食用タール色素と機能的相互作用するタンパク質・アミノ酸に関する研究 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
・食用タール色素と機能的相互作用するタンパク質・アミノ酸に関する研究

岡山大学大学院環境生命科学研究科 中村宜督

食用タール色素であるphloxine B (PhB) は、光照射条件下において過酸化水素を生成し、様々な培養細胞に光細胞毒性を誘導するが、その分子機構にはまだ不明な点が多い。

本研究では、細胞培養用培地における食用色素の反応機構を解明する目的で、PhBの光増感作用に影響を与える成分を探索した。

細胞培養用培地において、光照射したPhBは過酸化水素生成量を顕著に増加させたのに対し、PBSでは有意な変化を認めず、培地に特有の成分がType I (電子移動) 反応の惹起に寄与することが示唆された。

そこで、培地に含まれるどの成分がPhBと相互作用し、光依存的な過酸化水素の生成量を増加させるかを検討した結果、システイン、メチオニン、チロシン、トリプトファンに過酸化水素生成の増強作用を認めた。

さらに、これら4種のアミノ酸を組み合わせて反応させたところ、単独よりも相乗的に過酸化水素が増加することを見出した。

以上の結果から、これらのアミノ酸は励起色素への一電子還元反応を増強している可能性が示唆された。

一方、PhBの光細胞毒性に対するタンパク質の影響を、牛血清アルブミン (BSA) をモデルとして検討したところ、BSAはPhBとの相互作用を介して、光増感作用を有意に抑制した。

以上のような食品成分間相互作用の報告例は極めて少なく、食品加工や保蔵において、より安全に食用色素を利用する上で極めて意義深い知見であると考えられる。