総説:化学物質過敏症4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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免疫中毒学(immunotoxicology)
環境の毒物や職業上の暴露に関連した免疫機能の研究は最近幅広く行われるようになった。

他の中毒学的手法で無毒と分かっている低レベルの暴露で発症したときは化学物質の毒性効果は一般に免疫反応と最も関連がある。

化学物質による免疫機構の変化を同定するのは困難で多くの場合矛盾が生じる。

一般的な多くの要素が免疫反応に影響を与えることが動物実験で分かってきた。
この免疫中毒学を考えるときには同時にホルモン要因、免疫抑制剤、アジュバント、ストレス、栄養状態、年齢、感染などについても考慮が必要である。方法論的問題も同時に述べられるべきである。

たとえば量、時間関係、直接細胞毒性の効果も考えられなければならない。複雑な免疫系からみれば多変解析法は免疫反応の主な要因を適切に評価するのに適している。

化学物質起因性免疫毒性の評価の適切な免疫学的パラメーターは米国国立環境健康化学研究所によりつくられている。
ハロゲン化芳香族、重金属、有機塩素殺虫剤は急性毒性について、動物で最もよく研究され、それぞれ一定の濃度で一定の決まった反応を示いている。

特定の物質に対する免疫機能の検査でも、細胞レベルでの毒性を同定するのに関係する付加的なデータやその後の基準設定に役立つ一定のデータを与えてくれるようである。

しかし、個々人の検査結果は一定でなく、その点で診断に用いるほど臨床的に非常に特徴的であるというわけにはいかない。

さらに人間での疫学的データは相対的に不足している。

塩化ビニルのように特別な物質に対しての免疫生物学的検査は有効な情報を与えてくれるかも知れない。
多種化学物質過敏症の可能性のある患者は潜在的に免疫中毒と関連した状態に曝されているかも知れない。

しかし現在、潜在的に低レベルの暴露による免疫機能の異常に関する人間のデータはほとんどなく、報告されている多くは2 , 3 , 7 , 8-tetrachlorodibenzodioxinやtetrachlor-odibenzofuranによるものである。
このようにMCS、アレルギー、免疫中毒学との境界は難しいものであるが話をMCSとアレルギーに戻そう。

特異反応の検査
多くの特異反応の検査が患者の診断に用いられてきた。

主として、食物アレルギーの診断に関係する皮内滴定は膨疹形成を誘発する最高希釈濃度を知るために段階希釈水溶液を皮内に注射することである。この試験はアレルゲン治療での最初と至適濃度を知る手段としてRinkel によって提唱された。

ぶたくさ花粉による枯草熱の患者の評価においてアレルゲン感受性を見るには役立っことが証明されているが、MCSの評価での役割はまだ不明である。
IgE抗体に対するRAST滴定はWideにより創られ、その変法が免疫学的治療のdoseを決めるために商業的に提供されている。

これは一般的な皮内反応よりかなり高価で、しかも今日では十分多くの情報が得られるかどうかはっきりしていない。
皮下一皮内誘発テスト、中和テストはRinkelの皮内滴定法に付け加えられる形で創られた。

これらは初め食物アレルギーの診断に用いられ、後に吸入性物質のアレルギーの診断にも用いられた。
この方法の二重盲検法により確かめた報告はないが、これを評価する報告が2っある。

ひとつは皮内誘発試験陽性者を経ロ食物チャレンジテストを用い検査した。193人の皮内誘発陽性者の内、62 %は経ロ食物チャレンジテストで確認されたが、38 % はそうではなかった。

食物アレルギー診断法としてのこれらの方法の再現性と正確性はBronskyによって確認された。

喘息で入院していた患者に皮膚テストを行い、一定期間症状との比較を行った研究について報告した。
不幸にもこの重要な発表は細かいデータのないabstract の形で発表されたため、評価は困難である。
舌下誘発テストと、脱感作療法は19世紀ホメオパシストによって初めて用いられた。その後2つの研究がこれの有用性を確かめた。

最初はKingにより、精神症状の食物抗原による舌下誘発の効果をプラセポーと比較検討した。

症状スコアは伝えられるところによると抗原暴露後統計学的に有意に高かったという。

2つめのはMan dellによるもので、食物抗原舌下誘発テスト、および吸入抗原とプラゼポーの関節炎での痛みの誘発について研究した。

食物と吸入物について、有為な反応が得られた。

しかし、多施設、二重盲検法による研究では食物アレルギーの診断における有用性をはっきりさせることはできなかった。

これらの研究は原因が分からないこと、すでに分かっている抗原に対する検査がないこと、プラセポーでの高い反応率い研究で50 % )に対する説明がっかないことから批判された。

ほかにひとっ否定的なレポーートがeditorへの手紙の形で示された。
白血球毒性テスト、すなわち白血球細胞融解がアレルギーー検査法として提唱された。

生理的なメカニズムは不明で、テストの結果と臨床的な食物アレルギーの発症との間にははっきりとした関係は示されていない。
これらの方法はGriecoと米国アレルギー協会によって論評されており、さらにもっと検討する必要がある。