選んではいけない有機農作物
一般的に有機農法というと、無条件で「健康に良い」というイメージだと思います。
先の表にもあるように、有機農法の定義では、化学肥料を使用しません。
代わりに使用するのは有機肥料です。
有機肥料は有機物が主な原料で、家畜の糞尿を発酵させて作られる「動物性肥料」と、草を発酵させた堆肥、米ぬかなどから作られる「植物性肥料」があります。
しかし、上記の煙山氏も記事の中で
家畜の病気の予防と成長を促すために投与されている抗生物質の残留とその安全性はどうなのか?
また、植物性肥料であれば農薬や化学肥料の使用による残留はどうなのか
と提言されているように、ただ有機肥料であればよいという生産者が存在することも事実です。
また、以前私の投稿しました記事
危険な硝酸態窒素でメタボ化する現代野菜の深刻な実態。
慣行野菜だけでなく、有機野菜にも”メタボ化野菜”が多い訳を知っていますか?
にもありますように、現在出回っている種類の野菜は有機野菜とはいえ、硝酸性窒素だらけのメタボ野菜であることも懸念されるのです。
また、動物性肥料の原料となる家畜のフンや残飯には、サルモネラや病原性大腸菌O157など食中毒を起こす病原菌が含まれていることがあるといいます。
「堆肥を作るには、原料を数ヵ月かけてじっくりと発酵させる必要があるのですが、未熟なまま出荷して使用されることもある。発酵が不十分だと堆肥の温度が上がらず殺菌が不十分となり、病原菌が堆肥のなかに残ってしまうことがあるのです」(佐賀大学農学部・染谷孝准教授)
週刊現代本当は危険な有機野菜 安全? 健康にいい? 何の根拠もありませんより
・http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1516
ただ有機という文字を鵜のみにすることなく、誠実な農業を行う信頼する生産者から購入することが、一番大切なことなのではないでしょうか。
無農薬栽培の現状
では無農薬栽培は有機農法より安全安心なのでしょうか?
実はここにも落とし穴があるのです。
平成15年の農林水産省のガイドラインによれば、無農薬農法とは
「当該農産物の生産過程等において農薬を使用しない栽培方法により生産された農産物」とありました。
しかしこれは消費者に「土壌に残留した農薬や周辺ほ場から飛散した農薬を含め、一切の残留農薬を含まない農産物」
というイメージで受け取られ、国や国際基準をクリアした「有機」の表示よりも優良であると思っている消費者が6割以上(「食品表示に関するアンケート調査」平成14年総務省)という結果でした。
また「減農薬」「減化学肥料」にしても
・農薬の基準がどのくらいか
・どのくらい農薬を減らしたのか
・何の農薬を減らしたのか
などの基準があいまいで、消費者の混乱を招いていました。
こういった経緯からガイドラインの改訂が行われ、一定の条件を満たす農作物をすべて「特別栽培農作物」と表示する規定が決められたのです。