http://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2014031000017.html
中国から飛来する水銀 微小粒子状物質「PM2.5」より恐ろしい事実
2014年3月10日(月)12:49
PM2.5の飛来がピークを迎え、各地で警報が発せられている。でも、気をつけて。
水銀まで飛んできて、河川や湖を汚染。琵琶湖ではナマズから水銀が見つかった。(ライター・長谷川煕)
本題は大気汚染なのだが、まずは湖の話から始めたい。
滋賀県立大学環境科学部の永淵修教授の研究チームは、4年前から琵琶湖の魚の水銀濃度を調査している。
中国から偏西風によって飛んできた水銀が内陸水域の魚類にどう影響するかを調べるためだ。そこでショッキングな結果が浮かび上がった。
体長が1メートル前後もあるビワコオオナマズから1キログラム当たり856マイクログラム(μg)、体長50センチ前後のふつうのナマズからも420μgの総水銀を検出したのだ。
●琵琶湖の水銀ナマズ
国は、魚介類に含まれる総水銀の暫定規制値を0.4ppmと定めている。
ビワコオオナマズの汚染濃度を規制値の単位に合わせると0.856ppmで、規制値の2倍を超える汚染ということになる。
ふつうのナマズも0.420ppmで、規制値を上回っている。
総水銀のほとんどは、メチル水銀で占められている。
メチル水銀とは、熊本県の水俣湾一帯の住民に多数の死者を出し、いまも後遺症を残す水俣病の原因物質だ。
もっとも、ビワコオオナマズは食用には適さない。ふつうのナマズも常食はされていない。
永淵チームの調査によると、よく食卓に上る魚類の水銀濃度は、ナマズよりも一桁低いため、今のところ健康被害が生じるというわけではない。
そのことは、はっきりさせておきたい。
問題は、水銀のような有害物質までが、微小粒子状物質「PM2.5」とともに高い濃度で中国方面から日本列島に押し寄せ、環境中でさらに毒性の強いメチル水銀に変化しているという事実だ。
国や自治体が各地に設置した計測器では、水銀を測定していない。
だから、この驚くべき事実は、永淵教授の研究チームの調査によって初めて明らかになった。
各種の物質は大気中で寄せ集まり、小さい粒子状の物質(Particulate Matter)をつくる。
とりわけ、粒子径2.5マイクロメートル(μm)以下の微小粒子の濃度が、地球規模で高くなっていることから、各国や世界保健機関(WHO)は、PM2.5対策に乗り出した。
日本でも、国が2009年、PM2.5の環境基準を「1立方メートルあたり日平均で35μg以下、かつ年平均で15μg以下」と定めた。
さらに13年2月には、PM2.5の濃度の日平均が1立方メートルあたり70μgを超えると予測される場合、各都道府県は、不要不急の外出を減らすなど住民に注意喚起を求める指針を、環境省が定めた。
この指針に基づいて、すでに今年も「PM2.5注意報」が、全国各地で発せられている。