その5:「新たなPCB」といわれるPBDE汚染についての現状と課題 | 化学物質過敏症 runのブログ

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5.今後のERIにおける取組
以上、PBDE についてその概要を述べたが、環境総合研究所(ERI)においては、これまで実施してきた「市民参加による松葉ダイオキシン調査」の実績を踏まえ、来年度以降、松葉に蓄積されている
PBDE についての測定活動を展開することを計画している。

すでに、松などの針葉樹の針葉はダイオキシン類を始めさまざまな有害化学物質を効率的にかつ長期的に蓄積する特性を有しており、大気中の有害化学物質を監視する生物指標として非常に有効であることが明らかとなってる。
今後は、行政が測定する大気中濃度との相関についても研究を進め、焼却炉をはじめとする発生源周辺の大気中 PBDE 濃度を市民が手軽に測定できる体制を構築していきたいと考えている。

5.1 試料
焼却炉周辺とバックグランド地域を選定し、従来のダイオキシン類測定と同じ要領で松葉(主としてクロマツの針葉2年もの 100 g程度)を採取する。

5.2 分析
・分析機関:Maxxam Analytics Inc.(Ontario,Canada)
・分析方法:HRGC/MS法
・準拠する手順:Draft EPA1614
米国環境保護庁(EPA)、オンタリオ州環境省(MOE)、及びカナダ環境省により 2003 年に開発された手順。

米国連邦政府は当面 PBDE の規制を行う予定がなく、プロトコルは Draft のままだが、すでに Validation は終了しており、2003 年以降、すべての PBDE 分析に使用されており、国際的に広く認知された信頼性の高い方法である。

6.おわりに
2005 年の夏、カナダトロントで開催された第 25回国際ダイオキシン会議シンポジウムでは、PBDEを取り上げた論文が 100 本近く発表された。

母乳、臍帯血、母体血、血清など人体への蓄積・影響を調べたものとともに、魚介類や食品、室内の埃や廃家電処分場周辺の土壌といった多様な試料についての分析が行われ、環境中に広く存在する PBDE 汚染の実態が明らかになりつつある。

カナダ・アメリカなど北米地域とヨーロッパからの報告かが多いが、ERIでは、今年度実施するパイロット調査を踏まえ、日本からも世界に役立つ情報を発信できればと考えている。

また、こうした活動を通じて、国内の大気中汚染レベルが明らかになり、市民の関心が高まれば、法制度の整備にも拍車がかかることも期待している。

7.参考文献
1)難燃剤 PBDEs による環境汚染について、公衛研ニュース 23、平成 16 年 1 月、大阪府立公衆衛生研究所、食品医薬品部食品化学課、阿久津和彦
http://www.iph.pref.osaka.jp/news/Vol23/eiknews23.html
2)Dioxin 2005 Proceedings
3)Congener-Specific Data of PBDEs in Pine Needles,
Tsuyoshi Okazawa, Nobuyasu Hanari, et al, National
Institute of Advanced Industrial Science and Technology,
Tsukuba, Dioxin2004 Proceedings Vol.66, pp3774-3778.
4)POPs Presentation ppt, Maxxam Analytics, Inc.
5)環境関連ページ Q & A012, 日本電子株式会 社、よくわかる環境規制 Webより
http://www.jeol.co.jp/envi/regulation/qanda/q012.htm

電気電子機器類に含まれる特定有害化学物質の使用を制限することによって、環境破壊や健康に及ぼす危険を最小化することを意図している。

これは、WEEE:廃電気電子機器指令(Waste Electrical andElectronic Equipment)を補完する指令と位置づけられている。