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化学物質過敏症の症例いろいろ
現在、化学物質はおはようからおやすみまで、ぎっしり私たちを取り囲んでいます。
推計5万種以上の化学物質が使われ、新しい化学物質もどんどん生み出され、それがばらまかれ、長時間さらされる状態の中に人が生活することは、歴史上はじめてです。
この歴史上初めての状況のなか、化学物質被害があるのか、ご紹介します。
▼化学物質過敏症とは?
ほんの少しの薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)によって健康被害が起きる疾病をいいます。
診断では、症状の診断と、決められた検査への反応で、化学物質過敏症かどうか判断されます。
▼平成22年度厚生省によせられた事例紹介
◎「ロジン」による被害
・ロジンによる、「はんだ付け」に従事、またはその工程に近接する職場での作業に従事していた労働者の女性17-63歳、152名に化学物質過敏症被害が認められた。
症状) 反復する持続性の喘鳴および/または胸部絞扼感 75 名(49%)
そのうち 36 名(24%)に職業性喘息を示唆する症状
さらに6 名(4%)は作業前から症状があり、その後悪化
作業に関連する鼻・咽頭症状 41 名(27%)
作業に関連する眼症状は 25 名(16%)
歩行時の息切れ21名(14%)
3 ヶ月以上続いている慢性の咳 33 名(22%)
・歯科助手、治療に用いられるロジン含有物被害(手の皮膚炎)
・バイオリン製造者、ロジン含有のイタリアンニス被害(眼瞼、左耳、前腕、手の湿疹)
他
◎「アジ化ナトリウム」による被害
・アジ化ナトリウム製造工程に従事する労働者30~40代、41名に化学物質過敏症被害がみられた。
製造過程の化学反忚炉、乾燥および防火エリアで、アジ化ナトリウムに暴露した。
症状) 頭痛 85% めまい39% 吐き気27%
1日の終わりにおける疲労感83% 動悸49% 眼球充血85%
◎「カーボンブラック」による被害
・33歳女性OLが3年間、卓上レーザープリンターに暴露され、腹腔鏡検査で腹膜内に炭素粒子の存在が確認された。毎日70枚までの印刷をしていた。
症状)3 ヶ月続く腹痛、体重減尐、下痢で婦人科を受診した。呼吸器症状は無い
◎「水酸化カルシウム」による被害
・雨天時、サッカーの試合中に右足背に違和感と灼熱感を感じた。
発生時には、原因不明の熱傷と診断されたが、その翌日にグラウンドのライン材(水酸化カルシウム)による化学損傷と診断された。
症状)右足背の紅斑、びらん 跡が残ったが完治している。
◎テトラメチルジスルフィド(チウラム)による被害
・ゴム製品による接触皮膚炎患者。ゴム手袋が7例、ゴム長靴が6例、試用期間は3~34年。
症状)接触していた手や足からはじまり全身への湿疹。
◎銅による被害
・11歳小学生男児が足の治療のためつけていた銅含有の固定器装着による被害
症状)装着40日目に顔・四肢にかゆみを伴う紅斑・腫脹・湿潤が出現した。50日目に抜去し、症状が消失した。
化学物質過敏症は職場での被害がもっとも多くを占めていますし、発症まで時間がかかるもの、すぐに症状がでるものなど、様々です。
治療器具や、楽器、白線の粉など、どこでどんな被害が起きるか予測不能なものでもあり、症状もガンから腹痛、湿疹と、多岐にわたるもので、意識しない人でも知らぬ間に発症している可能性があるようです。
神経質になると暮らせませんし、鈍感でいて重症化するのも困ります。
化学物質の健康被害にはあらゆる可能性があることを心にとめながら、自然のものやデトックスをたくさんとり入れ暮らしたいものです。