表-4.1.1(1)いわゆる化学物質過敏症に係る歴史的な経緯-1
海外国内
1950年代アメリカ・シカゴ大小児科教授ランドルフ(Randolph)が「環境中の化学物質への適応に失敗した結果、個体の新たな過敏の状態の形成」という病態を提言
1984 アメリカ・カリフォルニア州議会がMCS研究を求める議案を決議するも、カリフォルニア医師会・米保健学会が反対。州知事が拒否権を発動
1987 アメリカ・医師カレン(Cullen)が「過去に大量の化学物質を一度に曝露されるか、長時間慢性的に化学物質の曝露を受けた後、微量の化学物質に再接触した場合にみられる不快な臨床症状」としてMCS(多種化学物質過敏状態)を提唱アメリカ科学アカデミーのワークショップがMCSの研究を勧告。同アカデミーの環境科学毒物学委員会がこの勧告を無視
WHOがヨーロッパにおける室内空気質ガイドライン :ホルムアルデヒド0.1mg/m3 (0.08ppm)を設定。
(Air Quality Guidelines for EuropeFirst Edition, 2nd Edition(2000))1988 アメリカ・メリーランド州がMCS研究者のバスコム(Bascom R)に財源を振り分けた
アメリカ政府社会保障局が障害認定の手続きに関するマニュアルにMCSの項目を追加
1991 アメリカ科学アカデミーが、政府環境保護局の要請により、MCSの専門家によるワークショップを組織
1994 アメリカ毒性物質・疾病登録局(ASTDR)が、化学物質過敏症の神経生物学的側面を考える全米会議をボルチモアで開催
1996.2
1996.7
世界保健機関(WHO)、国連環境計画(UNEP)、国際労働機関(ILO)等の合同による国際化学物質安全性計画(IPCS)がベルリンで開催され、MCSをIEI(本態性環境非寛容症)と呼ぶことを提唱(ベルリンワークショップ)
1999.7 アメリカ国立衛生研究所(NIH)主催のアトランタ会議において、MCSを定義する6項目が示され、臨床環境医らの合意事項として決議(コンセンサス1999)
2000.2
デンマーク環境保護局が、壁材等の表面処理に用いられる高濃度の揮発性有機溶剤を屋内個人用途に用いることを制限又は禁止する政令を発布
2003.10 EUの欧州委員会が「健康や環境保護を目的とした化学物質規制に関する最終案」を了承
2004.9 EU欧州委員会が塩化ビニール製の玩具や育児用品などへのフタル酸エステル類6種の使用を禁止することで政治的に合意
国内
1995.3 厚生省が「快適で健康的な住宅に関する検討会議」を設置
1996.7建設省が「健康住宅研究会」 (学識経験者、関連団体、関係省庁)を設置
1997.6.13 厚生省の「快適で健康的な住宅に関する検討会議」の健康住宅関連基準策定専門部会が同化学物質小委員会報告書に基づきガイドライン指針値を提示
1998.3 「健康住宅研究会」が、「室内空気中化学物質低減のための設計 .施工ガイドライン」、「室内空気中化学物質低減のためのユーザーズ・マニュアル」をとりまとめ
1999.3(社)住宅生産団体連合会が「住宅内の化学物質による室内空気質に関する指針」を作成(2001年3月改正)
1999.6「住宅の品質確保の促進等に関する法律 」の公布 (平成11年6月23日法律第81号)
2000.4「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行
厚生省が「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を設置(現在までに 13物質の室内濃度指針値及び総揮発性有機化合物量 (TVOC)の暫定目標値を設定)
シックハウス対策関係省庁連絡会議 が発足
(厚生省、建設省、運輸省、農林水産省、通商産業省、文部省 、環境庁)
2000.6.30厚生省生活衛生局長通知「室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定方法について」(新築住宅:3 0分換気後に対象室内を 5時間以上密閉し、その後、概ね 30分間試料を採取して測定、既存住宅:24時間測定)
