「マラチオン」の”毒性”について自ら調べないマスコミ | 化学物質過敏症 runのブログ

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・食品に混入された有機リン農薬「マラチオン」の”毒性”について自ら調べないマスコミ

水島宏明 | 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 2014年1月2日 19時42分配信


クリームコロッケなどの冷凍食品に農薬が混入されていた事件。

警察による捜査で工場での製造過程で農薬が混入する可能性は低くなり、工場内に出入りできる何者かが混入させた疑いが強まっている。

犯人は誰なのか。目的は何だったのか。どうやって混入させたのか。

それらは今後の捜査の進展を待つより他はない。

それよりも、ここまでのテレビや新聞の一連の報道を見てきて気になったことがある。

混入された有機リン農薬「マラチオン」の毒性に関する報道があまり詳しくないのだ。


流通している食品がどこまで危険なものなのかは、読者・視聴者が真っ先に知りたい情報のはずなのに、「会社側の発表」を垂れ流したような報道が目立つ。


私も以前、農薬の毒性に関するドキュメンタリーを取材したことがあるが、「マラチオン」などの有機リン農薬は、毒ガスのサリンとのいわば親戚のようなもので、生物の神経細胞に大きな影響を与える。


もちろん「急性」の毒性もあるが、「慢性」の毒性も見逃せない。

私が取材した有機リン農薬による慢性中毒の患者は「化学物質過敏症」を発症して、日常生活をとても制約された生活を送っていた。

そうした問題も見通して、この事件の報道が行われているとはとても言えない。

報道を振り返ってみよう。

マルハニチロ、回収は630万パック 冷凍食品から農薬


2013年12月30日00時11分  マルハニチロホールディングス(本社・東京)は29日、子会社の「アクリフーズ」の群馬工場(群馬県大泉町)で作られた冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出されたと発表した。

マルハは同工場で製造した全商品を自主回収し、農薬が混入した原因を調べる。報告を受けた群馬県は30日、状況を確認するため食品衛生法に基づいて同工場を立ち入り検査する。

 マルハによると、11月半ばから今月末にかけて、3品目計20パックについて「異臭がする」などの苦情が特定の地域ではなく、各地から寄せられた。「ミックスピザ3枚入り」などのピザ11パック、「鶏マヨ!」などのフライ8パック、「とろーりコーンクリームコロッケ」1パック。

ミックスピザを食べた子ども1人が、口に入れた直後にはき出した。

健康被害の情報は寄せられていないという。

 同社は「工場内の薬剤や原材料を調べたが農薬は検出されなかった。

通常の製造過程とは別に、外部からの混入も含めて調べる」と説明。群馬県警に相談しているという。

 苦情が寄せられた3品目の11パックの商品を外部の調査機関に依頼して調べたところ、各品目の計4パックの商品から農薬用の有機リン系殺虫剤「マラチオン」が検出された。低毒性で急性の毒性や発がん性などはないという。調べた袋には外部から針などで刺した跡は確認されなかった。

 同社は今月27日、同工場でつくる市販用42商品と総菜や学校給食などで利用される業務用46商品の製造を中止。回収の対象になるのは、現在流通している在庫品約630万パックになるという。同工場は市販用、業務用を年間計約8千万パック生産している。

 同工場で製造された商品は返金に応じる。

問い合わせはアクリフーズ(0120・690149)へ。
出典:朝日新聞デジタル