・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
「農産物検査(お米)に関するアンケート調査」 ―情報公開請求に対し、農水省が不開示決定
理事 橘高真佐美
お米の検査規格とネオニコチノイド系農薬
お米は農産物規格に基づき等級が定められています。
「着色粒」の割合も規格に含まれており、1000粒に1粒であれば1等ですが、1000粒に2粒以上あると2等以下になってしまいます。
カメムシに吸われると、斑点ができ、着色粒となることから、この検査規格を満たすように、カメムシ防除を目的として、ネオニコチノイド系農薬が使われています。
しかし、色彩選別機を利用すれば、着色粒を取り除くことができることなどから、複数の市民団体から、現在の農産物検査規格を見直すべきだという意見が出されています。
農水省に対する情報公開請求
反農薬東京グループの「てんとう虫情報」2017/6/25第310号では、農水省が2015年10月に検査規格に関するアンケート調査を行ったけれど、調査結果を公表することなく放置していると報告されていました。
本当にアンケート調査結果が集計されることもなく放置されているのだとすれば、税金の無駄遣いです。
農水省が調査結果を公表しないのであれば、ぜひ国民会議を含む市民団体で調査結果を集計し、検討したいと考え、農水大臣にアンケートに関する資料について情報公開請求をしました。
数日後、農水省の政策統括官穀物課の担当者から電話がありました。
アンケート調査の結果はまとめていないため、集計結果はなく、回収した個別の回答票しかないが、それを開示することでよいか、その場合、1機関あたりの回答枚数が2枚であり、約2500機関からの回答があることから、開示文書が約5000頁となり、開示費用が高額になるかもしれないがよいかという二つの点に関する問い合わせでした。
そんなに多数の機関に対する調査を行っていたとは全く想像もしていなかったので、集計作業が大変そうだと思いましたが、担当者の方には、費用の点は問題ないので、すべて開示してもらいたいと答えました。
農水省の不合理な不開示決定
ところが、その後送られてきた決定通知書には、どの書類も全く開示しないと書かれていました。一部を黒塗りとする部分開示ですらありませんでした。
不開示の理由は、①「アンケート調査の目的以外に使用しないという条件で収集したもので、公にすることによって回答者の信用を損ねることとなり、今後の調査に協力を得られなくなり、農産物検査の関係の意見・要望の傾向を正確に把握できなくなるおそれがあること」と、②「現在、調査結果をもとに農産物検査に関する施策の検討を行っている途中段階であり、現時点で公にすることによって、成果を広く適性に広く国民に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益をおよぼすおそれがある」というものでした。
担当者から開示することを前提の連絡を受けていたため、不開示という結果に驚き、開示をしない理由も納得しがたいものでした。
開示請求をしたのは、2017年7月だったので、アンケート調査から2年近く経過していたのですが、担当者は集計をしていないと言っていました。
集計もせずに、2500機関から回収したアンケート票について、何をどのように検討しているのか、さっぱり分かりません。
このような不合理な不開示決定は見直すべきであり、行政不服審査法に基づく審査請求(不服申立て)を行い、現在は情報公開・個人情報保護審査会の答申を待っているところです。