・日経テクノロジー
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20141008/381360/?rt=nocnt
スマートメーターを無料配布する京セラの狙い
河合 基伸=日経エレクトロニクス
2014/10/14 04:00
電力小売事業が全面自由化になる2016年が迫ってきました。
エレクトロニクスメーカーを始め、あらゆる業界の企業が色めき立っています。
家庭向けを含む低圧分野の約7.5兆円の電力市場だけでなく、家庭向けのエネルギー関連機器や電力データを活用した新サービスといった周辺市場への広がりに期待しているからです。
その中で注目しているのが、京セラの動きです。
つい先日も、自動デマンドレスポンス(DR)の実証実験を始めると発表しました。
DR要請から実績報告までを自動化する、日本初の試みです(関連記事)。
京セラは、得意の太陽電池に加えて、蓄電池やHEMSなどへと事業領域を徐々に広げてきました。
このうち蓄電池は、2014年3月17日に応募が始まった総額100億円の補助金「平成25年度補正予算 定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金」が、わずか3カ月後の2014年6月23日に底を突くほどの密かなブームになっています。ブームに乗じて京セラも出荷数を延ばしたことでしょう。
HEMSについても京セラは、ひっそりと新たな試みを始めています。
同社のHEMS機器を購入したユーザーに、無料でスマートメーターを設置するサービスを2014年4月に開始したのです(日経エレクトロニクス2014年10月13日号の特集「解放、電力データ」を参照)。
スマートメーターは東光東芝メーターシステムズ製で、決して安価なものではありません。
通信自由化でADSL機器を配った企業の戦略を彷彿とさせます。
高価なスマートメーターを、無料で設置する京セラの狙いは、どこにあるのか。
実は2016年に電力自由化が始まったとしても、「スマートメーターが設置されなければ価値あるサービスは提供できない」(パナソニック)という課題があるのです。
各地の電力会社によって全国でスマートメーターの設置が完了するのは、2024年度の予定です。
2016年からそれまでの間は、電力自由化による新サービスの一部を受けられないユーザーが発生する可能性があります。
そこで、京セラのHEMS機器を購入すれば、そうした懸念を払拭できるというわけです。
京セラは、自ら設置したスマートメーターを活用して、太陽電池や蓄電池の長所を最大限に生かす仕組みを考えているといいます。
どのような事業が登場するのか、今から楽しみです。
京セラだけでなく、他の企業も次々と新たな策を繰り出してくるでしょう。
2016年に向けた競争は既に始まっているのです。
runより:携帯普及の時と似た戦略だと思いますね。