-2: 電磁波過敏症アンケート 2009 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・1.電磁波過敏症とは
1)症状と有病率
電磁波過敏症は、家電製品や送電線、携帯電話や基地局などからの電磁波によって、頭痛や睡眠障害、吐き気、めまい、耳鳴り、腹痛、嘔吐などが起きる病気だ。

電磁波過敏症の有病率は、イギリスで11.00%(調査年2004年)、ドイツで 9.00%(調査年2004年)、スウェーデンで9.00%(調査年 2003 年)、オーストリアで 13.30%(調査年 2002 年)と、先進国では約 1 割を占め、年々増加する傾向にある。
例えば、スウェーデンでは1985 年に「電気に過敏」と答えた人は 0.06%だったが、2000 年には 3.2%、2003 年には 9.0%と、わずか 18 年で 150 倍に増えている。
日本での調査は行われていないが、これら先進国と同様、人口の 1 割が発症している可能性もある。

オーストリアのオバーフェルド博士らは、各国の有病率をもとに今後の増加傾向を予測し、2017 年までに人口の 50%が発症する、と予測している(図 1)。
世界保険機関(WHO)のファクトシート No.296 では、電磁波過敏症(EHS)という新しい病気が存在することを認め、「既知の症候群の一部とはいえない」と明記している。

ただし、症状と電磁波への被曝の関連性については非常に消極的で、各国政府に対し「現時点では EHS と電磁場被曝の間に現時点では科学的な根拠が存在しない」と説明することを求めている。
これを受けて総務省は、WHOの見解から「現時点」という言葉を抜いて、「EHSと電磁場被曝の間に科学的な根拠が存在しない」と説明してきた。あたかも「科学的な根拠が完全に否定された」かのような、誤解を招く表現であり、早急に改める必要がある。
上記のように、電磁波と健康影響の関連性を認めることに消極的な WHO の姿勢は、各国の研究者や医師に批判されている。ザルツブルク決議(2000 年)、
図 1 電磁波過敏症だと考える人の世界全体の有(省略)
病率(出典: Electromagnetic Biology and
Medicine,25:189-191,2006)
フライブルク・アピール(2002 年)、カタニア決議(2002 年)、ヘルシンキ・
アピール(2005 年)、ベネヴェント決議(2006 年),ロンドン決議(2007 年)、ヴェニス決議(2008 年)など、最新の科学的エビデンスを反映して、予防原則に基づいて被曝ガイドラインを見直すよう求める決議や声明が、毎年のように発表されている。
ベルン大学(スイス)が 2005 年に、スイス国内の開業医を対象に行ったアンケート調査(有効回答者 342 人)では、69%の医師が「電磁波が原因と思われる診察を少なくとも 1 回は経験」しており、10 年以上開業している医師の 50%は、「電磁波関連の診療が増えている」と答えた。

61%の医師は、「日常生活で生する電磁波への被曝は症状を引き起こす」と考えている。
患者が訴える主な症状は、睡眠障害(43%)、頭痛(39%)、疲労(14%)で、
症状に関わると考えられる電磁波発生源は、携帯電話基地局(33%)、送電線(14%)、携帯電話の使用(9%)だった。
日本でも電磁波過敏症の症例研究が、厚生労働省の補助金を受け、北里研究所病院の石川哲医師らによって報告されている。
「先進国では、電磁波の健康障害性が明らかになっている現在、日本でもそれらの結果を真摯に受け止めて患者救済に努力する必要がある点を強調する」
「電磁波過敏症症例はこれから一般医師も日常診療で遭遇する機会が増えることであろう」
「携帯電話を人口の約半数以上が所持する時代になりつつある日本で電磁波の障害はないと言い切るデータは我々医学者及び工学者は持っていない。今後謙虚にこれらの問題を直視し、病因解明、診断、治療に立ち向かう必要がある」
(出典:『平成 17 年度厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業 微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究』、石川哲ら「電磁波過敏症が初発症状として考えられた 7 症例」より引用)
「昔から、診断が困難な病気は、すべて精神疾患という大箱に放り込まれてきた。患者達は、研究が発展するまでの間は、誤診と自分の健康管理のために戦ってきた既往を持つ。

最初このような憂き目を味わった疾病には、多発性硬化症、慢性疲労症候群、繊維筋痛症、多種類化学物質過敏症、光線過敏症、聴覚過敏症などがある。

もちろん、適切な研究や診断、治療の発展を阻害する業界からの経済的圧迫もある。化学物質過敏症、電磁波過敏症の例からも明らかではある」
(出典:『平成 17 年度厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業 微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究』、石川哲ら「電磁波と生体:文献的考察---最近の研究を中心として---」より引用)

国内で電磁波過敏症を診療する医療機関はわずかで、社会的認知度も低く、病院へ行っても更年期障害や精神疾患と誤診され、適切な治療を受けられない発症者も少なくない。
一方、諸外国では、すでに電磁波過敏症を障害と認め、発症者に必要な支援や電磁波被曝を減らすための対策をたてている。