・3 理由
(1)本件対象文書について
労働保険審査会では,再審査請求について,『労働保険再審査関係統
計表』を作成している。統計表では,労災保険の事件種類別の集計を行
っており,「業務上外」,「障害」,「治ゆ認定」,「再発認定」,「労働者資
格」,「給付基礎」,「却下決定」,「通勤災害」,「石綿救済法」及び「その
他」,に区分している。
開示請求のあった「化学物質過敏症」については,この区分のうちの
業務上外に含まれるが,業務上外の内訳は集計していないため,開示請
求された資料は存在しないものである。
なお,法律上,「化学物質過敏症」については,統計を取ることが義
務付けられていないところである。
(2)不開示情報該当性について
本件対象文書は,作成及び保有しておらず,法9条2項に該当するものであるため,不開示とすることが妥当である。
4 異議申立人の主張について
異議申立人は,個別の労災請求や裁判件数が多数あることから本件開示
請求に係る統計を取っていないことは問題であることや司法の判断に委ね
るために本件対象文書が必要である旨の主張をしているが,本件対象文書は,法律上,「化学物質過敏症」については,統計を取ることが義務付け
られておらず,不存在であることは明らかであることから,異議申立人の
主張は失当である。
5 結論
以上のとおり,原処分の判断は妥当であり,本件異議申立ては棄却すべ
きと考える。
第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成23年3月25日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同年4月26日 異議申立人から意見書を収受
④ 同年10月28日 審議
⑤ 同年11月25日 審議