環境省、ネオニコチノイド系農薬の環境影響調査を開始 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・環境省、ネオニコチノイド系農薬の環境影響調査を開始
理事 橘高 真佐美
2015年6月3日、水野玲子理事と環境省を訪問し、水・大気環境局を担当する大臣官房審議官の早水輝好さんと水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室長の川名健雄さんにネオニコチノイド系農薬に関する話をお伺いしました。
―国民会議では、2009年頃からネオニコチノイド系農薬に取り組んできました。

環境省がネオニコチノイド系農薬の環境影響調査を始めたことは大変良いことだと思います。

調査に取り組むことになった背景を教えてください。
 EU 諸国で蜜蜂群の減少が問題となり、欧州委員会では、蜜蜂群の減少に一部のネオニコチノイド系農薬が関与しているのではないかとの懸念から、2013年12月より2年間、一部のネオニコチノイド系農薬の使用制限がなされています。

我が国でもネオニコチノイド系農薬等の生態系への影響を懸念する声もありますので、実態を把握する必要があると考えています。

トンボの生息状況は日本における生態系の重要な指標です。

水田等でのネオニコチノイド系農薬の使用実態や湖沼等への残留実態とトンボ等水生節足動物類の生息実態とを比較し、農薬以外の要因などの各データも分析することで、生態系への影響を把握したいと考えています。

―具体的にはどのような調査をされたのですか。
 初年度の平成26(2014)年度には、生態・生息データや毒性データに関する文献調査、ヒアリング等による情報の収集・整理と、トンボ等の産卵・生息箇所として確認されている湖沼等7箇所について水及び底質中のネオニコチノイド系農薬とフィプロニルの残留実態調査、トンボ等の生息状況を把握するための調査方法を検討する予備的な調査を国立環境研究所に委託しました。

五箇公一主席研究員が調査研究の代表者となっています。

その他、競争的資金である環境研究総合推進費により、平成26年度から28年度にかけて、ネオニコチノイド系農薬の陸域昆虫類に対する影響評価の研究も実施されています。

―調査結果は既に公表されているのですか。
 まだ現段階では公表はされていません。

7月15日に、国立環境研究所でネオニコチノイド系農薬に関する公開シンポジウム「ネオニコチノイド系農薬と生物多様性~ 何がどこまで分かっているか? 今後の課題は何か?」が企画されており、平成26年度の調査結果も含む様々な研究報告が行われると聞いています。

一般の方にも公開されるものですので、ぜひご参加ください。詳細は、国立環境研究所のホームページに掲載されています。

―欧米や韓国では、ネオニコチノイド系農薬の規制が始まっていますが、日本では規制を行わないのでしょうか。
これから調査を始めるというのでは、生態系を守るには遅すぎませんか。
 まだ日本でも規制を行う必要があるかどうかを判断するための根拠となる科学的な証拠が十分に揃っていません。

まずは今お話ししたような調査研究を進めつつ、農林水産省とも連携して規制の要否を検討したいと思います。

最後に、水野理事が、EU の欧州アカデミー科学諮問会議やIUCN 等で様々な研究結果が報告されていることや、日本の地方でも既に生物の数が激減していることから、早急なネオニコチノイド系農薬の規制が、日本の生態系の保全や食糧安全保障に直結することを強調しました。