・ヨーロッパの知り合いから聞いた話ですが、日本に渡航する際、このようなパンフレットを渡されたそうです。
「日本へ旅行する皆さんへ。日本は農薬の使用量が極めて多いので、旅行した際にはできるだけ野菜を食べないようにしてください。あなたの健康を害するおそれがあります」
日本の農業の「現実」と「真実」がとことん綴られた一冊。
この国の農業を救う道はあるのか?
今現在、世界中で行われている栽培方法は三つあります。
一つはほとんどの国でやっている化学肥料、農薬、除草剤を使う一般栽培。慣行栽培とも言われています。
これが現代の農業の主流です。
もう一つは牛や豚、鶏などの家畜の堆肥をおもに使う動物性有機肥料やアシなどの植物や米ぬか、ナタネの油かすなどの植物性の有機肥料を施すもの。
日本ではいわゆる有機JAS栽培、オーガニックとも呼ばれています。
これは国が認めた農薬を使ってもいいとされています。
それから三つめは私が提唱する肥料、農薬、除草剤を使わない自然栽培。化学肥料はもちろん有機肥料もいっさい使いません。
昭和63(1988)年に私が成功させた方法ですが、まだ耕作者は少なく実施面積は小さい。日本だけで栽培されているんです。
東京五輪と農業
そして農業革命、これも三つあるんです。
一つは化学肥料、農薬、除草剤が研究開発されたこと。
二つめは遺伝子を操作した遺伝子組み換え作物ができたこと。
三つめは私が提唱する自然栽培。肥料や農薬を使わずに永続栽培が可能で、地球環境の保全と食の安全が期待できる栽培方法ということで、第三の農業革命と言われるようになりました。
今、世界で一般的に行われている慣行栽培は、体への害を考えるとけっして勧められるものではありませんが、すべてが悪いとは私は言えません。
化学肥料と農薬があったからこそ大量生産が可能になり、飽食の時代を迎えることができたんです。除草剤があったからこそ農家も草むしりなどの重労働から解放されたんです。
ただ、長い年月使ってきたために環境がどんどんどんどん破壊されていった。
化学肥料や農薬、除草剤を田畑にまくと、汚染物質が地下水に混じります。汚染された地下水は川に流れ込み、やがて海に出て行きます。
すると海ではプランクトンが汚染物質を食べるために大量発生し、その呼吸熱で海温が上がり、台風が発生していく。
最近大きな台風が多いのも、このせいではないのかなぁと私は思っているの。
平成21(2009)年、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が、地球温暖化の新たな原因について発表しました。
NOAAが原因として指摘したのは、農薬や化学肥料、家畜の排せつ物などに含まれる亜酸化窒素ガスです。
このガスの増加によって、オゾン層の破壊が進み、地球温暖化に拍車をかけているため、早急に排出削減に向けて、これらを使わない栽培を研究開発することが急務であるとホームページに掲載されたのです。
亜酸化窒素ガスは地球温暖化の原因の一つといわれる二酸化炭素の310倍の温室効果があるという驚きの報告もありました。