・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・田んぼは「日本最大のネオニコチノイド系農薬の消費
斑点米カメムシ徹底防除の本当の理由
米の検査規格の 見直しを求める会
今野 茂樹
秋田県で3月2~3日、「斑点米とネオニコチノイド系農薬を考える集会」を開いた。
毎年夏になると、全国の田んぼで「カメムシ徹底防除」が行われており、田んぼはいまや日本最大のネオニコチノイド系農薬の消費地になっている。秋田県は早くから県議会や知事、市町村議会などがカメムシ防除のあり方に疑問を持ち、政府に意見書を提出している全国で唯一の県で関心が高い。
今年もやってくる夏の防除を前に、本当に防除が必要か、一般の参加者とともに考えた。
集会には国民会議の中下裕子氏と水野玲子氏をはじめ、ネオニコチノイド系農薬の実態を知り問題を解決しようと活動している団体から9名が参加した。
集会に先立って、今回の代表を務める山浦康明日本消費者連盟共同代表が秋田県農林水産部を訪れ要請書を手渡したところ、担当者から画期的な回答があったのでこれについて報告したいと思う。
要請の主な事項は、農協が農家に支払う米代金に関するもの。
米代金は毎年、JA全農(経済連)が都道府県毎に決めているが、全農秋田の場合、2等米は1 等米よりも60kgあたり600円安く(全農新潟などは1000円差)、この価格差が農薬散布を助長しているためである。
米価は毎年大きく変動するのに、等級間の差額はなぜか市場原理が働かない「固定相場制」になっている。
これにはどういう理由があるのだろう。全農秋田は「慣例」と答えていたが、本当の理由は農薬を販売したいため、と見られても仕方ない事情がある。
実は、2等米に含まれる斑点米は最大0.3%で、それを除去して生ずるロスは60kg当たり60円程度に過ぎない。
一方、米価が60kg1万7千円から1万1千円に下がると、等級間格差は600円が400円弱になるのが自然だ。
そうすると農薬代278円と大差がなくなり農薬を散布する意味が大きく薄れてしまう。
米価がさらに下がれば農薬代の方が高く付く逆転現象も起こりうる。
すなわち、1等米と2等米価格の開きが農薬の販売量に直結しており、農薬販売サイドにとって大きな価格差が固定していることが、安定販売にとって必須条件になっている。
要請書は「農薬散布は斑点米カメムシによる実際の被害に比べ、農協が農家に支払う2等米の代金が少なすぎることが原因。適正な等級間格差にすることで農家の損害が小さくなり、防除を無くすことができる。農薬散布の呼びかけではなく、農協に是正の働きかけをお願いしたい」。
これに対する県農林水産部の回答は画期的だっ
た。
「民間取引で決まる米価を指導する立場にはない」としつつ「等級間差は合理的に説明可能な根拠を持つべきで、全農には申し入れを行う」とNHKテレビに向かって話し、それを多くの県民がローカルニュースで視聴し、翌日の新聞4紙でも報道された。
米の等級間格差の問題点に初めて焦点が当たった。
0.2%のわずかな斑点米で2等に落ちる検査制度、そして2等米を理由に過大な等級間格差を設定している農協、さらに「徹底防除」を呼びかける行政、こうしたいくつもの仕組によって、カメムシは大きな被害を及ぼす抹殺しなければならない害虫と思われがちだ。
しかし実際に経済的損害を与えているのは斑点米カメムシではないのだ。
runより:むしろ2等級米の方が安心できる気がします。