・近年の日本やOECD諸国の農薬使用量の増減
2008年OECD報告書による
OECDは1990年以降の加盟国農業に関する環境パフォーマンスを発表した。
その報告で日本に関する部分の日本語版、『Environmental Performance of Agriculture since 1990 At a Glance(OECD加盟国の農業に関する環境パフォーマンス要約版)』を次のURLで読むことができる。
URL:http://www.oecd.org/dataoecd/11/29/40802615.pdf
OECDはこの報告書の翻訳が公的な物でなく、翻訳の正確さを保証していないと述べていることや、この報告書の根拠となったデータは各国(日本を含む)が質問書に回答した内容であることにも留意すべきである。
この報告書の農薬に関する部分の概要を紹介する。
目次
表紙
1 農業分野のトレンドと政策背景
農地利用全体の55%を占める
稲作の農業総産出額は25%である。
農業支持はOECD 平均の約2倍である。
日本は農業環境問題へ取り組むための予算措置を講じている
農業環境は、経済全体、課税措置、さらには国際的な環境協定によって影響を受ける。
2 農業の環境パフォーマンス
主な農業環境上の課題は、水質と自然資源への圧力及び生態系サービスを供給する農業部門の潜在力の増大に関連している。
国土の70%以上が山地であり、また、人口過密は土地への圧力が著しい。
土壌浸食は広域の問題とはなっていないが、急斜面の河川流域に位置する農地の約40%の一部の地域では問題となっている。
農業栄養分が原因の水質汚染は、依然として重要な問題である。
一部の地域では、農業が地下水の硝酸塩の主要な汚染源の一つであり、1999年には5%の井戸水で環境基準を超過している。
園芸及び家畜分野は、最大の農業栄養汚染源である。
家畜生産は過去10年減少しているが、特に豚や乳牛については大規模操業化する傾向があり〔27〕、畜産流出物の地域限定的な水準を増加させる原因となっている。
農薬による水汚染に関する圧力は削除され、1990-2003年の農薬使用は27%減少している。
一部の地域では、水資源に対する競合によって水不足を経験している。
農業に関連する大気汚染は1990年以降減少している。
農業の温室効果ガス(GHGs)は1990年から2004年の間14%減少し、2002-04年ではGHGs排出総量の2%を占めている。
農地の減少、衰退は、生態系サービスを供給する農業の潜在力を減少させている。
農地の干拓と集約化は、生物多様性に影響を与える。
農地の他用途への転換はある種の野生生物に脅威を与える。
農地面積の減少は景観の価値を減少させると考えられる
3 全体的な農業環境パフォーマンス
環境への全体的な圧力は農業縮小によって減少している。
農薬や肥料使用、栄養過剰の数値はOECD標準よりも高い。
モニタリングデータの欠如が、日本の農業環境パフォーマンスについての評価を損なっている。
近年の政策は既存の農業環境プログラムを強化するものである。
近年の措置の多くは、農業における気候変動に取り組むことを目的としている。
生物多様性戦略(2007年)は、農林水産業における生物多様性保全を促進するためのガイドラインとして開発されている。
より多くの農家が持続性の高い農業生産活動を採用しているという兆候がある。