・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・2008年11月 オーストラリア NICNAS/OCS 報告書案
多種化学物質過敏症(MCS)の科学的レビュー
主要な研究の必要性を特定する
情報源:Working Draft Report prepared by the National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme (NICNAS) and the Office of Chemical Safety (OCS) November 2008
A Scientific Review of Multiple Chemical Sensitivity: Identifying Key Research Needs
http://www.nicnas.gov.au/Current_Issues/MCS/MCS_Report_PDF.pdf
Department of Health and Ageing
Multiple Chemical Sensitivity review draft report
http://www.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/ocs-mcs.htm
National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme - NICNAS
http://www.nicnas.gov.au/
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2008年12月10日
更新日:2009年 1月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/cs_kaigai/mcs_Australia_2008.html
訳者注:この文書はオーストラリア保健高齢省の化学工業製品通知・評価計画(NICNAS)が化学物質安全室(OCS)と協力して作成したものであり、2008年10月30日に公聴会で議論された後、2009年1月30日までパブリックコメントで修正/追加/コメントが求められている。
パブリックコメントを反映した最終報告書がいずれ発表されると思われるが、それまで、暫定的に可能な範囲で日本語訳して紹介する予定である。
情報提供のための手引き
多種化学物質過敏症(MCS)に関するこの報告書案は、因果関係、診断、作用様態、及び現在の治療と管理に関する現状の理解のスナップショップである。
この報告書からの強いメッセージは、MCSはすでに過去25年以上研究されレビューの対象になっているにもかかわらず、今後もさらにMCSに焦点を合わせた基礎的な研究が必要であるということである。
この段階においてこの報告書案への読者の情報提供を求める主な目的は、この報告書がMCSに関する研究のための優先領域をよりよく特定するために、全ての入手可能な科学的文献と技術的情報を十分にカバーすることを確実にすることである。
レビューによりカバーされる多くの領域おけるさらなる研究と入手可能な科学的論文があるかも知れない。
たとえば、遺伝的傾向や生物化学モデルを詳述する研究のような提案されるMCSの原因の根底にあるものについての追加的研究の報告が完全な解明のために重要である。
この報告書の発行をこれ以上遅れさせないために、我々は現在、この作業用草稿の特に作用様態、MCSの臨床的側面、及び関連する技術的/科学的情報の領域に関し、情報提供を求めていることをお伝えする。
情報提供を容易にするために、この報告書は報告書の中のさまざまな点で求められる情報とコメントのための問いかけを行っている。
この報告書を完成させるために、多種化学物質過敏症に関する事実に基づくコメントと追加的な科学的情報が今、NICNAS/OCSに提供されることが重要である。
コメントと追加的情報はeメールにてMCS@nicnas.gov.au へ、又は郵送でMCS Report, NICNAS, GPO Box 58, Sydney NSW 2001へ送付いただきたい。
序 文
この研究は何か
多種化学物質過敏症(MCS)は、根底にある病因/原因が不確かであり、よく定義されていない複雑な一連の症状を言い表すために用いられる用語のひとつである。
MCS症状をもたらす根底にある生物学的出来事については不確実性がある。
このことはMCSの人々の診断と治療のための臨床的基礎の発展を阻害する。
このことは、MCSの人々は彼らの症状が理解されない又は誤診断され、しばしば最適ではない治療を受ける又は治療選択をさせられるという状況に直面することを意味する。
MCSについての限られた理解のために、症状を引き起こす化学物質やその他の原因からの回避以外に治療のための意見の一致を見出していない。
環境中の化学物質の存在に対する関係者の懸念とともに、我々のMCSの理解の中にあるこの不確実性とギャップは、化学物質安全室及びオーストラリア化学工業製品通知・評価計画 (NICNAS)を通じてオーストラリア 保健高齢省(DoHA)にMCSの科学的レビューを実施させることとなった。
研究の範囲
このレビューの目的は、臨床及び科学的研究の世界に情報を提供し鼓舞するために、MCSに関する現在の理解と科学的研究を検証すること及び今後の調査研究のための優先領域を特定することである。
したがってこの報告書は以下についての証拠を検証し、
・MCSにおける化学的作用の作用様態
・MCSの臨床的診断と治療へのアプローチ
・臨床的管理戦略
またオーストラリアにおけるMCSの診断、治療、及びよりよい臨床的管理の実施を強化する研究への取り組みと今後の活動を強調するものである。
研究の実施
この研究には二つの重要な領域がある。第一に、この研究は、MCSの根底をなす原因を説明するために置かれる生物学的にそれらしい仮説を特定する入手可能な科学的文献をレビューすることである。
MCSの生物学的根拠の説明は臨床的診断のための方向性を示し、MCSのための治療選択を改善するであろう。
もし根底をなすMCSの生物学的メカニズムが解明されれば、症状に対するよりよい治療だけでなく、症状を著しく軽減する可能性がある。
第二に、現在の診断及び治療実施と臨床研究及び医療教育におけるギャップを特定し、どちらがよりよくMCSの人々の診断と管理に役立つかに目を向けることが行われている。
この研究の成果は、MCSに関するさらなる科学的及び臨床的研究における特定の優先度の高いものを示すことになる。
MCSに関心のある多くの団体と個人の協力によ文献目録、個人の研究、国内及び国際的な報告書及びMCS被害の経験に関する情報の提供があれば大変ありがたい。
runより:結構長い記事になります。