・著述家で大学でも教べんを執る、湯山玲子さん。
若者の行動や心理を調べるため、定期的に話を聞いています。
著述家・日本大学非常勤講師 湯山玲子さん
「他人のにおいって、どこまでが許容できますか。」
「私の許容できる範囲のにおいがすごく狭いので、なかなかいい人に巡り会わない。」
この女性は、相手の体臭が気になり、恋が冷めてしまうことが多いといいます。
「(においが)ダメだって思ったら、その人がいい人でも尊敬できても、一緒にいられない。」
こちらは、他人のにおいでイライラしがちだという男性陣。気持ちをコントロールできない事にもどかしさを感じています。
「縄張りみたいなものが侵される感じが。そのために精いっぱいiPodとかで音楽で領域を作っているのに、においは音と違って防げないから。」
著述家・日本大学非常勤講師 湯山玲子さん
「体臭がする人に関しては、まず興味というか、違うということを、すぐに敵意だったりとか、自分の領域を侵犯するよくないものと思って排除する心理が自動的に働くような気がします。」
体臭に敏感になっている現代社会。番組で行ったアンケートからも、さまざまなトラブルが起きていることが明らかになってきました。
“会社の上司のにおいがつらく、さとられないように席を離してもらいました。”
“自身のにおいが原因で、いじめられました。
体臭を気にするようになり、休職しました。”
こちらは、体臭の悩みについて、相談や治療を行うクリニック。
患者は増え続けていますが、実はその7割は、それほど体臭が強くない人たちだといいます。この日も20代の男性が訪ねてきました。
患者
「自分のにおいは特殊といいますか、他の人がくしゃみとか、せきとか、自分のにおいのせいでしている気がして、非常に(学校に)行きづらい。」
においが原因で、人づきあいに積極的になれなくなったという男性。
医師は、体臭をはかる目安になる耳あかを調べるなどして、処置が必要か判断します。
五味常明医師
「ワキガというにおいがあるんですけど、そのにおいは、あなたはほとんどないんですよ。なぜ分かるかというと、そういう人の場合、だいたい耳あかが軟らかい。」
必要以上に自分の体臭を気にしていたことが分かりました。
五味常明医師
「においって見えないものですから、不安なんですね。それで悩んでくる方も多いですね。スメルハラスメントで周囲を迷惑にしている害よりも、自分がにおっているんだと悩んで、それで消極的になって、人間関係を築けない、そういう人たちが増える害の方が大きいんじゃないかと思います。」
体臭気にしすぎ!? “過敏”の背景は?
ゲスト 坂井信之さん(東北大学教授)
医師の五味さんによりますと、体臭が強い体質の方でも、多くのケースで、治療によって改善できるということです。
においが人間の心理にどう影響するかを研究している坂井さん。
体臭が気になるという人が増えている背景は?
坂井さん:まずは、社会背景が変わっているのが原因の1つだと思います。
昔は、日本の中でも臭かったんですが、今、もういろいろ消臭が進んで、においのする家庭というのが、ほとんどなくなったというのが原因だと思うんですね。
ですから、外へ出て初めて汗臭いにおいに出会うと「臭い」というふうな反応をしてしまうんだと思います。
例えば、加齢臭というのがあると思うんですが、あの加齢臭も嗅いだことのない人は、何のにおいか分からないまま「臭い」としか言わないんですけれども、おばあちゃんと一緒に住んでいたような経験がある子は「おばあちゃんのにおいだ」「懐かしい」という感じで、ポジティブに受け取る場合も多いんですね。
同じにおいでも、体験によって変わってくるということなんですね。
鎌倉:それにしても、VTRで、においがダメだと恋も冷めてしまうという女性がいらっしゃいましたけれども、そんなににおいって、人の行動だとか心理を左右するものなんですか?
坂井さん:そうですね。
特に男女関係ですと、うちの学生もアンケートをとると、好きになる条件は見た目。
でも、嫌いになる条件というのは、圧倒的ににおいなんですね。
鎌倉:嫌いになると、においがダメになる?
坂井さん:においがダメだと嫌いになる。
そういう両方の関係があるんです。
人間関係とにおい、どう考えたらいい?
坂井さん:それはちょっと難しい問題なので、まず実験を見ていただきましょう。