・出典:東京都健康安全研究センター環境保健部環境衛生研究科
http://www.tokyo-eiken.go.jp/index-j.html
・シロアリ駆除剤由来の室内環境中ネオニコチノイド汚染 ―住宅構造との関連―
ネオニコチノイド系殺虫剤(以下、ネオニコチノイド)を有効成分とするシロアリ駆除剤は、低臭で長期間有効な薬剤として、近年多用されている。
しかし、それらの薬剤による室内汚染については報告が少ない。
そこで本研究では、ネオニコチノイドを用いてシロアリ駆除を行った2軒の木造住宅において、室内空気中及びハウスダスト中のネオニコチノイド濃度を測定し、住宅構造との関連について考察を行った。
調査を行った住宅の概要は、住宅A:クロチアニジン使用、2012年3月調査(薬剤散布後3年7ヵ月経過)、外張り断熱工法、住宅B:イミダクロプリド使用、2012年7月調査 (薬剤散布後6ヶ月経過)、在来工法であった。
調査の結果、住宅Aでは、床下空気(3.1 ng/m3)、室内空気(0.66~1.1 ng/m3)及びハウスダスト(0.16~0.31 μg/g)からクロチアニジンが検出された。
住宅Bでは、床下空気(0.81 ng/m3)及びハウスダスト(0.035~0.036 ng/g)からイミダクロプリドが検出されたが、室内空気からは検出されなかった。
2軒の住宅について、床下と1階の空気中濃度を比較すると、住宅Aでは1階空気/床下空気の濃度比が0.35であったのに対し、住宅Bでは0.01以下であった。
この違いの原因としては、住宅構造の違いが考えられ、住宅Aは外張り断熱工法の家で、外壁と内壁の間に通気層があることから、通気層を通って、床下に散布されたネオニコチノイドが室内に侵入しやすいものと推察された。