その4:自閉症・ADHDなど発達障害の原因と有機リン系、ネオニコチノイド系など農薬の危険性 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

6、放射性物質と環境化学物質の「多重複合汚染」
の危険性と魚介類への海洋汚染
 これからの日本人、特に子どもの健康影響を考える時に、福島原発事故後の日本の放射能汚染の問題を外す訳にはいかない。

難分解性のPCBよりもはるかに環境中で安定なセシウム137(Cs-137)、ストロンチウム90(Sr-90)など長い半減期をもつ放射性物質の人体汚染は、今後全国レベルで蓄積していくだろう。

ことに海中で生体濃縮が進み、流通販売の全品検査が困難な魚介類や農作物を食べることによるCs-137、Sr-90汚染のリスクを無視することはできない。

Sr-90は骨に蓄積されるように、生体内ではカルシウム(Ca)と同様の動態をとる。

Caイオンは、神経伝達や酵素の活性化など、生体内のほとんどあらゆる場面でCaが重要な機能を担っていることが明らかになってきている。

Caは生命の基本に深く関わっている物質なので、それと類似の動態をとるSr-90の危険性は今まで研究データがないだけで、様々な可能性があり大変危惧される。

英国セラフィールド再処理工場周辺で多発した小児白血病は、放射性物質が原因ではないかという指摘が英国議会の公聴会で問題になった時、DNAの直近にある染色体タンパク質のCa結合部位にSr-90が結合する時などの発がんや染色体異常のリスク(図2)が検討されたようだが、データは公表されていない。

放射能に脆弱な子どもでは、Sr-90、Cs-137の内部被曝により切断・変異した遺伝子が、発がんだけでなく、脳神経系を含み様々な健康障害を起こす危険性もある。

さらにやっかいなことに、既に日本で進行してしまっている各種毒性化学物質の環境・人体汚染とこれらCs-137、Sr-91などの放射性物質の大規模な「多重複合汚染」の問題がある。

野村大成(大阪大学)は、1970年代に既にこの種の多重汚染による健康障害についての重要な研究を発表した。

低線量の放射線と低用量の毒性化学物質に多重汚染すると、一方だけではガンが発生しなくても、相乗効果でガンが発生しやすくなったのである。今後、日本人ことに子どもの健康に実際に関わる問題として詳細な研究が必要である。



    (報告者 木村 黒田純子、文中敬称略)
参考:黒田洋一郎、木村- 黒田純子:自閉症・ADHDなど発達障害増加の原因としての環境化学物質―― 有機リン系、ネオニコチノイド系農薬の危険性(上下)『科学』(岩波書店)83巻(2013年6、7 月号)