-2 住友化学の環境ホルモン農薬「プロシミドン」に気をつけよう | 化学物質過敏症 runのブログ

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・環境ホルモン農薬「プロシミドン」
 そうした抗アンドロゲン作用を持つ農薬の一つが、住友化学が製造販売している殺菌剤「プロシミドン」で、国内では「スミレックス」という商品名で販売されている。国内での生産量は854.4トンとメジャーな農薬で、イチゴやスイカ、ミカン、メロン、リンゴなどの果物や、キュウリやカボチャ、キャベツ、レタスなどの野菜まで幅広く使用されている。
 住友化学が行ったラットでの発生毒性試験では、母親の妊娠6日目から19日目にプロシミドンを投与した結果、胎児のラットに生殖器の異常が発生して
いる。欧州連合(EU)ではこうした胎児への影響を重視して2008年にこのプロシミドンは登録失効となり、使用禁止となった。

輸入農産物があるため、残留基準値が設定されているが、下図のように、イチゴで見ると日本の残留基準値の500分の1 という厳しい値が設定されている。
 

残留基準値に500倍もの違いが出てくる理由は、基準値設定の元になっているヒトでの摂取基準値に違いがあるためだ。

摂取基準値には2種類あって、1日当たりこの量以下であれば一生涯毎日摂取し続けても安全というのが1日許容摂取量(ADI)。

主に慢性毒性試験のデータを基に決定される。

もう一つは、一回だけの摂取量でどこまで安全かという量で、急性参
照用量(ARfD)という。

急性参照用量は農薬による急性中毒を考慮した値だと考えられている。

しかし実際は急性中毒だけでなく、今回の環境ホルモン農薬のように、特定の感受性の高い時期での影響を防ぐのも急性参照用量の役割なのだ。
 つまり、ADIだけで規制すると、たまに農薬の残留量が多いイチゴを食べたとしても、一生涯毎日同じ量のイチゴを食べ続けることは考えられないから影響はないということになる。

しかし、それでは感受性が高くなっている妊娠中の胎児への影響を防止するには十分ではない。
スイカ以下29種類でEUの安全基準を超過




 このプロシミドンについては、今年1月に食品安全委員会がADIを設定(体重1㎏当たり1日0.036㎎)した。

これから厚労省が残留基準の設定を行う
予定だ(現在の残留基準値はポジティブリス制ができたときの暫定基準値)。
 ADIの根拠とされたのは上記のラットでの胎児への影響のデータなので、今後急性参照用量を設定するとしたら、最低でもADIと同じ値にすべきだ
ろう。

EUでは有害性の深刻さを重視してさらに3分の1の0.012㎎に設定している。
 現在の日本の残留基準値ギリギリの野菜や果物を食べた場合、EUの急性参照用量を超えるものを調べたのが下図だ。スイカが一番高く、残留基準値
は3ppmと小さいのだが、一度に食べる量が多いため、EUの急性参照用量を8倍も超過することになる。

続いて、ブドウで5.5倍、トマトで5倍、ほうれん草4倍、カリフラワーときゅうりが3.8倍、モモ、ワケギが3.6倍などことごとく超過することになる。

日本のADIをそのまま急性参照用量に採用したとしても、春菊から右の15品目では超過することにな
る。
 こうした摂取基準値の設定には、動物実験で有害影響が出た値から安全係数として100分の1程度の量で設定されているので、基準値を超えたからすぐ危険とも言えない。また残留基準値ギリギリまで農薬が残留することもまれだ。

しかし、急性参照用量は短期摂取の影響なので安全のためには基準値を超えない方がよい。

厚労省がプロシミドンの残留基準値を、胎児への影響も考慮した急性参照用量を元に改定するまでの間は、念のため妊娠中はグラフにある野菜や果物を食べるときには注意しておいた方がよいだろう。

一度にたくさん食べないか、食べたいときには農薬を使用していない(有機栽培のもの)、または残留農薬の少なそうなもの(特別栽培のもの)を選ぶことなどで、農薬摂取量を減らすことができ
る。