磁場長期被曝者15名と対照者15名を対象に, 明期10時間, 暗期14時間の秋に調査した. 対象者は, 31~47歳の男性で, 急性および慢性疾患が無く, 規則的な睡眠習慣を有し, 喫煙および服薬をしておらず, 7:00~23:00 が活動期の人であった.
また, 一般的臨床検査で健康状態, 内分泌機能および血液細胞が正常範囲であることを確認した.
磁場長期被曝者は, 高電圧施設作業現場の従業員で, この作業現場の近くの宿舎に居住しており, 昼夜を通して磁場に曝露さされていた.
15名のうち10名が7~20年間被曝しており, 5名が1~4年間被曝していた. 対照者15名は職場で磁場に曝露されていないホワイトカラーから選ばれた.
環境の磁場レベルは線量計で 40~800 Hz の周波数帯を1週間計測した. メラトニン分泌に関する検査のため, 20:00~8:00 に1時間毎に採血し, この間の尿を採取した.
血中メラトニン濃度およびメラトニン代謝物である尿中6-スルファトキシメラトニン濃度を測定した.
長期被曝者の環境の磁場レベルは, 個人毎の1週間の等比中項で 0.1~2.6 _T, 15名の平均が 0.72 _T, そのうち昼間の平均が 0.64 _T, 夜間の平均が 0.82 _T であった. 対照者の環境の磁場レベルは, 個人毎の1週間の等比中項は 0.004~0.092 _T, 15名の平均が 0.04 _T, 昼夜いずれも 0.04 _T であった.
血中メラトニン濃度の 20:00~8:00 の日内変動をみると, 長期被曝者群と対象者群の間で差異はみられず, 20:00~22:00 は低レベルで推移し, 以後上昇し, 2:00~5:00 に最高値に達し, 以後下降した.
20:00~8:00 の尿中6-スルファトキシメラトニン濃度も両群で差異はみられなかった.
血中メラトニン濃度について, 長期被曝者のうち 0.3 _T を超える環境にいた9名のみを対象者群と比較しても差異はみられなかった.
著者らの以前の研究では, 20~30歳の健康な男性を 50 Hz (10 _T) 環境に9時間置いても血中メラトニンと尿中6-スルファトキシメラトニンは変化しなかった.
今回, 職業上長期に被曝する人を対象にして, 慢性曝露の影響を調べたが, 磁場によるメラトニン分泌およびその日内変動への影響は少なくとも40歳前後の男性には認められなかった.
Touitou Y1, Lambrozo J2, Camus F1, Charbuy H1
(1PitiéSalpêtrière 医学部 生化学・分子生物科, Paris, 2 Electricité de France/Gaz de France, Service des Etudes Médicales, Paris, France)
runより:磁場の健康影響の話は珍しいですね、探せばまだあると思います。