香り付き柔軟剤による健康被害急増に思う! | 化学物質過敏症 runのブログ

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国立病院機構盛岡病院化学物質過敏症外来便り 2013年8月号

Vol.9 No.1)
ク リ ー ン エ ア

香り付き柔軟剤による健康被害急増に思う!
国立病院機構盛岡病院 副院長 水城まさみ
(化学物質過敏症・環境アレルギー外来担当)
数年前よりテレビのコマーシャルなどで「香りつづく・・・」などの香りを売り物にした柔軟剤や洗剤、消臭芳香剤、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、整髪料、制汗剤などの紹介が過剰になってきていることに気付いていました。

これに並行するように特にここ2~3年の傾向として当院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」に香り付き柔軟剤が原因で体調不良になった患者さんの受診が急増しなんとかしなければならないと思っていた矢先の今年5月20日に環境省より公表された「平成25年度スーパークールビズの実施について(お知らせ)」の中の「女性のクールビズについて」の提案にはとうとうここまで来てしまったのかと目と耳を疑ってしまいました。

すなわち、来るべき猛暑に対応するためにファッションなどの事例とともに、汗やにおいの対策として「香り付き柔軟剤」「制汗剤、冷却スプレー、汗拭きシート」などを列挙したのです。

環境省が今夏の138年間の観測史上初めてなど、気象の記録を塗り替えるような猛暑を予感していたのは間違っていませんでしたが、安全な環境を守っていく責任がある筈の同省が環境不耐症とも言われている化学物質過敏症に対してあまりにも理解と配慮がないことに関しては怒りを通り越して呆れてしまうと同時に化学物質過敏症やシックハウス症候群を診ている専門家の発言権や社会的な影響力の弱さも思い知らされました。

現に環境省の提案の直後に開催された日本臨床環境医学会の際に化学物質過敏症関連の研究者の班会議で、このことについて尋ねてみたところ誰もこの提案のことを知らされていませんでしたし、ましてや環境省やマスコミから意見を求められた人がいなかったというのが現実です。

私はたまたま大分医科大学(現 大分大学)で医学部学生の解剖実習でのホルムアルデヒドによる健康障害について研究をしていた関係で知り合いになった小沢祐子さん(サスティナブル21、「香料自粛を求める会」代表)からのメールで知りました。

環境省の提案に対するその後の展開については新聞報道されたのでご存じの方もおられると思いますが、「香料自粛を求める会」、「反農薬東京グループ」、「化学物質問題市民研究会」の3団体が6月3日に環境省に対して先の「女性クールビズ」の箇所の記載の撤回を求めたところ「香料などの化学物質で体調を崩す人」への配慮が必要であることを認めて6月7日にホームページから削除されました。

ただし因果関係を認めたわけではなく環境省の担当者は「香りとの因果関係は明らかではないが、クールビズ本来の目的への関心がそれてしまうなど、誤解が生じるのを防ぐために要望に応じた」(朝日新聞)とのことです。
国民生活センターによると柔軟剤の香りで「鼻やのどが痛くなる」「気分が悪くなる」という相談は2012年には48件あり、2009年の5件から急増したとのことです。

最近では香りが長く続く「高残香」タイプの商品が若い世代を中心に人気で、大手洗剤メーカーの担当者によると2011年度の売り上げが前年度の1.4倍に伸びているとのことです。

消費者は柔軟剤本来の目的である「肌触りよく仕上がる」よりも「香りがよい」ことを重視する人が約7割もいるとのことも驚きです。

さらにあるメーカーの製品には「香りをもっと楽しみたい時には好みに合わせて使用料を増やして下さい」と記載されていて「使用量の目安の2倍程度を上限とする」などのアドバイスをしています。

これらの「高残香」タイプの成分はアントラニル酸メチル、ジヒドロキシジメチル安息香酸メチルなどの多種類の化学物質を組み合わせた人工香料でできています。

当院に通院する化学物質過敏症やシックハウス症候群の患者さんに環境中の物質で苦手なものを上げていただいたところ、タバコ臭と柔軟剤や香水などの香料が1、2位となりました。

シックスクールで発症した子供たちも友達や先生の服に付着した柔軟剤やシャンプーの香りが辛くて登校できないことがとても多いです。
実は私も柔軟剤で体調不良となります。

例えば外来で患者さんの診察中に柔軟剤の香りが強いと咳が止まらなくなり、気分不良、めまいが起こり、我慢して診察を続けていると冷や汗が出てきてそのうちに集中力が低下してくることがあります。

ある時は入院患者さんの娘さんで柔軟剤の香りが特に強かったのですが、面談の必要があり約1時間ほど話していたところ気分不良がひどくなり眠気、倦怠感が強くなって小1時間ほど空気のきれいな部屋で休まなければならなくなったこともありました。

柔軟剤で発症した患者さんの中には、その後多種類の化学物質に反応するようになったり、光に過敏になったりして、家事や仕事ができなくなってしまった方も多くみられます。症状が重症の場合には意識消失を起こすこともあります。
しかし香料で苦しむ人がいることについての社会的認識があまりにも乏しいというのが現状で、先の環境省の提案のようなことが起こります。

香料がタバコと匹敵する位の健康被害を起こすと考えられます。

タバコとの共通点は第一に人によって好む人と正反対に苦しんでいる人がいる、第二に残留香を含めてレストラン、エレベーターの中、学校、病院、交通機関など公共の場での環境汚染になっていることです。

しかし香料については使用を勧めるコマーシャルや情報が大部分で、香料の健康被害について言及するものは殆どありません。

タバコと同様にコマーシャルの規制や製品の説明に「人によっては健康被害を起こすことがあります。

近所や周囲の人に迷惑にならないように使用して下さい」などの記載が必要と考えます。

またタバコと同様に香料自粛のガイドライン作成を厚労省や環境省などに働きかける時期にきていると考えます。

私たちにできることは何かを一緒に考えていきましょう。


runより:最近無香料柔軟剤が増えてきました、やっと「おかしい」と気づいたのかあまりにも苦情が多かったと予想出来ますね。

企業の儲けの為に香料被害なんてまっぴらゴメンですよ( ̄_ ̄ i)