・https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/43.1/0/43.1_S16-2/_article/-char/ja/
反応性代謝物のUGTによる解毒抱合
*西山 貴仁1)
1) 東京薬科大学薬学部薬物代謝安全性学教室
公開日 20160808
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抄録
一般に生体内に取り込まれた異物は、第I相反応及び第II相反応と呼ばれる酵素反応により極性化を受け、体外へ排泄される。
第I相反応では、シトクロムP450 (CYP) をはじめとする第I相酵素により酸化、還元あるいは加水分解を受け、被抱合官能基が導入され生体外異物は極性化される。
次いで、第II相反応では、UDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT)や硫酸転移酵素などの第Ⅱ相酵素による抱合反応を受け、水溶性の増した代謝物へと変換され、生体外へと排泄される。
これら一連の代謝反応により極性化された異物の代謝物は、特殊な場合を除き生体高分子と相互作用せず、その生理活性や毒性等を失うと考えられる。
一方、代謝反応による異物の毒性化も古くから知られている。
例えば芳香族アミン類の場合、CYPによるN-水酸化の後、アセチル抱合、硫酸抱合あるいはグルクロン酸抱合を受ける。
これら抱合体の抱合残基は脱離基として働き、生成する親電子剤が生体高分子と共有結合を形成する。
カルボン酸を有する異物の場合、UGTにより生成するアシルグルクロン酸抱合体が不安定で生体高分子と共有結合する。
いずれの場合も、生成する抱合体が反応性に富む活性代謝物となり毒性発現に寄与する。
対照的に、第Ⅰ相反応により生成し、代謝物自身が毒性発現に関与するような反応性代謝物の抱合体生成も知られている。
例えばビタミンK3として知られるメナジオン(MD)は活性酸素種の過剰産生に由来する毒性を示す。
MDからNQO1による還元を受け生成するMDのジオール体も依然として不安定で活性酸素種産生に寄与するが、この代謝物はグルクロン酸抱合を受けることにより解毒される。
ニコチン由来のタバコ特異的ニトロソアミンの一つであるNNKは、CYPによる酸化反応により生成する不安定な活性中間体を経由して発癌活性代謝物を生成する。
一方、不安定な活性中間体のグルクロン酸抱合体も認められ、その生成と発癌との関係に興味が持たれる。
本シンポジウムでは、被抱合体自身が不安定な代謝物のグルクロン酸抱合について、当研究室でこれまでに得られた研究成果を紹介する。
runより:グルタチオンとは違うタイプの解毒剤ですね。
グルクノロラクトンはここに入ります。