ナノマテリアルの雄親曝露による次世代影響評価 | 化学物質過敏症 runのブログ

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/41.1/0/41.1_P-204/_article/-char/ja/
ナノマテリアルの雄親曝露による次世代影響評価
*難波 佑貴1), 東阪 和馬1) 2), 森下 裕貴1), 西川 雄樹1), 前田 優子4), 吾郷 由希夫4), 田熊 一敞4), 松田 敏夫4), 角田 慎一2) 3), 吉岡 靖雄1) 2), 堤 康央1) 3)

1) 大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野 2) 医薬基盤研究所 バイオ創薬プロジェクト 3) 大阪大学MEIセンター 4) 大阪大学大学院薬学研究科 薬物治療学分野

公開日 20140826  
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抄録

近年の疫学研究により、親が受けた環境因子が、次世代の健康問題の一因であることが示されつつあり、化学物質などの環境因子と次世代影響との連関解析が世界的に待望されている。

胎児は子宮内で長期間を過ごすことから、次世代影響の主な要因は、母親の化学物質曝露であると考えられ、妊娠期曝露に着目した研究が多くなされてきた。

一方で近年では、環境因子が父親を介して次世代へ影響をおよぼすことも示唆されつつある。

その一例として、昨年末に雄親の葉酸の不足が、精子を介して子供の発達に影響をおよぼす可能性が報告されており、父親を介した影響が注目を浴びつつある。

そこで本研究では、その開発・実用化が進展しているナノマテリアル(NM)を対象に、NMの雄親曝露が次世代におよぼす影響を評価した。

本検討では、食品添加物などに既に汎用されている非晶質ナノシリカを用いた。

非晶質ナノシリカを1日おきに計4回、雄マウスに尾静脈内投与し、投与開始から35日後に雌マウスと交配させ、自然分娩させた。その結果、交配率や雌親1匹当たりの出産数、死亡胎仔数、雌雄比について、対照群と比較して有意な差は認められなかった。

また、出生後に仔の体重を経週的に測定したところ、雌の仔では体重推移が同じ挙動を示す一方で、雄の仔では、対照群と比較し、体重推移が異なる挙動を示す可能性を見出した。

そこで、仔を20週齢時に解剖し、各種臓器、筋肉、骨などの重量を測定したところ、雌雄共に対照群と比較し有意な変化は認められなかった。

現在、情動認知機能や代謝機能への影響をはじめ、多面的な解析を図ることで、NMの雄親曝露が仔へおよぼす影響を精査している。

今後は、実際の曝露量、曝露経路を加味した検討を実施することで、Sustainable Nanotechnologyに寄与することを目指す予定である。