2000.6建設省が「室内空気対策研究会」を設置(学識経験者、関連団体、関係省庁)
2000.10「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に定める住宅性能表示制度において、新築住宅の室内の空気環境に関する表示を開始 (既存住宅は2002年12月より適用
2001.7
厚生労働省が「室内空気中化学物質についての相談マニュアル作成の手引き」を提示
2001.12
住宅金融公庫が「換気設備の設置を行う住宅に対する割り増し融資制度」において、シックハウス問題に対応した住宅改良工事の融資限度額を引き上げ(2002年度より適用)
2002.1(社)全国家具工業連合会が「家具のシックハウス対策指針」を見直し
2002.2文部省体育局長裁定「学校環境衛生の基準」
が改訂 (ホルムアルデヒド等 4物質の検査と対応)(2004年 2月にスチレン等 2物質が追加)
2002.3厚生労働省が「職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドライン」を提示
2002.4文部科学省が各都道府県教育委員会等に対し、厚生労働省の室内濃度指針値等についての周知等を通知
2002.7シックハウス対策を含む「建築基準法等の一部を改正する法律」の公布(平成14年7月12日法律第85号)
2003.1ホルムアルデヒドを含め VOC全般に対応可能な新たな測定法 (チャンバ一法)にかかるJIS規格を制定・公示(JIS A 1901:2003)
2003.2JAS規格におけるホルムアルデヒド放散量基準の改正 (2003年3月から施行)
2003.3建築内装材、塗料、接着剤、断熱材等の45の建築材料に係るJIS規格を制定・ 改正・公示
2003.4木材関連業界が「ホルムアルデヒド放散等自主表示登録制度」を創設
厚生労働科学研究費補助金 .健康科学総合研究事業として、
①「全国規模の疫学研究によるシックハウスの実態と原因の解明」 (平成 15~17年度、主任研究者岸玲子 北海道大学大学院医学研究科) を実施
②「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断 .治療対策に関する研究 」(平成15~17年度、主任研究者石川哲 北里研究所病院臨床環境医学センター)を実施
③「シックハウス症候群の疾病概念に関する
臨床的・基礎医学的研究」(主任研究員 鳥居新平 愛知学泉大学家政学部)を実施「建築物における衛生的環境の確保に関する法律 (建築物衛生法)」政省令の一部を改正
(空気環境維持管理基準へのホルムアルデヒド量の追加、特定建築物の範囲の見直し)
2003.7.1「建築基準法等の一部を改正する法律」(平成
14年7月12日法律第85号)のうち、シックハウス対策のための規定の施行
2003.8「幼稚園施設整備指針」・「小学校施設整備指
針」・「中学校施設整備指針」の改訂(シックハウス対策等)
2004.1「高等学校施設整備指針」の改訂(シックハウ
ス対策等)
2004.2①検査事項:「特に必要と認める場合」は、「エチルベンゼン」及び「スチレン」についても検査を行う
②判定基準:エチルベンゼンは3800μg/m3
(0.88ppm)以下、スチレンは220μg/m3
(0.05ppm)以下であること
2004.2.27「室内空気質健康影響研究会」が報告書として「-シックハウス症候群に関する医学的知見の整理」を提示
2004.3厚生労働省通知「事務所衛生基準規則において、室内のホルムアルデヒドの量の測定を義務づけ」
2004.4インテリアファブリックス性能評価協議会が
カーテン等から発散するホルムアルデヒドの測定方法、等級区分等の統一的自主基準を制定
2004.6シックハウス対策に関する医療機関への周知について(厚生労働省)
①診断報酬請求において、傷病名として「シックハウス症候群」を用いることが可能
②公立病院が環境調整室 (クリーンルーム)を整備する場合には国庫補助が支出されること
runより:頑張って表をまとめた結果がコレです、第二部からは画像にしますが読みにくい物は編集するかやむなく省略するつもりです。