パーキンソン病と農薬 | 化学物質過敏症 runのブログ

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出典:私たちと子どもたちの未来のために

要約
 
農薬の長期的影響の一つとしてパーキンソン病が注目されている。

パーキンソン病は遺伝原因のみによって発症することは少なく、遺伝因子と環境との相互作用によって発症すると考えられている。
 
農薬とパーキンソン病の関連は疫学調査で良く報告されているが、実験的にはっきりしなかった。

最近、実験動物で農薬とパーキンソン病との関連を示唆する報告が2つ発表された。
・ ミトコンドリア内の電子伝達系を阻害する天然農薬、ロテノン投与がパーキンソン病類似の病気を発生させた。
・ ロテノン以外の電子伝達系を阻害する農薬の一部もロテノンと同じ影響を与える。
・ 単独ではほとんど影響を与えない量の除草剤と殺菌剤を共に投与すると、パーキンソン病類似の行動障害と病理的変化が起こる(相乗作用)。
 
疫学では、パーキンソン病と田舎の居住経験や農薬被ばく・除草剤被ばく・殺虫剤被ばくなどとの関連が知られている。
 
有機燐剤被ばくとパーキンソン病様症状とが関係することを示す5症例が報告されている。
 
 
最近、実験的にパーキンソン病様症状と、パーキンソン病患者の病理状態を動物で発生させた実験的研究が 2 つ発表された。

ここではその論文の概要と、今までなされた疫学調査、個人の感受性の差、有機燐剤によって発症したと思われる症例を紹介する。

症例報告では化学物質過敏症を思わせるような記述がある。
 
 
農薬の長期的影響
 
バルディ Baldi ら (1998) は農薬の晩発効果(遅れて現れる影響)に関する疫学研究をレビューした。

農薬使用は諸国の経済レベルにかかわらず非常に増加し、農業を大きく改善したが、同時に人間の健康への脅威も生みだした。短期的影響は農薬の認可過程を通じて良く分かっているが、長期的影響はほとんど評価されていないという(1)。
 
農薬に関する疫学調査は、主に3つの分野で農薬と長期的影響との関連を示している(1)。
 
○ 癌(特に血液の癌)
○ 神経毒影響(多発性神経炎・神経行動的影響・パーキンソン病)
○ 生殖障害(不妊・先天異常・周産期死亡)
 
パーキンソン病
 
パーキンソン病は振戦(しんせん)麻痺ともよばれ、特徴は寡動(かどう)*と固縮(こしゅく)*・振戦(しんせん)*が主な3つの特徴となっている運動障害である。
 
* 寡動とは麻痺がないのに自発運動が極度に少なくなる状態をいい、表情がなくなり、膝を組むなどの普通に見られる動作が見られなくなる。
* 固縮とは筋強剛ともいわれ、患者の腕を屈曲する時に、スムースに動かず、歯車を動かす時のような抵抗があるのが特徴である。
* 振戦とは、震えることであるが、全身に起こり、何もしていない時に強く、運動をしている場合には軽減する。
 
パーキンソン病は人口10万人につき50-100人が罹患しているといわれ、比較的患者が多い病気で、発症は50-60才に多いといわれる。
 
発病の原因としては、遺伝的素因と環境との両方が考えられている。200年前にはパーキンソン病はまれであったが、現在では2番目に多い神経変性疾患であるといわれている。パーキンソン病が発症するかどうかを決定するのに遺伝因子のみの役割は小さいことが双子を比較した研究などで判明し、病因としての環境因子の関与が強く関心を持たれている (2)。
 
病理学的には、脳の一部(中脳にある黒質とよばれる場所)にある、ドーパミン*を神経伝達物質として使う細胞の脱落(死)が特徴になっています。
 
パーキンソン病と関連があると考えられている環境中の毒物には、重金属や一酸化炭素・農薬・溶剤・その他の物質がある。
 
マンガン中毒ではパーキンソン様症状が現れることが昔から分かっていた。
 
近年では、自分で麻薬を合成し、その中に生じた不純物MPTPによってパーキンソン様症状が現れた米カリフォルニア州学生の事件以来、環境毒物との関係が強く疑われるようになった。このMPTPはパーキンソン病の機構解明に役立っている。MPTPは除草剤のパラコートに構造が似ているので、農薬とパーキンソン病との関連を調査した研究が行われた (3)。