
 日消連では「香害110番」以後、賛同の意を示してくださった国民会議はじめ6団体の方々と各省庁、メーカーに対する要請行動を開始しました。

まず、消費者庁と話し合い、続けて厚生労働省、文部科学省、経済産業省とも話し合いました。
メーカー団体である日本石鹸洗剤工業会にも面談を申し込みましたが断られました。

メーカーにとって一番大事であるはずの顧客が苦しんでいる状況に目を向けようとしない企業の姿勢は問題です。
5月22日には衆議院議員会館で7団体主催の緊急院内集会を開催しました。

4省庁から12名の参加、全国から100名以上の方が参加され熱のこもった討論が展開されましたが、前向きな回答は得られず「メーカーと話し合い、容器包装に“使用量を守り、周囲へ配慮しましょう”などの啓発をする」位の回答で、製品の販売・製造をやめて、という私たちの願いとは程遠いものでした。
 日消連では、今後も心ある人々と知恵と力を出し合い、人工香料や有害化学物質から人々を守るための活動をしなやかに続けて行きます。