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化学物質過敏症
出典:やまて小児科アレルギー科
更新日: 2014.09.23 【アレルギー編】


隣の人がつけている香水の匂いで頭痛や吐き気がしたり、窓をしめきった新しい建物の中や、デパート、本屋などの中に入ると、目がチカチカして鼻がつまり、頭がボーっとすることはありませんか? 程度の差こそあれ、最近、このような症状に悩まされている人が増え、10人に1人いるとさえ言われています。

最初にお断りしておきますが、私の医院では化学物質過敏症を確実に診断して、治療することができません。しかし、そのことを理由に、それに目を背けていてはいけないと感じています。少なくとも、それを疑った場合には、何らかのアドバイスをしてあげる必要があると思っています。化学物質過敏症は、私のライフワークとしているアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と共通する部分も多いです。

化学物質過敏症とは?


「ある化学物質に大量に接触したり、たとえ微量でも長い時間接触した後で、再び、非常に微量な同じ化学物質に接触すると出てくる不快な症状」のことです。普通の人では健康上特に問題とならないような、ごく微量の化学物質によっても症状が起こされるというのが大きな特徴です。そして、最初は1種類の化学物質に反応するだけであったのが、途中から多くの別の化学物質に反応する、多種化学物質過敏症に移行していくこともあります。シックハウス症候群を契機に発症する場合が多く、また、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症など何らかのアレルギー疾患を有する人が発症しやすいことも知られています。シックハウス症候群とは、合板、接着剤、塗料などの中に含まれる有機溶媒(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなど)、防虫剤、殺虫剤(パラジクロロベンゼン、有機リンなど)に反応して、不快な症状が出てくることです。ですから、建てたばかりの新しい家に引っ越したあとや、シロアリ駆除をした家の中で症状が出てきます。化学物質過敏症とシックハウス症候群は、オーバーラップするところも多く、厳密に分けることはできません。人の体の機能は免疫、内分泌(ホルモン)、自律神経によって、微妙に調節されています。そして、これらは体がつくるごく微量の生理的な化学物質によって連携し機能していますので、たとえ微量であれ、体の外部から他の化学物質が入ってくれば、これらのバランスが崩されることは容易に想像できます。

最近、増えてきた理由を考えてみると

ちょっとまわりを見回してみましょう。医薬品、食品添加物、化粧品、合成洗剤、塗料、接着剤、殺虫剤、消毒薬、農薬と、これまで何万年の歴史の中で人類が経験したことがないような、便利な新しい化学物質が次々と生活の中に登場してきました。また、車の排気ガス、工場からの煤煙、ダイオキシンなどの環境ホルモンなど、文明の副産物としての汚染物質が、空気、土、水の中に混入しており、無意識のうちに体の中にとりこまれています。電磁波、紫外線などの物理的刺激もますます増えています。一方、現代人は運動不足、精神的ストレス、十分なビタミンやミネラルを含まず食品添加物や油と砂糖で味付けされた食事によって、体の抵抗力を失っています。弱った体がそれら多くのストレスを処理できなくなった時、化学物質過敏症がおこると考えられませんか。

化学物質過敏症の症状は?

目、鼻、のどの乾燥感や刺激症状、つかれ目、目のピントが合わない、微熱、咳、鼻水などのカゼ症状、眠気、不眠、めまい、吐き気、頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢、便秘、動悸、不整脈、手足の冷え、皮膚の痒みや赤み、集中力や記憶力の低下、疲れやすい、生理不順などの症状が慢性的に続きます。特に子どもでは、落ち着きがない、すぐにキレるなどの行動や感情の異常として現れることがあります。一般的な血液検査や尿検査をしても何も異常が認められず、ADHD、心身症や神経症という診断がついていることもよくあります。

化学物質過敏症の診断は?

上で延べたような症状が出たとき、まず化学物質過敏症ではないかと疑って、仕事内容や場所、家の中の様子、生活習慣、化学物質の使用量や接触時間、食事内容などをふりかえってみることです。そして、自分の症状が何に反応しているのか、なぜそのように反応するようになったのか見当がつけばしめたものです。そして、原因らしきものを避けていると症状が改善し、原因のものと接触すると症状が出ることが確認できると、ほぼ診断がついたと考えてよいでしょう。厳密な診断に必要な目や脳の検査は特殊な検査であり、北里研究所病院(東京都港区白金5丁目9番1号、TEL:03-3444-6161)などのごく一部の施設でしか行なわれておりません。

化学物質過敏症の対処の方法は?

一旦発症してしまうと残念ながら確実な治療法はありませんので、予防が最高の治療といえます。


① 体に入る化学物質の総量をできるだけ少なくする。

原因となっている化学物質が特定できれば、それを避けます。口から入る、医薬品、食品添加物、水道水中の汚染物質、洗剤の残りなど、肺や鼻の粘膜から吸収される空気中の汚染物質、皮膚から吸収される医薬品、化粧品、洗剤、水道水中の汚染物質などに注意します。室の換気をよくすること、空気清浄器や浄水器を利用することをお勧めします。


② 体の抵抗力(解毒能力)をできるだけ高めておく。

適度な運動をして、睡眠を十分にとり、過労やストレスを避けることが大切です。ビタミン、特にB、C、E、ミネラル、特にマグネシウム、亜鉛、セレン、カルシウムの補給によって解毒機能(体に入った毒を処理する能力)を高めておきます。ビタミンBは海藻や貝類に、Cは新鮮な野菜や果物に、Eは米や小麦などの胚芽や植物性の油脂などに含まれます。海藻類にはミネラルが豊富です。化学肥料で造った野菜よりも有機栽培の野菜の方がビタミンやミネラルの量がはるかに多いです。食事で十分補えなければ、健康食品として市販されている総合ミネラル剤や総合ビタミン剤をのむことも有効です。


③ 体に入った化学物質の積極的排除。

体に入ってしまった有害な化学物質は、出来る限り外に出したほうがよいでしょう。接着剤やシンナー、殺虫剤などに含まれている有機溶媒などの脂溶性のものは、運動やサウナなどで汗をかくことによって体の外に出されます。体に蓄積された重金属はキレーションというEDTAやDMPSなどのキレート剤(金属を包み込んで水に溶けるようにする物質)の点滴や内服によって、体外に排出されます(この治療法は、一部の施設で自由診療でされているのみです)。

(参考)

毛髪分析をすると、鉛、水銀、ヒ素などの有害金属がどれほど溜まっているのか、マグネシウム、亜鉛、セレン、モリブデンなどの大切なミネラルがどれほど不足しているのがよくわかります。私自身もやってみましたが、その結果に驚きました。

(注)毛髪分析
杏林予防医学研究所(京都市中京区釜座通三条上る突抜町809 三条NSビル4F、TEL:075-252-4724)がアメリカのDoctor’s Data社と提携して行なっている検査です。毛髪約0.25gを分析することによって、体に不足している必須ミネラルや体に蓄積している有害ミネラルを調べます。

(参考図書)
1、 化学物質過敏症、 石川 哲・宮田幹夫 著、 かもがわ出版
2、 化学物質過敏症ってどんな病気、石川 哲 著、 合同出版
3、シックハウス症候群マニュアル、日本臨床環境医学会 編、東海大学出版社

電磁波過敏症


携帯電話などの電磁波も、化学物質過敏症と同様の症状を起こすことが知られており、電磁波過敏症と呼ばれています。
私は数年前に「電磁波汚染と健康」 という本を翻訳するプロジェクトに関わったことがあり、大変勉強になりました。興味のある方には、販売またはお貸しいたします。


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