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化学物質過敏症(1)香水で頭痛や息苦しさ

 四国地方が好天に恵まれた10月末、松山市の道後公園で、近くに住む日野美奈さん(53)は、自分の病気「化学物質過敏症」について語り始めた。

 緑豊かな公園を選んだのは、室内に漂うたばこや香水、柔軟剤などのにおい物質によって頭痛や息苦しさに襲われてしまうので、これを避けるためだ。

 この病気についての詳しい調査が行われておらず、患者数は不明だが、重症患者を数万人と推定する医師もいる。

農薬や有機溶剤にも反応し、においを感じないほど微量でも体調を崩す患者が目立つ。

 うつ状態などの精神症状を合併する例もあり、この病気に詳しい医師たちは、化学物質過敏症によって精神症状が生じると指摘している。

 だが、精神疾患が原因で化学物質を過度に恐れていると誤解されたり、「気のせい」と軽くみられたりする患者が多く、家族の理解も得られずに孤立する。

精神科で薬を長期間処方され、症状が悪化する人もいる。

 「道後公園は安心して利用でき、待ち合わせによく使います。
公園のホームページに農薬の散布予定が載っているためです」と日野さん。

事前告知は、同公園の管理会社が日野さんらの要望で1年ほど前に始め、約2か月先までの日程と散布場所、薬の種類を載せている。

公園は広く、こうした情報が事前に分かれば、患者は散布地点から離れた場所を選んで利用できる。

 日野さんの体調不良は12年ほど前に起こった。

営んでいた衣料品店でダニなどの駆除を目的に、有機リン系殺虫剤を月に1度、散布し始めたことがきっかけだった。

換気の悪い店内に揮発した成分が広がり、目の奥の痛みや筋肉痛、吐き気、だるさに襲われた。

散布は8か月でやめたが、香水や接着剤などでも体調不良が起こるようになった。

 これらの人工的なにおい物質を吸い込むと、鼻の粘膜が焼け付くように痛み、激しい頭痛やめまい、息苦しさなどが生じた。東京の大学病院で、化学物質過敏症と診断された。

 店を閉じ、外出を控え、10年ほど無農薬の食品摂取を続けるうちに体調が上向いた。

最近は、家の周囲を毎日散歩して体調維持に努めている。「私は家族の協力のおかげで回復に向かいましたが、患者の多くは周囲の無理解に苦しんでいます」と日野さんは話す。

 今夏、環境省が女性向けクールビズで香り付き柔軟剤などの使用を推奨し、患者らの訴えで撤回した騒動は、この病気に対する国の無理解を露呈させた。

多様な症状と支援不足に苦しむ患者の窮状を報告する。

(2013年12月10日 読売新聞)