・幾つかの化合物が一緒にある時に、合計して安全な濃度を計算する式があります。分析値の合計濃度TVOCなんかでは通用しません。
安全情報書SDSで掲載義務がある最低濃度のイソシアネートを1%溶かしたトルエンに塗料では、トルエン濃度がどれだけになったら有害になるでしょうか、計算してみましょう。ACGIHの作業環境管理濃度(週40時間以内、1日以上休日の1日平均濃度)では平均濃度TWAで、トルエン50ppm、イソシアネート0.001ppmですから、他に混入物がない場合には次の式になります。トルエン濃度をNxとして、
1=(Nx÷50)+(0.01Nx÷0.001)=Nx(0.02+10)
Nx=1÷10.02 ≒ 0.1 という結果。
トルエンが純粋な時には50ppmまでよいけれども、イソシアネートが1%混合している時にはトルエンが0.1ppm超えてはいけないということになります。
これは世界中で周知の公式で、厚労省のホームページでも説明してあります。
これは作業環境の管理濃度なので、地域環境や室内環境では2桁ないし3桁低い濃度の0.001ppmのトルエン濃度が検出されても危険信号と考えられます。
交渉や裁判や公調委で空気汚染の有害性を立証する時に、この加算の法則を忘れないようにしましょう。
これは世界中で周知の公式で、厚労省のホームページでも説明してあります(わかり難い書き方ですけれども)。)
・大気中では、どのくらいの間 消えないでしょうか?
イソシアネートは水と反応しやすくて、変質するからすぐ消えてしまうに違いない、心配ないのでは、という自称化学物質過敏症の化学専門家の反応エネルギー計算式Webページがあります。
柔軟剤等の香りを実用的な製品にするためにイソシアネートでマイクロカプセルにして、繊維に付着して水で流されないようにしてありますが、それが危険だと言われるのは化学研究室にとって迷惑だから、化学の素人のくせにこれ以上書かないでくれというのです。
実際の大気中ではどうなのか、環境省が出していた化学物質ファクトシートの、環境中での運命 というのを読み集めてみて、半減期をまとめたグラフにしてみました。
赤線を引いたイソシアネート類は、紫線を引いたアルデヒド類と同じくらいの寿命です。
オレンジ線のケトンよりずっと長く大気中に残っているのです。
これは、大気中での存在の形にも影響されているのかもしれません。