決して患者の「切り捨て」ではない 難病・医療費助成の新制度? | 化学物質過敏症 runのブログ

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決して患者の「切り捨て」ではない 難病・医療費助成の新制度
改めて考え直したい医療保険の本来の意義


2015.03.02(月) 多田 智裕

2月18日、厚生労働省の専門家委員会は、医療費助成の対象となる指定難病43疾患を新たに選定しました。

 指定された難病は「ファロー四徴症類縁疾患」「先天性腎性尿崩症」「α1―アンチトリプシン欠乏症」「メープルシロップ尿症」「グルコーストランスポーター1欠損症症候群」などの心臓・泌尿器・呼吸器・内分泌代謝疾患です。

 これまで、難病として認められていたのは「潰瘍性大腸炎」や「パーキンソン病」などの56疾患のみでした。

ですから、医療費助成の対象外となっていたそれ以外の難病が助成対象に加えられることは、制度として一歩進んだと言ってよいでしょう。

今後、夏までには合計で300の疾患が認定される見通しです。

 しかしここで注目したいのは、これに先立ち1月1日より、難病と小児慢性特定疾患に関わる医療費助成制度が変更されていることです(参照:政府広報オンライン)。

 この新制度の患者側から見た3つの大きなポイントは、

(1)指定医療機関でしか医療費助成を受けることができなくなる、

(2)薬剤の自己負担はこれまでゼロだったものが一律2割負担になる、

(3)これまで認められてきた“軽症”の難病の新規申請は受け付けてもらえなくなる、

ということです。
これだけ見ると、難病患者の切り捨てと思うかもしれません。

 しかし、対象疾患を増やしながら難病助成制度を安定的なものとするためには、いずれもやむを得ない措置と言える部分も多いのです。

 ここで、この制度変更と医療保険制度の意義をもう一度考えてみたいと思います。

医療機関の“絞り込み”が切磋琢磨を促す

 改正の1つ目のポイントは“難病指定医”のいる医療機関でしか医療費助成が受けられなくなったことです。

 昨年度までは難病の医療費助成はどこの医療機関ででも受けることができました。これが、今年1月からは都道府県の指定を受けた“難病指定医”のいる医療機関でしか医療費助成を受けることができなくなったのです。

 また、患者側から見た変更点としては、医療費助成を受ける医療機関を1つだけに指定して助成を申請しなければならなくなったことが挙げられます(緊急の場合や症状が悪化した場合に他の指定医療機関を受診することは認められています)。

 指定医を1カ所しか選択できなくすること、そして、指定医しか受診不可にすることは、“フリーアクセス制限”と言えるかもしれません。

 しかし、これにより、難病を治療する医療機関は集約化され、ノウハウや最新の知見が蓄積されやすくなるでしょう。患者もメインの医療機関を1つしか選べないため、これまで以上に医療機関の実力を厳しく判断し、医療機関の切磋琢磨を促すことにもつながるはずです。
低所得層の自己負担は抑えられている

 2つ目のポイントとしては、薬剤の自己負担がゼロから2割になることです。

 難病の1つである「潰瘍性大腸炎」の標準的な投薬治療の例で言うと、これまで、診察代の3割負担、約2000円だけだったものが、診察代+薬剤代金の2割負担ということで6000円ほどになっています。

金額だけ見ると3倍増(!)ということです。政府は「これまでの3割負担を2割負担に一律に軽減しました」と説明していますが、実質は負担増なのです。

 所得に応じて負担をしてもらうため、確かにある程度の年収の人は、薬剤代金を含めると負担増になる方が多いかもしれません、

 しかし、新制度では、低所得層(本人年収が80万円以下)には月額自己負担の上限額を1250円までに抑える措置がとられています(参照:政府広報オンライン)。

 政府は誤解を生む説明をするのではなく、このことをしっかり説明するべきだと思うのです。

“軽症“の難病患者は医療費助成の対象外に

 3つ目のポイントとしては、“軽症者の新規申請を認めない”こと、そして、現時点で難病助成を受けている軽症者も、3年間の経過措置後は医療費助成の対象外となることが決定されたことです。

 とはいっても、難病を新たに発症された方は、症状が中等症以上でないことはまずありません。

なぜならば、症状がほとんどない軽症の状態であれば、そもそも病院で検査を受けたりしないからです。
また、現在症状が落ち着いている軽症者も、特例措置があります。3万3330円以上の医療費が発生した月が1年間に3回以上あると、特例措置の対象となるのです。

そのため、月額の医療費が3万3330円を超えるように、薬を2カ月分(60日分)まとめて処方してもらう月を年に3回作れば、ほとんどの場合、3年間の経過措置終了後も引き続き医療費助成を受け続けられるというわけです。

ですから実際問題としては、「治療の効果で病状が落ち着いているがために、医療費助成の対象から外されてしまう」という事態は滅多に起こらないでしょう。

 とはいえ、このように“軽症者を難病医療費助成の対象外とする”仕組みを組み込んでいることは、もっとしっかり説明されるべきでしょう。

健康保険制度の本来の意義とは?

 難病を発症して日々の生活に支障をきたしている上、なおかつ高額の医療費を支払わねばならない状況に陥る人を少しでも減らすために、難病指定を拡大するのは正しい方策です。

 しかし、その一方で、効率よく医療を行い、医療費を抑制するために、難病指定医での診療を義務づけたり、収入に応じて自己負担額を引き上げたり、軽症者は対象から外すなどの措置が必要です。

それが今回導入されたことも、また厳然たる事実なのです。

 これを、“難病患者の切り捨て”だとして批判することは簡単です。

しかし、そもそも医療保険とは、高額な医療費のために自己破産したり、持ち家を売らなければならなくなる事態を避けるために、毎月の掛け金を支払うものだったはずです。

 難病指定の制度変更を機会に、医療保険の本来の意義を改めて考え直す機会とすれば、今回の決定も受け入れやすいのではないかと思います。


runより:何か良い様に書いてますが消費税上げたのに個人負担発生ってどうなの?

また化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群などの難治性疾患はやはり斬り捨てじゃないか。

せめて研究してほしい、我々は治りたいだけなんだ。