その6:第3部:化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査報告書 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・No.
研究テーマ
研究の要旨


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日本のMCS患者に対するQEESI問診票の有効性に関する検討
:QEESI問診票を日本のMCS患者の診断補助またはスクリーニングに使用する場合のCutoff Point、マスキング尺度の評価などを検討するため、MCS患者群103名(北里研究所病院臨床環境医学センターでMCSと診断された患者)と年齢性別がマッチングした健常者群309名に対しQEESIを用いたアンケート調査を行いQEESIデータを多変量解析を用いて比較した。

日本ではQ1化学物質不耐性≧38点、Q3症状≧2点、Q5日常生活障害≧10点のどれか2つに該当する人を患者の確率が非常に高い(Very Suggestive)と評価してよいと考える。

マスキング尺度のロジスティック回帰分析では、q4.6仕事での化学物質曝露、q4.5殺虫剤・防カビ剤使用のオッズ比は、それぞれ14.2、4.7と非常に高く、これらは日本のMCS患者の大きな発症要因となっていることが示唆された。

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一般市中病院でのシックハウス症候群の診断と治療方法を研究-近赤外線酸素モニターによるシックハウス症候群の診断・経過観察:化学物質吸入負荷試験と起立試験-6年間のまとめ
:シックハウス症候群や化学物質過敏症の他覚的診断方法として、近赤外線による脳内酸素モニター(NIRS)を使った化学物質吸入負荷試験とガス吸入負荷前後における起立試験を組み合わせ、できる限り空気を清浄化した一般病院の検査室で実施した。

ガス吸入負荷試験では、シックハウス症候群・化学物質過敏症疑い例の多くが陽性所見を呈し、症状が誘発された。シックハウス症候群・化学物質過敏症の疑いがない対照例では、所見・症状とも誘発されなかった。

起立試験では、シックハウス症候群・化学物質過敏症疑い例の多くが陽性であり、トルエン、ホルムアルデヒド、2-エチル-1-ヘキサノール吸入負荷試験によって正常所見が陽性化、または、陽性所見が悪化した例がみられた。ホルアルデヒド吸入負荷試験で正常所見が陽性化、または、陽性所見が悪化した例では、室内ホルムアルデヒド濃度、パラジクロロベンゼン濃度の高値例が多かった。

NIRSを使った化学物質吸入負荷試験とガス吸入負荷前後の起立試験は、脳内の血管拡張血管収縮の調節能力を判定することができると思われ、シックハウス症候群化学物質過敏症の他覚的診断及び経過観察に有用であった。

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室内化学物質が知能・認知能力、行動に及ぼす影響の評価方法に関する研究-微量化学物質によるシックハウス症候群が疑われる児童・生徒の心身の発達に関する調査研究
:化学物質が神経発達に及ぼす影響を評価するため、新築家屋転居後、または改築後にシックハウス症候群を生じた児童・生徒の知能発達を調査研究した。重回帰解析の結果からは、ホルムアルデヒドが動作性IQ系の検査結果に負の影響を与えている可能性が示唆された。
動作性IQの低下は滑動性眼球運動の異常と負の相関を呈しており、視覚系の運動発達の異常と関係している可能性が示唆された。

小児のシックハウス症候群ではWISC-Ⅲ知能検査による動作性IQの低下があり、室内化学物質濃度、滑動性眼球運動の異常、毛髪中重金属濃度と関係していた。