・3. 研究結果
3.1 医師による診断の有無と診断地域 過半数(52.9%)の有訴者が医師によって本症またはその疑いがあるとの診断を受けていた。
そこで居住地域が推定された229人について診断の有無と診断地域について解析した(図1)。
本症に対応するとして知られている病院・診療所のある 11 都道府県に住む有訴者 115 人のう ちで、医師の診断を受けた人は 60.0%(69 人)であるのに対し、それら以外に住む有訴者 114 人 で医師の診断を受けた人は 46.5%(53 人)であり、有意に少なかった(p = 0.040)。
さらに、診断 を受けた有訴者は、関東地域に住む有訴者 115 人では 59.1% (68 人)であるのに対し、関東以外 の地域に住む有訴者 114 人では 47.4%で (54 人)であった。
また、関東以外の地域に居住して いる有訴者のうち、32人(約28.1%)が居住地域以外の地域の病院まで診断を受けに行っていた。
なお、関東地域に住んでいる有訴者で関東地域以外の病院・診療所で診断を受けた有訴者は 1人(0.9%)だけだった。
関東地域に住む有訴者と関東地域以外に住む有訴者では、診断を受けた 有訴者や、居住地域以外の地域まで診断を受けに行った有訴者の割合に有意差があった。
3.2 有訴者の特徴と発症原因・被害年数、改善のための工夫とその改善度 有訴者全体と対照者を比較し付表に示した。被害年数は 5 年間隔にまとめて記述した。 これらの結果によると、本症の発症前にアレルギー症状があった有訴者が 58.3%(162 人)お り、本症の発症後にアレルギー症状が出た人が 19.1%(53人)、アレルギー症状はあるが発症時 期については無回答の人が 9.0%(25 人)であった。 さらに、発症時の年齢は、図 2 のようになり 40 代が 26.2%と最も多く、次に 30 代、50 代 が多かった。
3.2 有訴者の特徴と発症原因・被害年数、改善のための工夫とその改善度 有訴者全体と対照者を比較し付表に示した。被害年数は 5 年間隔にまとめて記述した。 これらの結果によると、本症の発症前にアレルギー症状があった有訴者が 58.3%(162 人)お り、本症の発症後にアレルギー症状が出た人が 19.1%(53人)、アレルギー症状はあるが発症時 期については無回答の人が 9.0%(25 人)であった。 さらに、発症時の年齢は、図 2 のようになり 40 代が 26.2%と最も多く、次に 30 代、50 代 が多かった。
本症を引き起こすに至ったと有訴者が考える発症原因を図 3 に示す。一番多かった原因のう ち、99 名が自宅、13 名が職場・学校・幼稚園、2 名が近隣の建物、各 1 名ずつ 2 名が公共の 建物、知人の家を原因と答えていた。また、「洗剤・化粧品類の使用」の 6 人は漂白剤、風呂・ トイレ用洗剤、香水、整髪料、シャンプーなどを原因としていた。「その他」は 2 人が歯科治 療、それぞれ 1 人が化学調味料、印刷物、クリーニングした衣類、新車の皮革シート等が原因 と答えており、有害性がそれほど注目されておらず、日常的に頻繁に暴露する製品でも発症原 因と考えられていることがわかった。なお、職務中の暴露が原因とされている場合は、それ自 体が注目すべきであること、またその対策が他の原因の場合とは異なることから、他と区別し て分類した。また、発症原因別の被害年数には有意差はなかった(p=0.78)。