免疫攪乱化学物質暴露が次世代の呼吸器アレルギーに及ぼす影響調査 | 化学物質過敏症 runのブログ

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/42.1/0/42.1_P-168/_article/-char/ja/
免疫攪乱化学物質暴露が次世代の呼吸器アレルギーに及ぼす影響調査
*西野 里沙子1), 福山 朋季1), 渡部 優子1), 黒澤 好1), 上田 英夫1), 小坂 忠司1), 原田 孝則1)

1) 一般財団法人残留農薬研究所

公開日 20150803  

環境中化学物質による次世代への免疫毒性影響移行は,評価上の困難性などの理由から情報が不足している。

本研究では,環境中免疫攪乱化学物質の次世代免疫毒性影響を調査するために,免疫撹乱作用が示唆される化学物質を妊娠母動物に暴露し,生まれてきた児動物の呼吸器アレルギーに及ぼす影響を調査した。

免疫抑制作用を有する事が知られている多環芳香族炭化水素化合物ベンゾ[a]ピレン(10, 30 mg/kg),有機塩素系化合物メトキシクロル(10, 30 mg/kg)およびステロイド系抗炎症薬デキサメタゾン(0.06, 0.6 mg/kg)を妊娠13日目のBALB/cマウス(10週齢)に5日間経口投与した。

生まれてきた児動物の成熟後(8週齢)に,呼吸器感作性物質であるトリメリト酸無水物(TMA)を用いて,呼吸器アレルギー反応を調査した。

TMAの経皮感作投与および吸入惹起後,肺の組織学的検査,血清中のIgE量,肺門リンパ節および肺胞洗浄液中の免疫担当細胞数とサイトカイン/ケモカイン産生量を測定した。

またコントロールとして,無処置の母動物から生まれた児動物にTMAを処置した群を設定した。

肺の組織学的検査では,メトキシクロルおよびデキサメタゾンの高用量群で炎症反応がコントロールと比較して明らかに増加していた。

肺の炎症反応を裏付けるように,メトキシクロルおよびデキサメタゾン投与群でIL-9およびIL-17Aといった炎症性サイトカインの優位な増加が認められた。

加えてデキサメタゾン投与群では,IgE産生B細胞数の優位な増加が認められ,TH2型反応への関与も示唆された。

ベンゾ[a]ピレン投与群は,全ての項目で,メトキシクロルやデキサメタゾンと比較すると増強反応が緩やかであった。

以上の結果から,次世代免疫毒性影響は剤ごとに作用点と結果が異なり,今後も免疫抑制機序に関する情報の蓄積が必要であることが示唆された。