容器採取-ガスクロマトグラフィー/質量分析法
新築住宅: 真空が確認された採取装置を用いて所定の流量で30分間採取
居住住宅: 真空が確認された採取装置を用いて所定の流量で24時間採取
欧州委員会共同研究センターの報告書による勧告手順 (1)
1. 空気の採取にはTenax TA吸着体を使用する。同水準の吸着と脱着が確保できる場合は、他の吸着体を用いてもよい。
2. 加熱脱着により、採取したVOCsを吸着体からGCカラムに移す。
3. 分析には不活化された非極性のGCカラムを使用する。トルエン及び2-ブトキシエタノールの検出限界をそれぞれ少なくとも0.5μg/m
3、2.5 μg/m3まで許容しなければならない。
4. クロマトグラムでは、n-ヘキサンからn-ヘキサデカンまでの部分に⾒つけられる化合物を考慮すること。
欧州委員会共同研究センターの報告書による勧告手順 (2)
5. 個別の検出ピークに基づいて、できるだけ多くのVOCを定量すること。その際には、少なくとも、別途示す必須VOCsリストに含まれる化合物及び検出上位10ピークにそれぞれ該当する化合物を定量すること。同定された各化合物の合計濃度Sidを計算する。
6. 未同定の各VOCのピークについては、トルエンの検出量に換算して、合計濃度Sunを決定する。
7. 手順5及び6の結果、SidがSid+Sunの合計の2/3量に達していれば、VOCsの特定は許容できる水準にあると言える。Sid+Sunの合計が1 mg/m3未満のときは、SidがSid+Sunの合計の1/2量に達していれば十分である。
8.Sid+Sunの合計がTVOC値と定義される。
本調査の目的
シックハウス (室内空気汚染) 問題に関する検討会において暫定目標値の見直しならびに試験方法の確立について議論されている総揮発性有機化合物 (TVOC) について、分析方法の妥当性を明らかにすることを目的とする。
参加機関
埼玉県衛生研究所 (竹熊美貴子)
東京都健康安全研究センター
(齋藤育江・大貫 文)
横浜市衛生研究所 (田中礼子)
株式会社島津テクノリサーチ
国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部
調査方法 - 1
市販のVOC混合標準溶液 (50 Component Indoor Air Std.,SUPELCO) をMethanolで希釈し、不活性処理ステンレス製Tenax TA吸着管 (CAMSCO) に各成分が50 ng/Tubeとなるように負荷した (1機関あたり5本)。
同様に,検量線作成用として,各VOC成分を5 ,10,20,50,100および200 ng/Tubeとなるように別のTenax TA吸着管に負荷した (各濃度につき1本)。
これらの吸着管およびTravel Blankとして未処理の吸着管1本を,活性炭を充填したステンレス容器に入れ,宅配便で送付した。
調査方法 - 2
原則として,各機関で通常検査を実施している測定条件で分析を行い,n-Hexaneからn-Hexadecaneの保持時間の範囲に溶出するVOCのピーク面積の総和をTolueneに換算して総揮発性有機化合物 (TVOC) 量を算出した。
ただし,n-HexaneとEthyl Acetateの分離が悪い場合にはn-Hexaneの前に溶出するEthyl Acetateも合わせて積算した。