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2017.10.08
マックのフライドポテト、原料公開で波紋…揚げたイモ、早死リスク増の警鐘広がる
文=水守 啓/サイエンスライター
フライドポテトは健康に悪い?
2013年、マクドナルドが自社商品フレンチフライ(フライドポテト)の原料を公開すると、それはインターネットを通じて瞬く間に広がった。
揚げ用の油を含め、使用された17種類の原料のなかには、遺伝子組換えがなされたキャノーラ油、コーン油、水素添加された大豆油、日本では食品添加物として認められていないが、抗酸化作用のあるTBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)、消泡剤のジメチルポリシロキサン、人工着色料の酸性ピロリン酸ナトリウムなどが含まれていた。
健康への影響度は定かではないものの、長期摂取によるリスクが懸念され、大きな反響を呼んだ。
フライドポテトは、ハンバーガーや炭酸飲料とともに食されるファストフードにおいても、ディナーの付け合わせにおいても絶大な人気を誇る一方で、世界的にも不健康な食品として悪名高い。
原料に安全なものが使われていたとしても、いわゆる揚げ物である。
揚げ物用に高品質で高価な油が使用されるケースは稀であり、フライドポテトを食すことで、自ずと質の悪い油を摂取しがちとなる。
だからこそ、できるだけ余計なものを添加しない方がいいと多くの人々は認識しているようである。
アクリルアミド
だが、フライドポテトの問題はほかにもある。
有害な化学物質アクリルアミドが含まれるのである。
アクリルアミドは毒物及び劇物取締法上の劇物に指定されており、神経毒性・肝毒性を有している。
発がん性もあり、皮膚からも吸収されるため、取扱いに注意が必要とされている。
そんなものがなぜフライドポテトに含まれるのだろうか。
もともと調理前のジャガイモにはアクリルアミドは含まれていない。
ジャガイモはでんぷんを主成分としながら、ビタミンC、葉酸、カリウムなどが豊富に含まれ、栄養価の高い作物である。
比較的保存性が良く、主食にもなりうるジャガイモは、調理法次第で優れた食品となる。
だが、ジャガイモには気の毒な話であるが、含まれるアスパラギンというアミノ酸が高温加熱されると、アクリルアミドに変化してしまうのだ。
ただし、アクリルアミドが発生するのは、100度よりも高い温度で加熱された場合に限られる。そのため、180度程度の油で揚げられるフライドポテトやポテトチップスにおいては、自ずとアクリルアミドが多く含まれてしまうのである。
このアクリルアミドの問題は、02年4月に最初にスウェーデン食品庁によって報告された。
その2カ月後、WHO(世界保健機関)はすぐに専門家会議を開催。食品中に生成されるアクリルアミドが健康に重大な影響をもたらしうることを認めた。
そして、日本でも厚生労働省が同年10月にポテトチップスやかりんとうなどの加工食品に発がん性が疑われるアクリルアミドが、かなりの量で含まれていることを発表した。
実は、アスパラギンは炭水化物を多く含むさまざまな食品に含まれているため、ジャガイモに限った話ではない。
パン、クッキー、せんべい、コーヒー、ほうじ茶のほか、高温で調理する野菜の炒め物や天ぷらにも含まれるのだ。
アメリカ食品医薬品局(FDA)はアクリルアミドを含む食品を扱う際のガイドラインを公表している。
それによると、アクリルアミドは平均的アメリカ人の食品消費量(カロリーベース)の40%に含まれており、排除することは不可能であるが、がん予防のためにも減らすことには意味があるとしている。
そのように考えると、アクリルアミドが実際に健康にもたらす影響度も、フライドポテトだけに注目する意義も不明確なように思えてくる。